北教組が配置計画案に対し声明 機械的削減容認できず 地域合同総合高校設置求める(関係団体 2018-06-11付)
北教組(信岡聡中央執行委員長)は六日、道教委の三十年度公立高校配置計画・公立特別支援学校配置計画案の撤回・再考を求める声明を発表した。高校配置計画案は「中卒者数減を口実にした機械的な間口削減で断じて容認できない」、特別支援学校配置計画案についても「障がいのある子どもの分離・別学を進める」と批判し、教育の機会均等を求めた。
声明の概要はつぎのとおり。
◇ ◇ ◇
道教委は六月五日、二〇一九年度から三年間の公立高校配置計画案および二〇一九年度公立特別支援学校配置計画案を公表した。特に二〇二一年度については、三月に新たに策定した「これからの高校づくりに関する指針」を口実に、大規模な再編統合など機械的間口削減を示したものである。
公立高校配置計画案は、新たに公表した二〇二一年度では、①南幌を募集停止とする②女満別(道立全日制)と東藻琴(町立定時制)を再編統合し、一学級の新設校(町立総合学科)を設置する③滝川など十六校で計十七学級の減とする④苫小牧工業の定時制課程を学科再編し一学級減とする一方で、地域の中卒者増を勘案し、札幌真栄で一学級増とする―とした。また、二〇一九年度については、①夕張、松前を地域連携特例校とする②私立江陵(四学級)と道立幕別(一学級)を再編統合し、三学級の新設校を設置する。二〇二〇年度については、①釧路工業は電子機械科を一学級減じ、深川東など五校は一学級減じ学科転換する②岩内の地域産業ビジネス科(現事務情報科)に学科転換し単位制を導入する―などとした。
これらは、今後三年間で一校の募集停止をはじめ再編・統合、学科転換などによって五十三校で五十四学級減を強行するものであり、中卒者数減を口実にした機械的な間口削減で断じて容認できない。
私立江陵と道立幕別、女満別と東藻琴の再編統合は地域の要望とされたが、そもそも機械的削減を続ける配置計画に基づく統廃合によって小規模校を抱える自治体が追い込まれ、存続に向けてやむを得ず判断したものである。一方で、蘭越、虻田、苫前商業、常呂、阿寒、置戸の六校については、再編整備の要件に該当するものの「所在市町村をはじめとした地域における、高校の教育機能の維持向上に向けた具体的取組とその効果を勘案し、再編整備を留保する」とした。また、本年度の第二次募集後に一学級相当の欠員が生じ学級減となった長沼など十五校の二〇一九年度の学級数についても昨年度同様に、九月の計画決定時に公表するとした。
これらは、いずれも当該地域に高校存続への努力を求め、ことさら子どもや保護者に不安を与えるものである。また、新たな高校教育に関する指針に基づく配置計画が、三年前から再編整備を予告することによって、地域が自助努力を求められ再編を要望せざるを得ないよう追い込まれた結果である。
こうした公立高校配置計画によって、今後一層高校は減少し地域の疲弊・衰退につながることは明らかである。
また、子ども・保護者や地域の高校存続を求める声を顧みず、希望するすべての子どもたちに高校教育を保障する責務を放棄し、教育の機会均等を阻害する道教委の姿勢は断じて容認できない。
公立特別支援学校配置計画案は、二〇一九年度に高等支援学校(職業学科設置校)において二学級減とし、知的しょうがい四十七校において三学級十九人の定員増など全しょうがい児学校六十一校で四学級十七人の定員増とした。二〇二〇年度も学級増を計画するなど分離・別学を継続する姿勢を示している。二〇一八年度の特別支援学校入学者数は、中卒者が八百五十九人の減にもかかわらず、一千二百六十八人と昨年度同数に上った。
このように、「分けることは差別につながる」とする国連障害者権利条約の理念に反し、文科省・道教委の進める特別支援教育によって分離・別学を一層進める姿勢は容認できない。道教委は、しょうがいのある子どもたちの地元の普通高校への入学や進級・卒業に向けた合理的配慮を行うことが急務である。
北教組は引き続き、新指針とそれに基づく配置計画案が、子ども・保護者や地域住民の高校存続を求める声を無視するものであることから、道教委に対し撤回・再考を求めるとともに、受験競争の激化や高校の差別・序列化を加速させる学区拡大・再編統合、エリート校の設置、学校裁量問題等に反対していく。
そのため、どの地域に暮らしていてもしょうがいのある・なしにかかわらず希望するすべての子どもが地元で学べる「地域合同総合高校」の設置など、子どもの教育への権利と教育の機会均等を保障するための道民運動を一層強化していく。
(関係団体 2018-06-11付)
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