２９年度いじめ問題への対応状況調査　小学校の認知件数２９８件増の５５８件　相談しない児童生徒が増加―釧路市教委まとめ、１１月末現在

（市町村 2018-02-21付）

　【釧路発】釧路市教委は、二十九年度におけるいじめ問題への対応状況の調査結果をまとめた。二十九年十一月末時点の結果。小学校では前年度同期比二百九十八件増の五百五十八件、中学校では三十五件増の百四十七件発生しており、小学校では二百九十八件、中学校では五十六件が解消。本人や保護者からの訴えで発見した件数は少なく、「相談しない」という児童生徒が増加したことから、市教委では子どもが相談しやすい体制づくり、教職員による組織的な見守り活動などの必要性を課題に挙げた。

　道教委の「二十九年度いじめの問題への対応状況調査」によるもの。

　小学校は前年度同期比二百九十八件増の五百五十八件（男子三百八件、女子二百五十件）発生。うち、三ヵ月以上継続して解消したのは二百九十八件、行為が止んでいないのは五十八件だった。

　前年度に比べ大幅に増えたことについて、市教委は「いじめに対して積極的に認知する学校が増え、小さないじめを見逃さない意識が高まったこと、調査の文言が〝いじめられたことがあるか〟から〝いやな思いをしたことがあるか〟に変更になったことが要因」と分析。

　中学校は、前年度同期を三十五件上回る百四十七件（男子六十五件、女子八十二件）が発生。うち、五十六件が解消し、八件で行為が止んでいない状況。男子の方が多い傾向の小学校とは違い、中学二年生、中学三年生の女子のいじめの認知件数が多い。

　小中ともに解消率が半数程度であることについて、市教委は「いじめ解消の判断が少なくとも三ヵ月以上いじめの行為が止んでいることという要件があり、学校が解消の判断を慎重に行っていることは好ましい状況」とみている。

　いじめの態様は、「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、いやなことを言われる」が小学校で三百七十件、中学校で百二十六件と最も多く、次いで、「軽くぶつかられたり、遊ぶふりをしてたたかれたり、けられたりする」が小学校百七十五件、中学校で十八件と多かった。

　いじめ発見のきっかけは「アンケート調査など学校の取組によって発見」が多い一方で、学級担任の発見、本人・保護者からの訴えは少なく、市教委では「子どもが相談しやすい体制づくり、教職員による組織的な見守り活動、教育相談の活用が大切」としている。

　いじめられたときに相談する人について、小中ともに父母が多いが、相談しないという児童は六・六～一三・二％、生徒は一三・二～一七・九％いた。五月の調査よりも「相談しない」が増加し、特に、中学一・二年生で二％前後増加した。

　児童生徒のいじめに対する認識では、「いじめは許されないことだと思う」と回答した児童生徒が九〇％以下であり、特に中学一年生では五月調査より減少した。市教委では「いじめそのものがよくないことという指導を徹底することが必要」としている。

(市町村 2018-02-21付)