札教組が定期大会開く 2018年度運動方針を協議 教育予算の拡充求める(関係団体 2018-03-09付)
約260人が参加し、2018年度の運動方針などを決定した
札幌市教職員組合(=札教組、筒井比呂志執行委員長)は二月二十八日、市内の道教育会館で第二回定期大会を開いた。スローガン「教え子を再び戦場に送らない」のもと、二〇一七年度のたたかいを総括するとともに、二〇一八年度の運動方針などを協議。教育予算の拡充と教職員の賃金・勤務条件の改善を要求し、教育費の保護者負担軽減のために取り組むことなど七つの方針を掲げた大会宣言も採択した。
大会では、筒井執行委員長があいさつ。自民党や文部科学省の動向にふれ「現場を無視したトップダウンの“教育改革”は、学校現場の混乱を招くだけではなく、ますます子どもたちの豊かな学びを阻害することになる」と指摘した。
あらゆる差別を許さず、平和で平等な社会の実現を目指すため「子どもたちを中心に据えた教育活動や自主・自律の学校づくり、憲法・子どもの権利条約、札幌市子どもの権利条例の理念に基づく教育を実現させるため、取組を強化することがますます重要になる」と訴えた。
また、県費負担教職員の給与負担移管に伴い、教職員の給与・勤務条件などを札幌市が決定することにふれ「札教組の存在意義や取組の重要性が高まっていく。これまでの取組に自信と確信をもち、運動を前進させていかなければならない」と呼びかけた。
続く議事では、二〇一七年度の札教組のたたかいについて総括したほか、二〇一八年度の運動方針を決めた。
運動方針の「とりくみの重点」には、「教育の国家主義化、学校教育への市場原理にもとづく差別・選別の競争主義の導入に反対し、民主教育確立のたたかいを進める」「いじめ・自殺・非行・問題行動の克服に向けて、全力をあげて取り組む」「子どもの権利条約の理解と学習を深め、札幌市が制定した子どもの最善の利益を実現するための権利条例の精神を具体化するための取組を進める」「政令指定都市教組としての課題を整理し、組織力の向上を図る論議を進める」などを掲げた。
また「義務教育費国庫負担制度改悪に反対し、二分の一復元に取り組み、教育予算の拡充と教職員の賃金・勤務条件の改善を要求し、教育費の保護者負担軽減のために予算の増額を勝ち取ること」など七つの方針を掲げた大会宣言を採択した。
◆大会宣言―7つの方針掲げる
大会宣言の概要はつぎのとおり。
◇
私たち札教組は、民主教育を確立する運動に取り組み、諸先輩が築いた運動の歴史と伝統を受け継ぎ、さらに団結を強め運動を発展させるために、札教組第二回定期大会を開催し、二〇一七年度の取組やたたかいを厳しく総括した。
「戦争する国づくり」に突き進む安倍政権は、昨年「現代の治安維持法」ともいえる「改正組織犯罪処罰法案」いわゆる「共謀罪法案」を国会に提出し、十分な議論もないまま、またしても数の力で強行成立させた。さらに、十月の衆議院選によって「憲法改正」発議に必要な三分の二の勢力を再び確保し、自衛隊の存在を明文化させるなどの憲法改悪を狙っている。
今後、二〇二〇年の東京五輪や朝鮮半島情勢を口実に、国民を改憲の道へと誘導し、憲法改悪が現実のものとなることが危惧される。
教育政策においては「教育再生」を最重要課題の一つとし、自民党に「教育再生実行本部」を立ち上げ、内閣官房には「教育再生実行会議」を設置し、教育の国家統制の足がかりとしている。また、「新学習指導要領」では、中学校保健体育の武道に銃剣道を追加、近隣諸国条項の一方的な見直し、検定教科書を用いた特定の価値観を押し付ける「特別の教科 道徳」の導入など、右傾化が進められている。
さらに小学校五・六年生の英語科や三・四年生の外国語活動の導入による授業時数増など、実態を無視したトップダウンの教育施策が学校現場の混乱を招くだけではなく、子どもたちの豊かな学びを阻害することは明らかである。
私たち札教組は、直面するこれらの情勢等を厳しく分析し、二〇一八年度の運動方針を決定した。
第一に、憲法改悪を許さず、「教育基本法を元にもどす」取組を進め、差別・選別を進める「教育改革」と対決し、保護者・市民とともに民主教育を推進する。
第二に、教職員定数増、「給特法」廃止など教育施策にかかわるすべての課題について、文科省および市教委に対し、超勤解消につながるよう大幅な改善を要求し、真の「働き方改革」を実現するために組織の総力を挙げて取り組む。
第三に、組織の破壊と分断、教職員の管理統制を図り、差別賃金を生み出す「学校職員人事評価制度」の実体化を許さず、自律的・民主的職場づくりの取組を進め、諸権利の定着・拡大を図るため、組織一体となって取り組む。
第四に、「学習指導要領」体制を打破し、地域・保護者・子どもの願いに即した教育課程の編成を自らが行い、「ゆとりがあって、わかる授業、楽しい授業」を実践し、豊かな教育の実現を進める。
第五に、市教委による卒・入学式での「国旗・国歌」の校長への「職務命令」の撤回を目指すとともに、管理体制強化を許さず、職員会議の民主化に取り組む。
第六に、義務教育費国庫負担制度改悪に反対し、二分の一復元に取り組み、教育予算の拡充と教職員の賃金・勤務条件の改善を要求し、教育費の保護者負担軽減のために予算の増額を勝ち取る。
第七に、平和教育の推進と反核・反原発、人権擁護・反差別の取組を強化し、「子どもの権利条約・条例」の理念をすべての場に生かすとともに、男女平等、共生・共学の視点に立った教育を進める。
以上の方針を実現するため、私たち札教組は教育労働者としての自覚をもち、いかなる組織攻撃にも対峙し、組織の団結を守るとともに組織の拡大・強化を図り、平和で民主的な社会の実現と民主教育を確立する。
私たち札教組は「教え子を再び戦場に送らない」という組織結成の原点に立ち、本定期大会で決定した方針に基づき、組織の総力を挙げて取り組むことをここに宣言する。
(関係団体 2018-03-09付)
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