札幌市教委が研究事業の授業公開　道徳教育充実へ成果共有　札苗中１・２年全学級で

（市町村 2016-03-09付）

研究推進校の札苗中で１・２年全学級の授業を公開

　札幌市教委は二月中旬、札幌市立札苗中学校で研究開発事業「道徳教育の充実」の授業公開および学習会を実施した＝写真＝。研究推進校である同校で一・二年全学級の授業を公開したほか、学習会を実施。道徳教育の充実に向け、研鑚を積んだ。

　昨年三月の学習指導要領一部改訂によって、「特別の教科　道徳」が小学校で三十年度、中学校で三十一年度から完全実施される。こうした教育環境の変化を踏まえ、札幌市教委では道徳教育のさらなる充実を図るため、小学校五校と中学校五校の研究協力校において、道徳の時間の多様で効果的な指導方法の工夫に向けた授業実践を公開するほか、学習会を実施している。

　また、研究推進校として小学校一校、中学校一校を指定し、授業実践を公開するとともに学習会を実施。成果を普及・啓発することによって各学校の実態に応じた道徳教育の充実を図る取組を推進することを目指している。

　この日、同校では、一・二年全学級の道徳を公開。このうち一年では、教材「中学生の道徳一年　自分を見つめる」の中から「島耕作　ある朝の出来事」を活用した。

　物語は、混雑した電車でお年寄りに席を譲るよう頼んだ主人公と席を譲らない会社員が口論となり、ほかの乗客が席を譲るというもの。主人公や周りの乗客を生徒に演じさせ、行動の善悪などを議論させることで、みんなが気持ちよく過ごすことのできる社会の実現に向けた意欲の高まりをねらった。

　はじめに教員が、「電車にお年寄りが乗車し、自分の座っている前に立ったらどうするか」と問いかけ、周囲のことを考えて行動する場面を想起させた。

　このあと、「島耕作　ある朝の出来事」を朗読。主人公の言動や会社員の言動について問いかけ、意見を板書した。また、中心発問である「みんなが気持ちよく過ごすためには何を大切にしなければならないか」と問いかけ、生徒に自分の考えを記入させた。

　このあと、ロールプレイングを実施。生徒たちは主人公、会社員、お年寄り、乗客となり、それぞれの役を演じた。

　それぞれの立場からどのように感じたか意見を交流させることで、公徳心の根底にあるのは他者に対する思いやりや配慮であり、よりよい集団をつくっていこうとする一人ひとりの気持ちであることに気づかせた。

　また、二年生では中体連を前にけがをした友達の見舞いに行くロールプレイングを実施。身近な事例から他人に対して、思いやりの心をもって接することの大切さを理解するよう指導した。

　見舞いに行った場合、自分ならどのように接するか問いかけたあと、見舞いに行く人とけがをした人に分かれてロールプレイングを行った。

　見舞いに行く人は、「とにかく明るく」「淡泊に」など四つの役割で接し、そのほかの人は言われてうれしかった言葉を記入。見舞いでうれしかった対応を全体で確認し、共通していることが相手への思いやりの心であることに気づかせた。

　このあとの学習会では、授業について意見交流を行った。

(市町村 2016-03-09付)