北見市の30年度教育行政執行方針―志賀教育長説明 特別支援学級等にタブレットPC 子ども会議小学生へ拡大検討(市町村 2018-02-20付)
北見市教委・志賀亮司教育長
【網走発】北見市教委の志賀亮司教育長は、十四日に開かれた第一回定例市議会で三十年度教育行政執行方針を説明した。学力向上に向け、家庭学習の習慣化、放課後・長期休業中の補充学習に取り組むとともに、研修会の実施などを通して、教職員一人ひとりの授業力・指導力の向上を図る方針を示した。また、三十二年度から全面実施される小学校外国語の教科化については「引き続き道教委と連携し、指導力向上の取組を進める」とした。特別支援教育では、教育活動支援員を増員するとともに、新たに、特別支援学級および通級指導教室にタブレットパソコンとデジタルテレビを計画的に導入し、児童生徒の特性に応じたきめ細かな指導の充実に努める。また、いじめ対策の取組として中学生を対象に開いている「いじめのないまちづくり子ども会議」を小学生まで拡大することを検討し、いじめを許さない学校づくりを進めていくよう働きかける。
教育行政執行方針の概要はつぎのとおり。
◇
▼学校教育の充実
▽信頼に応える学校づくりの推進
家庭や地域から信頼され、安心して児童生徒を託すことができる学校運営を行うため、保護者や児童生徒、教職員による学校評価などをもとに、学校が組織的に課題解決できる体制を整えるとともに、学校の教育活動を積極的に発信し、より地域とつながった取組を推進する。
また、教育のプロとして教職員には高い使命感と指導力が求められており、効果的な研修事業を引き続き実施する。
さらに、「学校力向上に関する総合実践事業」など道教委の事業を活用するとともに、北見工業大学や日本赤十字北海道看護大学と連携した研修会を通して、教職員の指導力向上に努める。
▽確かな学力を育成する教育の推進
学力向上の取組では、家庭学習の習慣化や、放課後・長期休業中の補充学習に取り組むとともに、指導力向上推進事業をはじめとした研修会を引き続き実施し、教職員一人ひとりの授業力・指導力向上を図る。
さらに、教育活動支援講師を配置し、複数教員による個に応じた指導の充実に努める。
教育の情報化の推進では、教育用コンピューター機器の更新を計画的に進めるほか、分かりやすい授業の実現を目指し、小学校に引き続き中学校のすべての普通教室に実物投影機とデジタルテレビを導入する。
また、児童生徒の情報活用能力の育成に努めるとともに、情報モラル・マナーを身に付ける指導の充実を図る。
併せて、学校間および学校と教委をつなぐ校務支援システムを活用し、校務の一層の効率化を進めることで教職員の負担軽減を図り、児童生徒に向き合う時間の確保に努める。
国際理解教育では、外国語を通じ、言語や文化について体験的に理解を深めるよう、英語指導助手を学校に派遣し、小学校外国語活動や中学校外国語科の充実に一層努める。
また、三十二年度から実施される小学校外国語の教科化に向けて、引き続き道教委と連携し、指導力向上の取組を進める。
キャリア教育では、地域の事業所や関係機関と連携し、職場体験などを通して児童生徒の勤労観・職業観を育む。
環境教育では、自然体験やリサイクル活動などを通して、環境保全に努める意欲や態度を育成する。
特別支援教育では、教育支援員および医療的ケアを行う看護師の配置に加え、教育活動支援講師を増員するとともに、特別支援学級および通級指導教室にタブレットパソコンとデジタルテレビを計画的に導入し、児童生徒の特性に応じたきめ細かな指導の充実に努める。
小学校と幼稚園、認定こども園、保育園との連携では、就学後の円滑な教育活動に資するよう、幼保小三者協議会や特別支援教育連携協議会で情報を共有し、途切れのない支援を行う。
▽豊かな心や健やかな体を育成する教育の推進
道徳教育では、小学校において道徳が教科化となるが、教育活動全体を通して、児童生徒が自己をみつめ、物事を多角的・多面的に考えることができるよう、指導の充実を図る。
いじめ対策では、日常の観察やアンケート調査などによる的確な状況把握と教育相談の充実によって、いじめ防止と早期発見、対応に努める。
また、中学生を対象に開催している「いじめのないまちづくり子ども会議」を小学生まで広げることを検討し、児童生徒が自主的に考え、いじめを許さない学校づくりを進めるよう働きかける。
不登校対策では、児童生徒の変化に十分留意して不登校の未然防止に努めるとともに、本人および保護者の悩みや課題を解決できるよう教育相談を実施する。
また、適応指導教室「あおぞらくらぶ」に通級している児童生徒への学習支援を充実させ、学校復帰や望ましい進路の実現につながるよう取り組む。
問題行動への対策では、『教育相談の手引』の活用や教職員の日常的なかかわりを深めるとともに、懇談会や学校だよりの活用、家庭訪問の実施など、家庭と連携した生活指導を進める。
さらに、生徒指導担当教員連絡協議会による情報共有や実践交流などを通して迅速かつ適切な対応ができるよう、学校を支援する。
読書活動の推進では、学校図書館の環境改善に大きな役割を果たしている学校司書を計画的に増員し、併せて専用パソコンを配置するとともに、中央図書館や地区館とも連携しながら、児童生徒の読書活動を支援する。
体力向上の取組では、北見市体力向上推進委員会と連携し、幼保小中の教職員を対象とした体力向上のスキルを学ぶ講習会を実施するとともに、各学校においては「体力向上プラン」に基づいた取組を進める。
健康教育では、家庭と連携し、基本的生活習慣の改善に取り組むとともに、薬物乱用や性の問題、心の問題などに関する学習を充実する。
また、市内すべての小学校において実施しているフッ化物洗口事業を関係機関と連携を図り継続実施し、歯・口腔の健康増進に努める。
防災教育および安全教育では、『北見市防災教育の手引き』や各学校の『危機管理マニュアル』を活用した避難訓練の実施や交通安全教室などを通して、防災や安全に対する意識を高める。
食育では、食の重要性、食に感謝する心、食を通じて地域を理解することなど、食育の推進に向けた様々な教育活動を進める。
また、給食の充実では、栄養バランスの取れた食事の提供によって、成長期の児童生徒の健康増進を図るほか、積極的に地産地消を推進するとともに、食物アレルギーに対する取組の徹底を図り、引き続き安全で安心な給食の提供に努める。
▽教育環境の整備
現在進めている留辺蘂小学校改築事業では、グラウンド・外構整備を実施し、美山小学校では、障がいによって移動が困難な児童の学習環境の改善を図るため、エレベーターを設置するとともに、小・中学校屋内運動場のバスケットゴールなどの落下防止対策を実施し、安全で快適な教育環境の整備に努める。
小・中学校の適正規模・適正配置では、「小・中学校の適正規模に関する基本方針」に基づき、学校を取り巻く環境に十分配慮しながら、保護者や地域の方々と協議を重ね、児童生徒にとってよりよい教育環境の形成に努める。
児童生徒の安全管理では、関係機関と通学路の点検を行い、通学区域の環境改善に努める。また、犯罪被害や交通事故を未然に防止するため、引き続きスクールガードリーダーを配置するなど、通学時の安全確保に取り組む。
私学の振興および修学支援では、私立高校の教育振興のため、必要な支援を行うとともに、次代を担う有用な人材を育成するため、高校生への奨学金支給枠の拡充措置や大学などへ進学する際に活用できる入学準備金貸付制度を継続し、修学機会確保の一助となる支援策を講じる。
▼社会教育の充実
▽学校・家庭・地域が連携し子どもを育てる環境づくりの推進
家庭や地域の教育力を高めるとともに、三者が一層連携を深めていくため、保護者のみならず、誰もが参加できる生涯学習セミナーとして、家庭教育に関する講演会を開く。
また、親子で絵本に親しみ、子どもの豊かな心を育てる「乳幼児絵本スタート事業」に引き続き取り組むとともに、魅力ある体験学習を実施する「土曜学校」では、多様な経験や技能をもつ地域の方々を講師に招き、これまで未実施の小学校六校を対象に実施する。
(市町村 2018-02-20付)
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