【解説】スクールロイヤーを交渉代理に
(解説 2024-04-04付)

 盛山正仁文部科学大臣は2日の記者会見で、学校への法的助言を担うスクールロイヤーを交渉代理人として活用できる体制を整備することを明らかにした。保護者・外部からの過剰な要求が増加する中、学校現場の負担軽減を図ることがねらい。3月28日付で全国の教育委員会に対応を求める通知を送付し、今後国において相談体制や具体的な運用方法の整備を行う。

 コロナ後、学校に寄せられる保護者・外部からの苦情は増加傾向にあり、限度を超えた要求や学校・教育委員会に危害を加えることを告知されるケースも生じている。4年の精神疾患による教職員の病気休職者は6539人と病気休職者全体の4分の3を占め、20、30代の若手教職員がその半数近くを占めている。

 学校の法務相談体制は徐々に広がっているものの、その機能は助言・アドバイザーが97・2%と多く、保護者との面談での同席に対応する自治体は15・7%、代理人業務に至っては6・8%に限られている。

 子どもたちが抱える困難の多様化・複雑化と学校の過重な業務負担を踏まえ、日本弁護士会は3月14日、文科省に法務相談体制の普及に向けた意見書を提出。子どもの最善の利益の観点から、事案に応じ助言と代理人業務の双方に対応できる体制の整備を要望した。

 これを受けて文科省は各都道府県・指定都市教委等に通知を発出。助言業務と代理人業務双方の重要性を鑑み、事案に応じて適切に対応できる体制整備を検討するよう求めた。

 教育行政における法務相談体制の普通交付税措置は2年度から講じられているが、市町村への財政支援は十分ではない状況にある。日弁連によると、代理人業務の依頼は報酬体系も異なるため報酬基準の規定と予算措置の拡充が必要とし、文科省に求めている。

(解説 2024-04-04付)

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