乙部中 不登校ゼロへサポートルーム 時間割工夫 全教職員が担当 生徒定期面談、児童受入も
(市町村 2024-07-31付)

 【函館発】乙部町立乙部中学校(桜庭一宏校長)は、いじめ・不登校の未然防止に向け、校内や関係機関との組織的対応を強化させている。不登校生徒の居場所として校内の空き教室に設けている「サポートルーム」は、全教職員が教室を担当できるよう時間割を工夫。「心と身体のチェックリスト」を踏まえた全校生徒に対する定期的な面談、近隣小学校に通う児童のサポートルーム受け入れなど、教職員間や関係機関との連携によって生徒が安心して学校に通える学校づくりを目指している。

 同校の時間割にはサポートルームの欄が設けられ、教室を担当する教員の名前が毎日1~6時間目ごとに異なる。担当学年の違いによって当該生徒との関わりが浅い教員にも不登校生徒の実態を把握してもらおうと、取り入れた試みだ。

 冷房機器が完備された大教室は集合と個別の2教室に分かれ、生徒はそれぞれ好きな時間に好きな場所で自学自習をしたり、教員に進路相談をしたりして過ごす。

 桜庭校長は「サポートルームを通じて相談しやすい教員に出会い、学校に来る頻度が高くなった生徒もいる。最近は暑さが続き“学校の方が涼しくて快適だから学校に来ようかな”と話している姿を見ると、教室の環境も大切だと感じる」と話す。

 同校は本年度、道教委の新規事業「不登校児童生徒に対する支援推進事業」の中核校の指定を受けた。サポートルームの時間割は事業の加配を活用し、コーディネーター業務として全体の時間割を調整することで、学年や担任に関係なく全教職員が不登校生徒を支える環境を構築している。

 現在は30日以上の長期欠席生徒が6人。不登校傾向が見られる「予備軍」の生徒を含め、多くが無気力や生活リズムの乱れなどを要因に学校に来られない状況が続いている。

 こうした生徒の生活実態の把握や、いじめ・不登校の未然防止、SOSの早期発見に向け、同校では道教委のアセスメントツール「心と身体のチェックリスト」を活用した面談を全校生徒を対象に年2回実施している。1回目は担任、2回目は生徒に相談したい教員を選んでもらうようにした。

 不登校生徒、傾向が見られる生徒に対しては生徒理解支援シートに基づいた教員面談のほか、スクールカウンセラーによる月1回の面談を加え、全ての生徒の実態や傾向を綿密に情報共有する校内体制の整備を進めている。

 協力校の乙部小学校(笠松靖史校長)、町教委、町の保健師などの関係機関で構成する「不登校対策連絡協議会」を通して、9年間を見据えた連携にも力を入れている。

 本年度から同校のサポートルームに、乙部小の児童を受け入れられるようにした。現時点で利用している児童はいないが「自校ではないサポートルームに通いたい」などの本人のニーズに応じた対応だけではなく、中1ギャップの未然防止を考えた取組の一助としている。

 両校では教職員間の授業交流や実態交流を図るほか、本年度から管内で初めて導入されたスクールソーシャルワ―カーによる研修会を通して、生徒指導体制の強化を目指している。

 桜庭校長は「関係機関と連携し、未然防止に向けた対応に尽力することで不登校ゼロを実現したい」と力を込める。

(市町村 2024-07-31付)

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