キャンパス・コンソーシアム函館 高等教育の方向性示す 文科省・常盤高等教育局長が講演
(関係団体 2017-06-07付)

高等教育のあり方を考える会
常盤局長が文科省の政策などを解説した

 【函館発】函館市や市内の大学・短大など八校が連携し、運営するキャンパス・コンソーシアム函館(CCH)は五月二十八日、函館大学で、「道南における高等教育のあり方を考える会」を開いた。道南地域の教育関係者約百七十人が参加。文部科学省の常盤豊高等教育局長が講師として、現在の教育情勢や高等教育を取り巻く状況などを説明し、現在の高等教育に求められていることや方向性を示した。

 CCHは、函館市や市内の大学・短大など八校で構成。各機関同士や地域との連携を図りながら、「函館」のまち全体をキャンパスと想定した「キャンパス都市・函館」の確立を目指し、出前講義や研究発表会、公開講座などを実施している。

 開会式では、後藤泰宏会長があいさつ。「目まぐるしく変化する高等教育に伴い、大学側の対応にも変化が起きている」と話した上で、「今回の講演を通して、教育の現状を理解してほしい」と呼びかけた。

 来賓あいさつでは、衆議院文部科学委員会の前田一男理事が登壇。道南地域だけではなく、全国的に少子高齢化が進み、学校の統廃合が進んでいると話した上で、「函館市の教育の在り方をしっかり考える機会にするとともに、函館が道南圏の教育をまとめていく役割を担えるようになってほしい」と述べた。

 続いて、常盤局長が「今後の高等教育政策について」と題して講演。現在の高等教育に求める要素や十八歳人口の減少、文科省の政策などについて解説した。

 常盤局長は、高等教育が直面している課題として、「高等教育の規模」「高大接続改革の推進」「産業構造の変化や新たなニーズへの対応」の三つを挙げた。その上で、現在の高等教育に求められているのは、各地方の大学が地域創生につながる人材を育成することとした。

 学力向上と高大接続改革に向けては、「知識・技能の確実な習得」「習得した知識・技能をもとにした、思考力・判断力」「主体性をもって多様な人々と協調して学ぶ態度」の三つの育成を必要な要素として強調。

 その上で、「現在の社会に求められているのは、アクティブ・ラーニングの要素を備えた人材。高等教育の段階で、それらの下地を充実させてほしい」と話し、教育活動の充実・発展を強く要請した。

 「高校教育」「大学教育」「大学入試選抜」の三つを連動させ、一体的に改革する「高大接続改革」に関しては、「大学入試制度が変化しなければ、高等教育に変化はない。受験圧力の低下による高校生の学習量の低下の改革にもつながっていく」と話し、改革の必要性を強調した。また、大学教育については、「国際競争が進展する中で、多様な入学者を優れた人材に育成するための教育プログラムの実施が必要」と述べた。 

 学生の就学支援については、本年度から開始された、「新所得連動返還型奨学金制度」「給付型奨学金」の詳細や課題等を説明。「学ぶ意欲のある学生を少しでも援助していけるよう環境を整えていきたい」と話し、学生が学びやすい環境づくりへの姿勢を示した。  

 三十一年度に開学を予定している高等教育機関「専門職大学」については、「カリキュラムを学校だけではなく、その業界の事業者の協力を得ながら構築し、〝スペシャリスト〟の育成につなげていきたい」と説明した。

 講演終了後には、質疑応答を実施。参加者から、「道教育大学函館校の教員養成課程が一時期なくなったことは、文科省ではどのようにとらえているのか」という質問に対して、「十八歳人口の減少に伴い、学校の統廃合で教員の数も減っていく。今後も慎重に対応していきたい」と回答した。

(関係団体 2017-06-07付)

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