4校2団体の栄誉たたえる 釧路教育局が管内教育実践表彰式(道・道教委 2016-03-23付)
石川局長が表彰状を手渡し受賞者の功績をたたえた
【釧路発】釧路教育局は二月下旬、道立釧路芸術館で本年度管内教育実践表彰の表彰式を挙行した。石川忠博局長が受賞した四校二団体の代表者に表彰状を手渡し、受賞者の功績をたたえた=写真=。
表彰は昭和四十二年度から毎年行われており、今回で四十九回目。本年度は、学校教育部門において、釧路市立共栄小学校、釧路町立遠矢小学校、鶴居村立鶴居中学校、釧路東高校の四校、社会教育部門では釧路子どもミュージカルキッズロケット、厚岸町吹奏楽団の二団体が栄誉に輝いた。
はじめに、石川局長が式辞に立ち、「管内教育の振興・充実に尽力していただいた」と各団体の功績をたたえ、表彰状を手渡した。
来賓あいさつでは、釧路市教委の林義則教育長が登壇。「素晴らしい成果が管内全体に広がることを期待する」と祝福した。
最後に、受賞者が一人ずつあいさつ。このうち、釧路町立遠矢小の石塚美咲児童会長は「すごい賞をもらってうれしい。これからも手本となる学校でありたい」と、今後の決意を語った。
受賞者の功績概要はつぎのとおり。
【学校教育】
▼釧路市立共栄小学校(福岡真理子校長、児童数三〇七人)
二十六年度から、地域とともにある学校づくりを目的に、「コミュニティ・スクール推進事業」に取り組み、学校・家庭・地域が連携を図り、学校運営協議会を設置し、子どもの豊かな成長を支えていく取組に努めている。
特に、「共につながり、思いやりとたくましさを育むコミュニティ・スクール」の実現に向け、学校・家庭・地域の効果的な連携・協力や教職員の学校運営参画に対する意識改革、子どもの学習意欲や学力の向上、いじめの未然防止等の生徒指導の課題解決など、地域とともにある学校づくりの推進に大きな成果を挙げている。
また、地域の教育的資源の効果的な活用によって、子どもに地域行事への積極的な参加を促すとともに、地域に誇りをもち、地域の活性化のために自分の役割を主体的に考えるなど、地域の一人としての自覚を育む実践は高く評価されている。
▼釧路町立遠矢小学校(小関亙校長、児童数二二〇人)
二十四年度から、包括的な学校改善を目的に、「学校力向上に関する総合実践事業」に取り組み、学校経営ビジョンの明確化や課題解決の具体的な手だての共有、マネジメントサイクルの効果的な活用など、組織的な学校改善の取組に努めている。
特に、学力・体力の向上に関する数値目標の設定や学習規律の定着、ノート指導の徹底、家庭学習の充実などの学校課題の解決に向けたプロジェクトチームを設置するとともに、家庭と連携した子どもの生活習慣の確立を通した家庭学習の習慣化など、全教職員の共通理解のもと、継続・徹底した教育活動の推進に大きな成果を挙げている。
また、放課後のテーマ別研修や近隣の小・中学校との合同研修の実施によって、個々の教員の指導力の向上を図るとともに、中堅教員が中核となり、若手教員を育成するためのチームを編成し、日常的に授業交流を行うなど、人材育成を図る実践は高く評価されている。
▼鶴居村立鶴居中学校(藤原聡校長、生徒数六五人)
二十六年度から、道徳教育の改善・充実を目的に、「道徳教育推進校事業」に取り組み、生徒の道徳性を育む魅力的な教材の開発や各指導過程の特質を踏まえた発問の工夫など、道徳の時間の授業改善の取組に努めている。
特に、『私たちの道徳』を道徳の時間の年間指導計画に位置付け、効果的な活用の方法を追究するとともに、自分の考えをもとに討論したり書いたりする言語活動、道徳的行為に関する体験的な学習の充実など、道徳の時間の授業改善を中核とした道徳教育の充実を図る校内研修の推進に大きな成果を挙げている。
また、問題解決的な学習の導入によって、生徒が道徳的価値の自覚を深めるとともに、これまでの自分を振り返り、今後の生き方、在り方について真剣に考えるなど、道徳的諸価値の追究を通した豊かな心を育む実践は高く評価されている。
▼釧路東高校(岩田一郎校長、生徒数四二八人)
地域社会へ貢献するボランティア精神の育成を目指し、地域の清掃活動や花壇の造成、福祉施設や高齢者施設への訪問や地域のイベントへの高校生スタッフとしての参加、地域住民や小中学生との交流事業など、多岐にわたる全校的なボランティア活動の取組に努めている。
特に、東日本大震災の復興支援ボランティアでは、街頭募金活動や被災地訪問等を積極的に行うとともに、本年度は新たに「ミサンガ・プロジェクト」を立ち上げ、地域住民に募金用ミサンガの作り方を指導しつつ意識啓発を図るなど、校内のみならず地域を巻き込んだボランティア活動にも取り組んでおり、地域社会への貢献に大きな成果を挙げている。
また、外部研修会や小・中学校で活動報告を行ったり、一年間の活動を「ボランティア活動収録」にまとめて冊子で発行したりするなど、成果の積極的な発信にも努め、三年連続で「ボランティア・スピリット賞」を受賞するなど、その実践は高く評価されている。
【社会教育】
▼釧路子どもミュージカルキッズロケット(金安潤子会長、団員数二八人)
ミュージカルを通して子どもたちに友情や連帯の心を育むとともに、地域の芸術文化の創造・発信を目指し、平成九年からミュージカル公演やコンサートの開催、地域イベント出演等に取り組み、子どもの健全育成とともに地域文化の向上に努めている。
特に、小・中学生が一つの舞台をつくり上げるミュージカルは、本年度で十五回目の公演を迎えるなど精力的に取り組むとともに、二十四年・二十六年には、台湾の宜蘭国際童玩節(イーラン国際子ども芸術フェスティバル)への参加、二十五年一月には、札幌でのミュージカル公演を実現するなど、管内外への実践の波及にも大きな成果を挙げている。
また、学校も学年も違う子どもが、互いに助け合いながら一つの舞台をつくり上げる取組は、子どもたちに自信をもたせ、思いやりや社会性、倫理観、正義感、感動する心などの豊かな人間性の涵養にもつながるなど、その実践は高く評価されている。
▼厚岸町吹奏楽団(森脇智亮団長、団員数二八人)
音楽活動を通じた地域の文化発展を目指し、昭和六十年の発足から現在に至るまで、町内外のコンサートや地域イベント、町内福祉施設への慰問、各地域への出前演奏などに取り組み、管内の芸術文化振興をけん引する取組に努めている。
特に、同楽団の発案で始まった町内スクールバンドとの共演の場である「厚岸町吹奏楽フェスティバル」は、本年度で二十九回の開催を数え、厚岸町の一大恒例行事に成長するとともに、年齢も職業も様々な演奏者が力を合わせて一つの曲をつくり上げる取組は、後進の育成や地域コミュニティーの活性化にもつながるなど大きな成果を挙げている。
また、長年にわたる高齢者福祉施設での慰問演奏や、生演奏にふれる機会の少ない町中心部から離れた地区に出向いた演奏会の開催などの地域に根づいた実践は、町民が音楽に親しみ、音楽を愛する心を育てる取組として高く評価されている。
この記事の他の写真
釧路市立共栄小学校
釧路町立遠矢小学校
鶴居村立鶴居中学校
釧路東高校
釧路子どもミュージカルキッズロケット
厚岸町吹奏楽団
(道・道教委 2016-03-23付)
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