八雲町教委 ピアサポート 全小・中に取組拡大 小小、小中連携し合同学習
(市町村 2024-07-12付)

八雲町ピアサポート学習の取組
異学年混合の道徳で相手理解のスキルを学ぶ東野小の児童たち

 【函館発】八雲町教委は本年度からピア・サポートの取組を町内の全小・中学校に拡大した。児童生徒は相手の気持ちをくみ取る方法や人間関係のトラブルを回避する技術を学び、仲間を思いやる姿勢が身に付いている。今後は小小連携、小中連携の観点から中学校区単位での合同学習を導入する予定。コロナ禍を経てつながりや支え合いの在り方が見直される中、不登校やいじめ問題の予防、周囲との信頼関係構築に向け、思いやりを育む取組の必要性があらためて求められている。

 26日に東野小学校(山崎誠校長)で行われた道徳の授業。スクールカウンセラーの長野喜美子さんは「学校生活を楽しく送るために、友人のすてきなところや良さを発見しよう」と呼びかけた。

 4~6年生の児童9人はピア・サポートを学ぶための三つの演習に挑戦。そのうちの一つ「バースデーライン」は会話をせず、ジェスチャーのみで誕生日順に並ぶ活動。児童は相手の表情を読み取りながら接することや、言葉のない表現の難しさと大切さを感じ取った。

 リレー形式の自己紹介では発表者の方を向き、うなずきながら話を聞く姿勢を身に付けた。竹村健さん(6年)は「ピア・サポート学習を通して、相手の知らないことを知ることができる。友人が心地良い話ができるような姿勢も学べた」と振り返った。

 同校では長野さんのピア・サポート学習を年間3回程度実施している。全校児童20人の小規模校で異学年交流が多い中、中休みには高学年児童が率先して全校遊びを企画することもあったという。

 山崎校長は「上級生の下級生に対する声のかけ方などを見ると、学習効果が表れていると感じる」と手応えを口にする。

 過去に八雲高校の養護教諭を務めていた長野さんは八雲高を中心にピア・サポート学習を進め、これまで高校生が町内の小中学生に対するピア・サポート学習なども実施した。コロナ禍の臨時休業期間を経て、全国的に不安定な精神状態を抱く児童生徒が増える中「より良い人間関係づくりを段階的に学ぶプログラムは発達支持的生徒指導の取組として求められる」と分析する。

 町内各校では児童生徒だけではなく、教員を対象とした研修にも取り組む。町教委の池田忠寛学校教育課参事は「相手の気持ちを受け止める活動は、いじめ・不登校の未然防止のほか、学習場面でも必要なスキル」と話し、今後は小中合同、小小連携の学習を中学校区単位で広げていく方針だ。

(市町村 2024-07-12付)

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