道中総会―古谷会長のあいさつ 本道支える人材育成へ全力 次期学習指導要領に対応を
(関係団体 2017-05-08付)

道中学校長会総会研修会・古谷会長
古谷会長は本年度の重点活動を説明した

 四月二十八日に開かれた創立七十周年記念道中学校長会第九十回総会・研修会における古谷雅幸会長のあいさつはつぎのとおり。

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 「中学校長の職能向上を図り、北海道の中学校教育の振興を図る」目的で結成され、七十周年を迎えた本会の会長の任を仰せつかることは、大変光栄なことであると同時に、その職責の重さを強く感じている。微力ではあるが、副会長の皆さんをはじめ運営委員・理事・幹事の皆さん、そして全道二十地区五百八十六人の会員の皆さんの支援と協力をいただきながら、道中学校長会の歴史と伝統を引き継ぎ、諸課題に対し全力で取り組んでいく。

 本年度は、私たちが暮らす土地が「北海道」という名前になり、百五十年という節目の年を迎える。七月十七日に「北海道みんなの日」略称「道みんの日」が設定され、ふるさと北海道を拓いた先人たちに思いをはせながら、誇りや愛着を再認識していく日としてとらえていきたいと思う。

 それと同時に、道中学校長会が発足して七十周年という節目の年でもある。本総会・研修会にも「道中学校長会創立七十周年記念」という冠を付けているが、機関紙である『全道中』を「七十周年記念誌」として発刊する。また、九月に開催される「道中学校長会研究大会石狩・千歳大会」も記念大会として開催する。昨年度から設定された研究主題「社会を生き抜く力を身に付け、未来を切り拓く日本人を育てる中学校教育」の実現のために、この節目の年をさらに充実させていきたい。

 また、二十六年度から足かけ三年にわたって検討を積み重ねてきた道中組織の在り方も、会員規定を「北海道の各地区中学校長会の連合体」と変更し、事務局体制も大きく変わる。新たな道中をスタートさせる年として、北海道に思いをはせるのと同じく、私たちの先人が積み重ねてきた道中の歴史を振り返りながらも、私たちは確実な一歩を未来に向けて進めていかなければならない。これまで以上に「オール北海道」で手をつなぎ合い前進していきたいと、強く思っている。

 以上のことから、昨年度のスローガン「つながり ひらく 道中」を引き継ぐ形で、本年度は「つなぎ合い 前に進む 道中」というスローガンを掲げた。皆さんの支援、協力をお願いしたい。

 つぎに、本年度の本会の活動を推進するに当たって、三点について述べる。

 一点目は、「次期学習指導要領の学習を、学力や体力の向上につなげる」ことについて。

 これまで、本道の学力・体力の状況については、各学校の「学力向上プラン」や「体力向上の取組」等の効果もあり、改善の兆しが表れてきているものの、まだまだ課題も多い状況にある。

 学力の状況としては、テレビやゲーム、スマホなどの利用時間が多く、家庭での自発的な学びに改善が必要とされている。また、体力の状況としては、学校だけでなく家庭・地域や行政も一体となった取組の必要性が求められている。

 私たち校長にとっては、これまで以上に自校の調査結果をしっかりと把握し、学校全体で取り組める計画を作成するためのより確かなリーダーシップが求められている。特に、体力はあらゆる活動の源として、健康の維持のほか意欲や気力の充実にも大きくかかわっており、今後も力を入れた取組をしていかなければならない。

 三月三十一日、次期学習指導要領が告示された。中学校では三十三年度に完全実施される予定であり、本年度は周知期間とされている。私は、この周知期間をうまく活用しながら、各学校での取組の改善につなげていくことが大切だと考える。

 併せて、私たち自身が「主体的に対話を重ねて深い学び」の機会をもち、アクティブ・ラーナーとして学校改善に寄与できる校長にならなければならないと考える。道中研石狩・千歳大会の各分科会や各地区校長会等の研修の場で、「教育の質の向上」ための努力を重ねていきたい。 

 二点目は、「いじめ・不登校への対応と命を大切にする指導の推進」について。

 昨年九月に、文部科学省から「不登校児童生徒への支援の在り方について」という通知が発出された。その中では、「不登校はどの生徒にも起こり得ること」としてとらえ、支援を行う重要性について示すと同時に、「児童生徒理解・教育支援シート」作成について示している。

 いじめも不登校も、どの学校でもどの生徒にも起こり得ることという認識は、すでに私たち校長にとって当たり前のことになっているが、これからも危機感を忘れず、未然防止と迅速な対応に努めなければならない。未然防止の根幹をなすものは、やはり、「安全で安心できる学校」である。教職員が生徒としっかり向き合っている学校、生徒の変化を教職員で共有できている学校、保護者も巻き込んでネットトラブル等について学習できている学校、そういった基本的な部分を大切にしていきたい。

 併せて、スクール・カウンセラーやスクール・ソーシャルワーカーなどの外部人材の活用に加えて、「特別の教科 道徳」の授業を充実させた豊かな心の育成にも、しっかりと取り組まなければならない。「私たちが過ごしている今は、中学校教育が変化するときである」ということを教職員とともにしっかりと認識し、それぞれの改革を関連付けながら学校改善に取り組んでいきたい。

 三点目は、「信頼される学校づくりのより一層の推進」について。

 広域であり小規模校が多い北海道の特性を考えると、信頼される学校をつくるためには、教員一人ひとりの資質・能力の向上の果たす役割が極めて大きい。大学とのより一層の連携を進めながら、教員のキャリアステージに応じた養成・採用・研修の一体改革が進められようとしている。この施策を有効に活用していくことはもちろん大切だが、OJTのある職場づくりに私たち校長が積極的にかかわる必要がある。

 昨年度は、教職員による不祥事による教育への不信を招いた年だった。飲酒事故やわいせつ行為、体罰等、けっして起きない職場環境は、こうした積み重ねでつくられるものである。また、教職員の時間外勤務の縮減に関しても、部活動休止日の取組の徹底や変形労働時間制度の活用、定時退勤日の実施など、保護者や地域への周知を図りながら、スタートさせることが大切である。

 四月になり、各地区の教育長による教育行政執行方針が報道される中で、特に目につくのは、「コミュニティ・スクール」という言葉である。「地域とともにある学校」として推進が加速されている事業だが、次期学習指導要領の中にも「社会に開かれた教育課程」が示され、「チームとしての学校」づくりにも大きくつながる取組である。今後、各学校での実践を交流しあいながら、よりよい方策を探っていきたい。

 結びになるが、少子高齢化がますます進み人口減少社会に突入していく今、私たち校長は、本道の今後を支える人材を育成する学校教育の中核を担っているという強い自負をもち、全力で取り組む決意である。

(関係団体 2017-05-08付)

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