部活動地域移行へモデル事業報告書　負担軽減　活動場所など課題　２拠点校でバドミントン　札幌市教委

（札幌市 2024-04-10付）

　札幌市教委が、部活動地域移行に向けて実施した５年度地域スポーツ活動モデル事業の報告書がまとまった。市立札幌開成中等教育学校と市立札幌旭丘高校を拠点校に、市立中学校の生徒たちを受け入れるバドミントン練習会を開催。「専門的な技術指導が受けられた」「拠点校顧問の負担軽減につながった」などの成果が上がった。一方、中学校顧問の負担軽減、活動場所の選定などが今後の検討事項として挙がった。

　スポーツ庁の地域スポーツクラブ活動体制整備事業の採択を受けて実施したもの。

　リーフラス（株）に運営を委託し、運営体制、指導者の確保、参加費負担の在り方など具体的な課題について検証することを目指した。

　札幌開成中等と札幌旭丘高を拠点校に、両校の生徒や希望する中学生を受け入れる「合同バドミントン練習会」を休日に実施。管理監督者１人、専門指導員２人の計３人を配置し、拠点校の顧問が出勤しなくても安全かつ適切に運営できる体制を構築した。また、参加費は無料とした。

　昨年１０月からことし２月までの間、札幌開成中等で１８回、札幌旭丘高で１３回開催し、延べ１６７人の中学生が参加した。

　アンケート結果をみると、拠点校の顧問からは「専門的な技術を持つ教員が少ないため、専門的な技術指導を受ける機会になった」「土日の負担が減り、大変助かった」などの声が寄せられた。

　拠点校のバドミントン部員では「学校の先生が練習会場にいなくても、不安を感じることなく参加できた」と回答した割合が「とてもそう思う」「まあまあそう思う」を合わせて６割程度に上った。また「これからもこの活動に参加したい」と半数近くの生徒が回答した。

　市立中学校のバドミントン部員の参加状況をみると、中央区からが２７・５％、東区が２５・５％、北区が１７・６％と拠点校の近隣からの参加が高い傾向を示した。

　拠点校への移動手段は「保護者の送迎」が最多の８０・４％。将来的にこの活動が継続となった場合、希望する会場は「徒歩・自転車で通える範囲」が４３・１％、「公共交通機関で通える範囲」が３５・３％、「保護者の送迎で通える範囲」が２１・６％となった。

　保護者の費用負担の希望をみると、拠点校生徒、中学生の保護者共に２０００～３０００円程度が高い傾向を示した。

　今後の検討事項をみると、拠点校の顧問の負担軽減につながった一方、各中学校の顧問の現状は変化していないことから「中学校の休日部活動を中止にし、地域部活動として実施するなど抜本的な対策が必要」とした。このほか、活動場所の検討、運営管理責任者の確保などを課題として挙げた。

(札幌市 2024-04-10付)