岩見沢市5年度教育行政執行方針 端末活用の授業推進 学校看護師配置や働き方改革も
(市町村 2023-03-07付)

岩見沢市教委吉永洋
吉永洋教育長

 【岩見沢発】岩見沢市教委の吉永洋教育長は、5年度教育行政方針を説明した。GIGAスクール構想による1人1台端末を効果的に活用した授業づくりを進め、個に応じた指導の充実を図るとした。特別支援教育支援員や学校看護師の配置、学校における働き方改革の推進などに取り組む考えを示した。

 方針の概要はつぎのとおり。

【学校教育の推進】

▼新しい時代に対応できる力の育成

 子どもが豊かな人生を切り拓いていく上で必要な資質・能力を育成するために、「主体的・対話的で深い学び」を通して、確かな学力の追求に努めていく。

 小・中学校においては、何かを学ぶだけではなく、どのように学ぶのかを重視し、習得と探究が相互に結び付く「教えて考えさせる授業」の理念を基盤とし、身に付けさせる資質・能力を明確にした、子どもが学びの主体となり、子どもの声が響き合う「子どもと創る授業」を展開する。

 学力向上の基盤となる「傾聴・受容・共感」の信頼関係に基づく仲間づくりや学習スキルの向上、学習ルールの徹底による子どもたちの学びの形成に努めていく。

 進捗状況を的確に把握し、目標を明確にしたPDCAサイクルによるカリキュラム・マネジメントに基づき、教育課程の工夫改善を行うことによって、コミュニティ・エリアにおける義務教育9ヵ年を見通した組織的な学力向上の取組を積極的に推進していく。

 GIGAスクール構想による1人1台の端末を効果的に活用した授業づくりを推進し、個に応じた指導の充実を図る個別最適な学びと、他者と学び合う協働的な学びの一体的な充実を図っていく。

 外国語指導助手(ALT)を有効に活用するなど「英語が使える岩見沢の子ども」の育成に向けて、外国語教育の充実を図っていく。

 大学の教員による出前授業や協力授業など、道教育大学岩見沢校との連携を図った教育活動を強化するとともに、学校が企画・立案する学力向上や地域との連携などの取組を積極的に支援し、学校が組織的に機能する学校力の向上を図っていく。

▼豊かな人間性と健やかな体を育成する教育の推進

 子どもたちの豊かな人間性を育成するため、より良い仲間づくりにつながるピア・サポートの取組を通して自尊感情や自己有用感を育むとともに、誰もが自己の成長を実感し達成感の持てる授業づくり、子どもの気持ちに寄り添う日常的な子どもの理解に基づく指導に努めていく。

 子どもたちが岩見沢の人・歴史・文化・自然・産業などを学ぶことによって、ふるさとに愛着と誇りを持てるよう「ふるさと教育」を推進する。道徳教育の充実を図り、命を大切にし、豊かな人間性・社会性を育てる「心の教育」を推進する。

 体験活動や読書活動の充実を図り、豊かな感性や想像力を育んでいく。

 子どもたちの健やかな体を育成するため、全ての学年で行う体力テストの結果に基づき、体育の授業改善と9年間を見通した体力づくりに取り組み、体力の向上や運動の習慣化を図っていく。子どもたちがスポーツや芸術文化に継続して親しむ機会を確保するため、部活動の地域移行を進める。

 「早寝・早起き・朝ごはん」をはじめとする「家庭での5つの約束」を基本とした啓発活動を広く展開し、望ましい生活習慣の定着に努めていく。

 薬物乱用防止教育や防災教育の充実を図り、自らの判断で自分の命を守ることのできる力を養う。

▼育ちと学びを支える教育環境の充実

 いじめ防止基本方針に基づくいじめ問題対策連絡協議会などの組織や教育支援センターと学校との連携を中心に、いじめや不登校の問題をはじめ、悩みや不安を持つ子ども、保護者の気持ちに寄り添い、幅広く支援していく。

 特別支援教育支援員や学校看護師の配置などによって、子ども一人ひとりの発達を保障する特別支援教育の充実に努めるとともに、将来の生き方や望ましい職業観・勤労観を育むキャリア教育を一層推進していく。

 学習塾と連携したオンデマンドによる教科・英検学習、囲碁の授業、長期休業中の「学び合い広場」など、多様な学びの場と機会を提供していく。

 教育研究所では、教育の理論化と実践検証を図る「調査」「研究」、教職員の育成と教育の具現化を図る「養成」「研修」、外部連携と情報提供を図る「連携」「普及」の各事業を充実させ、教員の実践的指導力や専門性など、ライフステージとキャリアステージに応じた資質・能力の向上を図る取組を推進していく。

 コミュニティ・エリア単位での特色ある学校づくり、および小・中学校の円滑な接続による一貫した教育を推進するため、北村、栗沢地区における小中一貫教育の実施に伴う先進的な成果を広く発信していく。子どもたちの安全・安心で快適な教育環境を確保するため、学校施設の老朽化対策など施設整備の改修を行っていく。

▼信頼と期待に応える開かれた学校づくり

 学校においては、子どもたちが未来を生き抜くために必要な資質・能力を育むため、「社会に開かれた教育課程」を実施し、教育活動や学校運営の改善・充実を図るとともに、業務の見直しや改善を図り、子どもと向き合い、子どもを徹底して大切にする教育の実現に向けた「学校における働き方改革」を推進する。

 中学校区ごとのコミュニティ・エリアを基盤とした「地域とともに歩む学校づくり」を推進し、子どもたちにふるさと岩見沢への誇りと愛着を醸成するとともに、地域に立脚した学校づくりを進めていく。

 幼児期から義務教育を通じて高校・大学までの連携・交流を促進し、学びの連続性を実現する教育活動を展開する。

▼岩見沢緑陵高校の教育の充実

 市立高校として、地域を愛し、地域に貢献する心豊かな人材の育成を目指して家庭や地域と連携するとともに、ICTを効果的に活用した授業の実施など教育環境の充実を図っていく。英語教育の推進や課題研究、探究活動といった主体的な学びの充実、および現代社会における情報化や技術革新の進展に即応できる人材の育成など、質の高い教育を提供していく。

 普通科、情報コミュニケーション科の併置校という特色を生かして生徒の興味・関心に応え、多様な進路希望をかなえる教育課程を編成・実施し、将来の自己実現に向けた資質・能力を育成する活力と魅力ある学校づくりを推進する。

▼学校給食の充実

 学校給食共同調理所においてHACCPに基づいた食品の衛生管理を徹底し、新鮮で安全な地元産の食材を積極的に活用するほか、温かいものは温かく、冷たいものは冷たいまま、おいしさと栄養のバランスに配慮し、子どもたちに喜ばれる学校給食の提供に努めていく。

 栄養教諭による食育の授業や共同調理所の見学などを通じて子どもたちが食に対する関心を高め、生産者や給食を作ってくれる人への感謝の気持ちを持つとともに、望ましい食習慣を身に付けることができるよう、食育の充実に取り組んでいく。

 食物アレルギーについては、子どもの命と健康を守ることを最優先とし、家庭や学校と連携して取り組み、安全で安心な学校給食の提供に努めていく。

 市民に学校給食への理解を深めていただけるよう、施設見学会や学校給食展など各種事業に取り組んでいく。

【社会教育の推進】

▼図書館運営の充実

 図書館は、地域の知の拠点として図書、記録、資料などの収集・整備に努め、司書の専門性を生かした様々な情報の発信と、図書館を利用される方々がより多くの知識を得ることができる環境整備を進めるとともに、市内各所で予約本の受け取りや返却をすることがきるよう、引き続き「地域拠点サービス」を提供していく。

▼放課後活動の充実

 子どもたちに遊びと生活の場を提供する児童館を運営し、留守家庭の小学生が利用する放課後児童クラブとともに、異年齢交流や地域の特色を取り入れた体験活動に取り組む。引き続き、地域と連携して学校休業日の受け入れ時間を午前7時30分に早め、仕事と子育ての両立を支援する。

 メープル小学校においては、地域スポーツクラブと連携した放課後教室の充実を図るなど、子どもの成長を支え子育てを支援する。

▼青少年健全育成の充実

 低年齢化する携帯電話やスマートフォン利用に対応し、学校においては情報モラル教育やメディアリテラシーの向上に取り組み、家庭に対しては青少年センターによる啓発資料や出前講座などの普及啓蒙により、親子が共に考え、正しく行動できるよう、支援していく。

(市町村 2023-03-07付)

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