教科書検定申請本の閲覧問題 採択への影響なしと確認 指導徹底など表明―道教委
(道・道教委 2016-03-23付)

 教科書発行者が、教員等に検定申請本を閲覧させ意見聴取し、対価を支払っていた問題で、道教委は二十日、調査結果を文部科学省に報告するとともに、その概要を発表した。申請本を閲覧し、金品を受け取った公立学校関係者、国立・私立学校関係者などは延べ三百八十人で、うち、調査員は延べ九十人いたが、採択協議の議事録を点検した結果、「採択に影響を及ぼした形跡は認められない」と結論付けた。道教委は、個別の事案を精査し、非違行為が明らかになった場合、今月中に処分等を行う。また、教科書採択における制限事項について、教職員等の理解不足などの課題があったことから、指導通知の発出や啓発資料の作成・配布等を通して指導を徹底する考え。

 文部科学省が、教科書発行者の自己点検・検証結果報告に基づき、道教委に本道分の対象者情報を提供し、三月までに確認・報告するよう求めていた。

 調査結果(いずれも延べ人数)をみると、「対価を伴わず、申請本を教員等に閲覧させて意見を聴取していた事案」の二十九人のうち、実際に閲覧したことが確認されたのは公立学校関係者十七人。うち、調査員等は三人いたが、いずれの採択地区も、閲覧した発行者以外の教科書を採択しており、三人が「採択に影響を及ぼした形跡は認められない」。

 一方、「申請本を教員等に閲覧させた上で、意見聴取等の対価を支払った事案」の五百人のうち、閲覧が確認されたのは公立学校関係者三百七十四人、国立・私立学校関係者十九人、その他(退職者等)四人の計三百九十七人。

 公立学校関係者三百七十四人の中で、金品を受け取ったのは三百二十八人。車代や調査研究費などの名目で数千円から二万円を受け取ったという。そのうち、調査員等は六十七人。該当する採択地区で、閲覧した発行者の教科書が新たに採択されたのは六件、継続して採択されたのは三十二件あった。しかし、採択地区協議会等の議事録を点検した結果、特定の教科書を推薦するような説明や発言はなく、採択への影響はなかったと結論付けた。

 国立・私立学校関係者十九人の中で、金品を受け取ったのは十六人。調査員等は十四人で、閲覧した発行者の教科書が新たに採択されたのは二件、継続して採択されたのは九件だが、採択への影響は確認されなかった。

 その他の四人は、いずれも調査員等ではなかった。

 調査結果を受け道教委は、教科書採択で制限されている事項などについて、教職員等の理解が不足していたほか、教科書発行者の協力者が調査員等に委嘱・任命されている状況があることから、教科書採択の仕組みの周知徹底や適正な事務処理の徹底が必要と判断。

 今後、文科省が示す対応策の周知徹底に加え、①非違行為があった教職員の処分等(三月中)②調査結果を踏まえた指導通知の発出等による指導の徹底③教科書採択手続きに関する啓発資料の作成・配布④啓発資料を活用して各種研修会等で校長等に周知・指導⑤教科書発行者に対して、毎年度当初、教科書採択が公正かつ適正に実施されるよう申し入れ―を行う。

 うち、②では、教科書採択における留意事項を全教職員へ周知徹底することなどのほか、著作編集等に協力する、あるいは、した場合、市町村教委に届け出ることを新たに指導する。

(道・道教委 2016-03-23付)

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