奥尻町教育DX・Step―up事業 離島の教育モデル確立 ウェブ支援センターやAI塾(市町村 2024-07-24付)
【函館発】奥尻町教委はデジタル田園都市国家構想交付金の採択を受け、本年度からDXによる教育改革「奥尻町教育DX・Step―Up事業」を展開する。全国12の教育機関や企業と連携し、家庭からの問い合わせが可能なウェブ教育DX支援センターの開設、AI塾による小中高一貫した学力向上対策、高性能タブレットPCを活用したSTEAM学習、バーチャル体験を通したキャリア教育に取り組む。学習支援が得にくく、体験活動の幅が限られる教育課題の解決を図り、離島の新たな教育モデルを確立する。
大規模災害や少子高齢化、コロナ禍を経て、町の人口減少が著しく進行。町内に学習塾はなく、キャリア教育の機会は第1次産業など一定の職業体験に限られており、離島が故の教育課題は多い。ICT支援員等の人材確保も難化。現在は民間企業に委託しているが、家庭での端末の不具合など緊急時の対応は都市部と比較して困難な状況となっている。
児童生徒の学習を支える支援の確保や新たな時代の変化に対応した教育改革を目的とする「奥尻町教育DX・Step―Up事業」は、町が直面する環境課題をデジタルで解消し、外部支援を獲得することで地域の活性化を目指す取組。8年度までの3ヵ年計画で、内閣府のデジタル田園都市国家構想交付金を活用した事業費は2234万円。ウェブAI塾「ナビマ」の本格導入、学校・家庭でのICTトラブル対応が可能なウェブ教育DX支援センターの開設など、ヘルプデスク機能の強化によるタイムリーな学習支援体制の構築が期待される。全国のモデルケースとして検証・普及するねらいから採択を受けた。
事業には過去に文部科学省のICT活用教育アドバイザー派遣事業でGIGAスクール構想の助言に関わった佐賀未来塾が統括業務を担い、電気機器メーカーDynabook、シャープマーケティングジャパン、東京書籍、啓林館などの多様な企業が連携を内諾。ICT環境の整備やデジタル教科書・学習支援システムの活用に関する助言に協力する。
STEAM学習を活用した情報活用能力の育成やオンラインを活用したキャリア教育にも着手。奥尻中学校、奥尻高校のパソコン教室に高性能PCを導入し、島外企業と連携したプログラム学習やeスポーツなどの新たな学習体験機会を提供する。日テレアックスオン、TOPPANなどの都内企業やマスコミ業界関係者によるバーチャル職場体験、進路学習によって児童生徒の進路選択の幅を広げるとともに、デジタル人材の育成を目指す。
本年度は9月末までにICT環境の整備を進め、次年度以降の教育課程の調整を検討。7年度から小中高一貫したキャリア教育や他校との連携など横展開の検証を図り、8年度にエリアの拡大を目指す。全国学力・学習状況調査の結果や活用日数、児童生徒、保護者、地域住民の満足度などを成果指標とし、年度ごとに計測することで成果を検証する。10月には町民向けのキックオフイベントの開催を予定しており、デジタル技術の積極的活用によって町の課題解決を図る地域づくりにつなげる考え。
(市町村 2024-07-24付)
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