弟子屈高 北見工大亀田教授講義
( 2023-09-29付)

弟子屈高 北見工大亀田教授講義

探究活動に生かして

道東2湖の結氷を説明

 【釧路発】弟子屈高校(加藤誠校長)は20日、同校体育館で高大連携事業の一環として、北見工業大学地域環境工学科の亀田貴雄教授を講師に迎え、出張講義を行った=写真=。全校生徒64人が参加。亀田教授は屈斜路湖と摩周湖の結氷に関する研究内容を説明するとともに、探究活動に対する姿勢や考え方などを示した。生徒たちは地域資源の一つである両湖に対する知識を深めるとともに、探究活動に係る課題設定から成果発表までの過程について理解を深めた。

 北見工業大との出張講義は今回が初めて。講義を通して、地域の自然の事物・現象についての理解を深め、科学的に探究する能力と態度を養うことを目的としたもの。

 はじめに加藤校長があいさつ。「今回の講義では観測データに基づく根拠がある研究内容の成果を学べる。探究する資質・能力を講義の中で見つけてほしい」と求めた。 

 この日、北見工業大の亀田教授が来校。「屈斜路湖と摩周湖の結氷について―地球温暖化の影響」と題した講義が行われた。亀田教授が屈斜路湖と摩周湖との比較を行うと、屈斜路湖は冬期に全面結氷する年も多いが、摩周湖は必ずしも全面結氷しないというデータが生じた。また、近年は両湖とも全面結氷する確率が低下していることから、地球温暖化の影響によるものではないかと考えた。

 このような考えに至った経緯として、昭和49年から摩周湖の結氷状況の記録を行っているてしかが自然史研究会の細谷音治氏と昭和59年から屈斜路湖の結氷観測を行っている蜂谷衛氏の協力によるもの。

 これらの長年の観測データと気象庁による気象データを踏まえ、冬期気温の上昇が全面結氷に至らない原因だと結論付けた。

 このほか、生徒たちに対して「好きこそものの上手なれ」と伝え、近年スマートフォン等で簡単に知識が見つかる時代となったが、時間をかけて多くの本を読み、多くのことを理解することが重要であるとの考えを示すとともに、自身に影響を与えた本や音楽などを紹介し「君たちの人生が実りあるものとなるよう期待している」と求めた。

 また、同校の石田光師郎教諭は今回の講義について「探究活動として取り組んでいる“弟子屈探究”をはじめとした今後の学校生活に生かしてほしい」と期待を寄せた。

( 2023-09-29付)