富良野市の２９年度教育行政執行方針―近内教育長説明　学校教育中期計画策定へ　子育て業務等を教委に移管

（市町村 2017-03-03付）

富良野市教委・近内栄一教育長

　【旭川発】富良野市教委の近内栄一教育長は、二月二十七日開会の市議会第一回定例会で二十九年度教育行政執行方針を説明した。富良野の子どもたちを総合的に育む観点から、保育や子育て業務などを教育委員会へ移管する。三十年度以降を見据えた第三次学校教育中期計画の策定に取りかかるほか、学校での食物アレルギー対応指針を策定。キャリア教育については、市内の小・中学校、高校三校で取り組まれている道教委の小中高一貫ふるさとキャリア教育推進事業を支援していく。このほか、コミュニティ・スクールを全小学校で導入する考えを示した。

　執行方針の概要はつぎのとおり。

▼はじめに

　幼児期からの知育・徳育・体育の調和のとれた着実な育成を目指し、「すべては子どもたちのために」を合言葉に、子どもたちの無限の可能性を伸ばす教育の充実に努める。

　また、富良野の子どもたちを総合的に育むことを目的に、保育、療育、子育てなどの業務について、二十九年度から保健福祉部から教育委員会に移管し、学校教育および社会教育と併せて子育て支援施策を総合的に推進していく。

▼学校教育

　「生きる力」を地域全体で育むため、「富良野市ＺＥＲＯ運動」を推進し教育実践の輪を広げるとともに、三十年度からの第三次学校教育中期計画の策定に取り組む。

　学力向上については、全国学力・学習状況調査および小学生を対象とした標準学力検査の実施によって、その結果を分析し、学習指導方法の工夫改善や学習環境づくりに取り組む。

　森林環境教育については、東京大学北海道演習林の恵まれた森林資源を活用した森林学習プログラムの実践などに取り組む。

　外国語活動については、英語力や外国語でのコミュニケーション能力の向上に向けて外国語指導助手などを配置するとともに、次期学習指導要領を見据えながら、「英語が話せるふらのっ子」を目指した外国語活動の充実に取り組む。

　特別支援教育については、一人ひとりのニーズに応えるために保育所・幼稚園・各学校間の円滑な引き継ぎに向けて関係機関との連携を図るとともに、学校や保護者に対する相談、支援体制の充実に努める。

　いじめＺＥＲＯの推進については、「いじめを　しない　させない　ゆるさない」を合言葉に、いじめの未然防止、早期発見・迅速な対応に努め、その根絶に向けて学校・家庭・地域との連携に取り組む。

　キャリア教育については、望ましい自己有用感と職業観・勤労観の育成を図るとともに、郷土の理解を深め、郷土愛を育む「小中高一貫ふるさとキャリア教育」の実践研究を支援する。

　体力の向上については、全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果を踏まえ、学校における体育・健康に関する指導の改善と家庭における規則正しい生活習慣の定着に努める。

　健康教育については、児童生徒の発達段階に応じた性教育、薬物乱用防止教育を推進するとともに、学校における食物アレルギー対応指針を策定する。

　学校と保護者や地域住民がともに知恵を出し合い、学校運営に意見を反映させ、一緒に協働しながら子どもたちの豊かな成長を支え、「地域とともにある学校づくり」を進めるコミュニティ・スクール制度導入に全小学校で取り組む。

　また、児童生徒のコミュニケーション能力の向上に向け、演劇手法を取り入れたワークショップを小・中学校で実施する。

　さらに、小学校就学支援に向けた第三子以降多子世帯就学助成事業、就学援助制度および育英基金貸付事業の推進によって、教育の機会均等を図る。

▼社会教育

　少年教育については、子どもたちの安全・安心な居場所づくりとして放課後子供教室および学童保育センターを開設し、放課後児童健全育成事業の推進に取り組む。

　また、学校支援ボランティアの活用や学社融合推進事業、子ども未来づくり事業およびふらのまちづくり未来ラボ推進事業を実施するとともに、関係機関との連携・協力による青少年健全育成に取り組む。

　読書活動の推進については、図書館情報システムの更新による新たな読書推進サービスの提供を図るとともに、開館日数増および開館時間延長の試行など利便性の向上に向けて検討する。

　子どもの読書推進について、すべての子どもたちがいつでも読書活動ができるよう、ブックスタートならびにブックスタートプラス事業を継続実施するとともに、学校における読書活動の支援や子どもの読書推進ボランティアとの連携による読書環境の整備を図る。

(市町村 2017-03-03付)