道教組2018年度運動方針―具体的運動の進め方
(関係団体 2018-03-09付)

 道教組第三十一回定期大会で決定した二〇一八年度運動方針のうち、具体的運動の進め方の概要はつぎのとおり。

【憲法と教育の条理に立脚した教育の実現を目指す取組】

▼子どもたちの「命を大切にし、学ぶ喜びを保障する教育・学校づくり」の取組を進める

▽道教組は結成以来、運動方針の重要な柱の一つに「参加と共同」の学校づくりを位置付けてきた。その柱の原案は、つぎの三点にまとめられる。この三つの視点をあらためて大いに論議し、実践を増やしていく。

〈学校づくりの三つの視点〉

①子どもたちの側からの「授業づくり」と「仲間づくり」

②権利主体の発達要求に基づく学校の教育条件の前進

③子どもたちを支える教職員の教育の自由と父母・地域との共同

〈学校づくりの視点の具体的提案〉

※子どもたちの側からの「授業づくり」と「仲間づくり」

①受験・学力テスト体制を改め、「問う」ことを大切にした「授業づくり」

②子どもたちの実世界に即した活動と連帯と共感的な仲間づくり

※権利主体の発達要求に基づく学校の教育条件の前進

①「問い」が生まれる「授業」に必要な時間と休息がある生活条件

②子どもたちの安全・安心な学校施設と条件

③教育条件の最も大切な要素としての教職員の働き方

※子どもたちを支える教職員の教育の自由と父母・地域との共同

①子どもに即した教育課程と豊かな学びをつくり、行事・活動を支える教師集団の協働性

②保護者・地域の人々と、子育て・地域の未来像の語り合い

③子どもを取り巻く保護者・地域の大人、教育機関・福祉機関・医療機関との共同

 この「学校づくりの視点」の討議、実践がまだ十分とは言えない。今後も、この視点を大事にした実践が求められる。

▽十八歳選挙権を踏まえ、小・中学校における自治的活動が重要になる。児童会・生徒会活動などを通して、子どもたちの自発的討論に基づく要求や意見表明権を大切にし、学校づくりへの子どもの参加を進める。

▽教育懇談会や学級PTAなどで出された保護者の声を学級づくり・学校づくり、教育課程づくりに生かす取組とともに進める。

▽子ども・保護者・地域の学校への願いを学校づくりに生かすため、アンケート活動などに取り組む。

▽不登校などの問題について、全教職員と父母・子どもとの共同でその打開を目指す。

▽「日の丸・君が代」の押し付けの攻撃に対しては「憲法・子どもの権利条約」に基づき、子どもを中心に据えた教育活動、卒業式・入学式を目指し、教職員、保護者・地域の教育的合意をつくりながら反対する。「日の丸・君が代」の歴史、その意味などについて、史実・事実に基づき授業実践をみんなで論議しながら進める。

▽道教委などが主催する行政研修に対しては、主催者が参加者からアンケートを取るなど研修内容や研修時期の改善を行うよう求めていく。

①初任者研修について、研修内容や日程が該当者にとって負担にならないよう、今後も道教委に対し検証を求めていく。

②十年経験者研修が中堅教諭等資質向上研修に改められ、国の意向を反映した教員養成が行われる危険性がある。今後、「国の意向に沿う教師づくり」の問題点を明らかにし、国や道に改善を訴えていく。

▽学校の運営と組織の在り方については、校長・市町村教委と合意を図りながら、全教職員参加の学校運営、子ども・父母参加と地域に開かれた学校づくりを進める。

▼改訂学習指導要領の抜本的見直しを求め、すべての子どもが学ぶ喜びを感じ、生きる力(自立心)が育つ教育課程・授業づくりに努める

▽改訂学習指導要領のねらいや道徳の教科化、外国語教育の早期化、過密・過大な学習内容などの問題点を明らかにし、抜本的な見直しを求める世論を広げる。

▽中学校の道徳教科書採択に当たっては、採択制度の民主的改善を求める。教職員が教科書展示会に積極的に参加し、自分たちの目で確かめ、意見を提出することを重視する。

▽各学校における教育課程編成に当たっては、学校の自主性を保障し、子どもの実態と地域の実情に応じた取組を進める。

▽特定の教育観・教育理論を前提にせず、誰でも気軽に参加でき、「子どものための道徳教育」を学び合う場としての「北海道 道徳教育フォーラム」を発展させる。さらに、全道合研で道徳教育および「教科道徳」の授業づくりを広く交流し、学び合いを広げる。

▽授業時数増などによって、土曜授業が増えている。その実態を把握しながら問題点を検討し、道教委に問題点を指摘していく。

▽子どもたちが学校生活で「ゆとり」をもち、安心して生活できる条件整備を求める。特に、障がい児の生活と安全を保障するための取組を重視する。学校図書館の図書充実のための予算確保を求めていく。

▽全国学力・学習状況調査の実施と都道府県・市町村・管内・学校ごとの成績公表に反対する。全国学力・学習状況調査の問題点や学力問題などについて、保護者・道民との対話や懇談の取組を進める。

▽「学び合い」を重視する。

①改訂学習指導要領の全道連鎖学習会の成果を基に、実践的な学びをことしも取り組む。各単組・連絡会は学習会の成功に向け、組合員が職場の教職員(未組)を誘って参加するよう取り組む。

②民間教育研究団体や地域のサークル・研究組織などが主催する研究会に積極的に参加し、学び合いを深める。

▼子ども・青年・家族電話相談・支援活動、教職員SOS相談室だけではなく、講演会・シンポジウムの開催、情報提供なども検討する

▼機械的な学校統廃合に反対し、子ども・保護者とともに小規模でも地域の学校として生かせる方法を検討していく

▼合同教育研究集会など自主的な教育研究活動を積極的に推進する

▼障がい児教育のリストラを許さない取組をすべての子どもたちの教育権の保障の観点をもちながら進める

▼子どもの健康を守るため、学校・家庭・地域の教育関係者の共同の取組を進める

▼ゆきとどいた教育を求める教育全国署名運動をさらに発展させ、国と道による少人数学級の拡大実施を迫る運動を進める

▽ゆきとどいた教育を進める北海道連絡会の活動に引き続き取り組み、ゆきとどいた教育を求める教育全国署名運動を大きく発展させる。北海道私学助成をすすめる会との共同も目指す。

▽加配措置ではなく、国の責任による小学校二年生以上の三十五人以下学級、新しい定数改善計画を拡大することを求める。

▽小学校二学級三定員・三学級四定員・六学級八定員の解消、複式学級編制基準の改善、養護教諭の複数配置、養護教諭・事務職員の全校配置に向けた道民的運動を強め、国の改善計画にも反映させる取組を強める。

▽道による少人数学級の拡充を求める運動を強め、重点として、中学校一年生の三十五人学級における一学級対象外を改善することを求めていく。

▼教育委員会や自治体首長への請願や訪問活動を進めるとともに、教育全国署名などの運動で道民的運動の前進に努める

▽教育委員会や自治体に書記局が訪問するだけではなく、地元の単組・連絡会が、高教組支部や地域の民主団体とともに教育長や首長との懇談を進める。

▼ゆきとどいた教育を進める立場から、公的財政支出をOECD諸国並みに引き上げるなど教育予算の増額を求める

【賃金・権利・医療・年金・消費税など国民と教職員の生活を守るため、教職員・父母・道民と共同する取組】

▼教職員人事評価制度に反対し、民主的公務員制度の確立、公務員・教職員賃金改善を目指す

▼長時間過密労働を解消し、子どもたちにゆきとどいた教育を保障するため、労働時間短縮・諸権利を守る取組を進める

▽教職員が生きがいをもち、生き生きと働ける職場環境、そして、長時間過密労働の解消を求める。

①時間外勤務の回復措置や勤務の割り振り変更の拡大、自主研修権の保障、職場交渉権の確立に努める。長期休業中を含めた教職員の割り振り変更を求める。

②無原則な勤務時間の延長とならないよう、学校長と労働安全衛生法の趣旨にのっとり、適正な時間管理を求める。

③運動会・学習発表会などの週休日勤務の割り振りを実質的に取れるよう、校内体制を整備する。

④超過勤務の主要因である少年団活動、部活動についてさらに議論を深め、子どもの健康保持・成長発達の保障と教職員の超過勤務解消に向け、スポーツ庁の「ガイドライン骨子」・文部科学省の「緊急提言」や六者申し合わせの周知によって、週二日の「部活動休養日」の完全実施を目指す。

⑤部活動指導における負担軽減策として、外部指導者の活用を求めていく。

⑥研修などの諸権利に対する攻撃を許さないためにも、父母・道民の負託に応える学校づくりの取組に全力を挙げる。

⑦「教職員の権利一覧」をもとに、職場・地域で権利学習を進める。

▽時間外規制やサービス残業の一掃など働くルールを確立する全労働者のたたかいに参加するとともに、学校職場での時間外労働の縮減を図り多忙感を解消するため、文科省・厚生労働省・道教委などに要請を強める。

▽長時間過密労働の抜本的解決のために、教職員の定数増、時間外勤務手当制度の確立を目指し取り組む。

▼定年延長、雇用と年金の確実な接続を求める

▼公務員・教職員の労働基本権回復を求める

▼労働安全衛生体制を確立し、「安全・快適・ゆとり」の学校・職場づくりを進める

▼教職員の生活を守る、命と健康を守る、身分を守る全教共済を広げる

▼年金・医療保険・介護保険など、社会保障制度の改悪や消費税増税反対など、国民・道民の暮らしを守るたたかいを進める

▼TPPの廃止、安心・安全な食の供給、日本農業の発展、自給率の引き上げを目指す運動を進める

【民主的人事の実現と教育行政の民主化のために】

▼人事要求の実現と民主的人事交流の実現を目指す

▼再任用制度における希望者全員雇用、勤務地の希望尊重を目指し取り組む

▼父母・道民との共同の力で民主的学校づくりを進める

▽父母・道民に信頼される学校づくりをすべての教職員の共同で進める。

▽主任制度の意図をもち込ませない取組を進めるとともに、手当支給に当たっては個人所得にしないことを基本に拠出を広く呼びかける。

▽管理職や主幹、主任層など一部の職員による学校運営を許さない体制を確立する。

【「対話と共同」の運動を前進させ道教組の発展・強化を目指す】

▼職場・地域を基礎に「対話と共同」の運動を進める

▼道教組の拡大・強化の取組を進める

▼専門部の取組を強化する

▼労働運動・教育運動の学習に努める

▼道内における労働運動・公務労働者運動の前進を目指し、道労連・地区労連や北海道公務共闘の組織と運動の発展に力を尽くす

▼道高教組・道教組運動の連携を目指す

▼教職員組合運動、道教組の基本として以下の点を明確にする

▽要求の一致に基づく行動の統一、政党からの独立を団結の基本として堅持する。

▽組合員の政党支持・政治活動の自由を保障するとともに、権力の攻撃からそれを守る。

▽すべての政党に対し、要求の一致に基づく協力・共同を働きかけ、一致点での共同を進める。

(関係団体 2018-03-09付)

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