道教大函館校 石森研究室と連携 国際理解PGを開発 中2宿泊研修で留学生交流 今金町教委(市町村 2024-07-25付)
今金町教委異文化理解プログラム開発
【函館発】今金町教委は本年度、道教育大学函館校の石森広美研究室と連携し、中学生を対象とした国際理解プログラムを開発した。2年生の宿泊研修に同大への訪問を位置付け、留学生との交流を通して生徒の異文化理解を深めるねらい。外国人と関わる機会が少ない地域で過ごす生徒の寛容性や表現力を育む機会を提供している。
18日の同大講義室にはエジプト、インド、マレーシア、台湾、中国から来た国際色豊かな留学生7人が集まった。宿泊研修で訪れた今金中学校の2年生32人は国籍別の5グループに分かれ、聞きたい内容を英語で質問。中国の留学生に「万里の長城に行ったことはありますか?」と尋ねると、留学生はスマートフォンを取り出し、万里の長城をかたどったアイスクリームの写真を見せた。現地で販売されるオリジナルアイスがはやっていると聞いた生徒らは「食べてみたい」と目を輝かせた。
近藤季莉さんは、この日初めて台湾の留学生と交流。「学校では英語の勉強が中心だったので様々な発見があった。本場のタピオカミルクティーの話題で盛り上がった」と声を弾ませた。
都市部と比較して外国人と交流する機会が少ない郡部の教育現場では、生徒が世界に目を向けられる活動の場を模索している。町教委が平成2年度に導入したニュージーランドとの交換留学は、コロナ禍の渡航制限などに伴い取組が途絶えていた。全国的にグローバル化が進む中、町教委の宮本雅通主幹は「生徒が地域で外国人と触れ合う機会はごくわずか。国際的な視野を養う人材の育成に向け、町として異文化交流の機会を増やす必要性を考えた」と話す。
異文化理解を専門とする石森准教授と町教委、今金中が開発したプログラムは生徒が世界を身近に感じられるようにするため、英会話の交流に限らず、多様な言語に触れる体験型の活動も取り入れた。
留学生から母国語を教わるゲーム形式の活動で生徒は「中国語の発音は、日本語より優しい印象に感じる」「アラビア語には小さい“っ”がなかったので、少し困った」などと口々に感想を言い合った。
交流が円滑に進むよう、ゼミに所属する学生もサポート。「慣れない発音でも母国語で話しをしてくれることにうれしさを感じるのはどこの国の人も一緒。異国の言語を学ぶことに価値があるよ」と、日頃、留学生の生活をサポートする立場からの知見を伝えた。
同ゼミが教育委員会と連携してプログラムを開発したのは、今金町が初めて。本年度から毎年、2年生の宿泊研修の一環として実施する。石森准教授は様々な人種が母国語以外の第二言語を習得していることに触れ「世界のコミュニケーションツールとして使用されている英語にも様々な発音がある。英語に特定せず、好きな言語から異文化への興味を引き出すことが大切」とみる。
さらに「学生にとっても、多様な生徒と関わることで柔軟性を身に付けられる。教員を目指す上で学生の学びの意義も大きい」とし、今後は生徒のアンケート結果を踏まえ、次年度のプログラム計画に生かしていく方針だ。
(市町村 2024-07-25付)
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