部活動地域移行へモデル事業・上 多様なニーズ 応じて検証推進 従来にない種目で活動機会(札幌市 2024-12-25付)
多種目体験型地域スポーツ活動
札幌市では本年度、部活動の地域移行に向けて四つのモデル事業を展開している。BMXやスポーツクライミングといった多種目スポーツ活動、プログラミング、eスポーツ、演劇など、従来の部活動にはない種目等を中心に活動機会を設定。生徒の多様なニーズに応じた部活動の在り方について検証を進めている。各モデル事業の様子を2回に分けて紹介する。
◆多種目体験型スポーツ活動
運動部活動の取組として、市スポーツ協会と連携し多種目体験型地域スポーツクラブ活動「Let’sやるスポ!中学生」を9月から実施している。バドミントンやテニスといった多くの学校で部活動を設置している種目のほか、スポーツクライミング、ブレイキンなどパリ五輪で話題になった種目など計12種目の体験機会を提供している。
11月上旬、市内のクライミングジム・レインボークリフで開かれたスポーツクライミングの活動には、定員30人のところ26人の中学生が参加した。
高さ約10㍍にも上るボルダリングウォールに挑戦した生徒は、施設のインストラクターから「つぎはこのホールドに手をかけてみよう」「足を使って一気にいこう!」などと助言を受けながら頂上に到達。「難しかったけれど楽しかった」と達成感を見せた。
普段は剣道部で活動している北陽中学校の長屋秀紀さん(1年)は「いろいろなクライミングが体験できて楽しかった。タイムを競うような本格的なものもやってみたい」、部活動に所属していない八軒東中学校の斉藤楓さん(2年)は「ゆるくやりたいと思っているので、そのペースに合わせて楽しめた」と感想を。体力やモチベーションも異なる生徒たちが同じ空間で楽しむ様子が見られた。
この取組のモデルとなっているのは、同じく市スポーツ協会が小学生を対象に実施しているスポーツ教室「DO!スポKIDS」。市内の様々な競技団体の協力を得て、10種類以上の競技が体験できる機会となっている。
「Let’sやるスポ!中学生」の実施に向けては、市スポーツ協会がこれまでの取組で築いてきた各競技団体とのつながりを生かして指導者の確保に当たった。
しかし、近年知名度を増した新たな競技などは、会場や指導者を一から探す必要があったという。スポーツクライミングもその一つ。スポーツ協会の岡本陽介さんは「インターネットでたまたまレインボークリフを見つけて、連絡を取ってみたところ快諾いただいた」と振り返る。
今後は「施設や設備の確保、参加費用の額などについて、実施状況を踏まえて検討していきたい」と話す。
◆セガと連携しプログラミング
文化部活動の取組の一つとして、9月下旬から(株)セガと連携したプログラミング講座を展開している。セガの人気コンテンツ「ぷよぷよ」のソースコードを活用したプログラミング教材を使って、プログラミングの楽しさを伝えている。
市教委とセガは、4年度に「市立高校におけるデジタル人材育成に向けた連携協定」を締結。今回の取組は、連携協定に基づいて行っている。
セガによると「ぷよぷよプログラミング」を活用した単発の出前授業は全国の学校で実施してきたが、部活動の地域移行を見据えて連続の講座を展開するのは初めてだという。
①土曜午前②土曜午後③日曜午前④日曜午後―の4クラスを用意し、全8回の講座を実施。定員は各クラスで30人とした。
市内のちえりあを会場とした対面開催を基本としているが、今後の展開を想定しオンラインで実施する回を組み込んでいるのが特徴だ。
11月上旬にちえりあで開かれた土曜午後クラスには、18人の生徒が参加。ぷよぷよのプロライセンスを保有するeスポーツ選手で、元システムエンジニアのぴぽにあさんが講師を務めた。
「ぷよ」と呼ばれるキャラクターが画面上部から降ってくる「自由落下」を完成させるため、入力するソースコードなどを説明。「変数を使って処理を行おう」などとアドバイスした。
八軒東中の髙橋芽衣子さん(1年)は「バドミントン部に所属しているが、チラシを見て気になって参加した。最初は難しいと思っていたが、かみ砕いて説明してくれて分かりやすい」、稲積中学校の滝花桜汰さん(2年)は「このゲームがどのように作られているのか、知らなかったことが知れた。高校でも同じような部活動があればやってみたい」と、参加した生徒からは好評だ。
セガeスポーツ推進室の五十嵐勝室長は「全国で展開できるよう、成果や課題を整理していきたい」とした。
この記事の他の写真
プログラミング
(札幌市 2024-12-25付)
その他の記事( 札幌市)
札幌市 7年度予算要求概要⑥
危機管理局 ▽防災普及啓発推進=340万円 防災知識の普及・啓発。 ▽避難所運営能力向上=1200万円 避難所の開設および運営時における対応能力の向上を図るための研修の実施。 ...(2024-12-25) 全て読む
仕事のイメージつかむ 札幌屯田北中 職業講話
札幌市立屯田北中学校(川原明子校長)は12月上旬、企業を招いて職業講話を開催した。2年生238人が参加。企業7社の担当者から仕事のやりがいや魅力などの説明を受け、仕事に対するイメージを膨ら...(2024-12-25) 全て読む
手洗いなどの徹底を 札幌市 インフル警報発令
札幌市は20日、インフルエンザ警報を発令した。 今シーズン第50週(12月9~15日)における市内定点医療機関当たりの患者報告数が37・94を記録。流行発生警報の基準となる30を超えた...(2024-12-24) 全て読む
札幌市 保育所で誤嚥死亡事故 再発防止へ検証WG 来夏に報告書まとめる
札幌市子ども未来局は、市内の認可保育所で誤嚥による死亡事故が発生したこと受け、検証ワーキンググループ(WG)を設置する。学識経験者や医師など専門的知見から今後の再発防止策を検討。来夏ごろを...(2024-12-24) 全て読む
札幌市教委 学校教育部に 調整担当部長を新設 1月1日付で吉田氏起用
札幌市教委は来年1月1日付で、学校教育部に「調整担当部長」の役職を新設する。各学校における個人情報の適切な管理をはじめ、多様化する課題に対応する。まちづくり政策局の吉田憲史グリーントランス...(2024-12-24) 全て読む
札幌市 全国体力等調査結果 小中男子で前年度超 体力合計点 中学女子も
スポーツ庁が公表した6年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果によると、札幌市では小5男子、中2男子、中2女子で前年度の体力合計点を上回った。種目別にみると、小学校男子が5種目、女子が4...(2024-12-24) 全て読む
札幌市 7年度予算要求概要⑤
子ども未来局③ ▽子育て援助活動支援費=7600万円 登録会員制度による子どもの日常的な預かり支援および病児・病後児や緊急時の預かり支援。 ▽一時預かり事業費=14億2500万円 ...(2024-12-24) 全て読む
1月31日 6授業公開 道教大附属札幌中 冬季研究大会
道教育大学附属札幌中学校(萬谷隆一校長)は、7年1月31日午前9時25分から同校で6年度冬季教育研究大会を開催する。研究の目的「ありたい未来を協(かな)えられる実感をもつ生徒の育成」のもと...(2024-12-23) 全て読む
札幌市の新設義務教育学校 校名案に「真駒内学園」 互いを尊重 創造的な子に
9年度、札幌市真駒内地区に新設する義務教育学校の校名案が「札幌市立義務教育学校真駒内学園」にまとまった。「9年間の学びを通して、互いを尊重し合い、協働的かつ主体的、創造的に行動できる子ど...(2024-12-23) 全て読む
札特活 6年度全市研究大会 「成長した部分」に焦点 中央小 1年間の思い出協議
札幌市特別活動研究会(札特活、井田敦会長)は18日、中央小学校を会場に6年度全市研究大会を開催した。研究主題「多様な他者と協働し、互いのよさを認め合うことで、自己のよさや成長を実感する特別...(2024-12-23) 全て読む