ひきこもりに関する実態調査―札幌市 推計19823人 小・中時代 親友少ない傾向(市町村 2019-03-15付)
札幌市は、ひきこもりに関する実態調査の結果をまとめた。十五歳から六十四歳までに無作為抽出アンケート調査等を行い、現在ひきこもり状態にある市民の人数を計一万九千八百二十三人と推計。十五~三十九歳の広義のひきこもりに該当した人は、小・中学校での経験について「親友がいた」と答えた人が、該当しない人に比べて少ない傾向がみられた。
市は、三十年七月から九月中、ひきこもりなど困難を抱える市民の自立に関して、より効果的な支援を検討するため、二十三年度以来二回目の実態調査を実施。ひきこもりの最新の実態および当事者のニーズや課題等を把握することをねらった。
今回の調査は、ひきこもりの長期化や高年齢化が問題になっていることを踏まえ、前回調査では対象年齢が十五歳から三十九歳までだったところを、六十四歳までに拡大。一万人を対象に、無作為抽出アンケート調査を行った。
調査では、内閣府の定義を用いて「ほとんど家から出ない状態が六ヵ月以上継続し、かつ身体的疾病、仕事、育児などをその理由としない人」を広義のひきこもり群、「ひきこもりたいと考えたことがある」などと答えた人を親和群、どちらにも当てはまらない人を一般群と分類した。
調査の結果、広義のひきこもり群の推計人数は一万九千八百二十三人。広義のひきこもり郡が最も多い年代は四十~五十九歳で、八千百二十八人と推計した。
十五~三十九歳の広義のひきこもり群では、小・中学校での経験について、「友達とよく話した」「親友がいた」と答えた人が一般群に比べて少なかった。「友達といるよりも一人で遊んでいる方が楽しかった」「不登校を経験した」と答えた人は一般群よりも多い傾向がみられた。
広義のひきこもり状態となったきっかけについては、人間関係や就職活動が「うまくいかなかった」などと答えた人が多く、次いで、小・中・高校での「不登校」、「大学になじめなかった」が続いた。最多の回答は「その他」で、自由記述では「なんとなく」など明確なきっかけが見当たらない回答が多かった。
「現在の状態について、どのような機関なら相談したいと思うか」という質問には、「親身に聞いてくれる」「無料で相談できる」が多く、つぎに、「医学的な助言をくれる」「匿名で相談できる」などが続いた。なお、「どのような機関にも相談したくない」との回答が最も多かった。
過去に広義のひきこもり群だった十五~三十九歳の人が、ひきこもり状態ではなくなったきっかけに関しては、自由記述で「友人や家族の助言や支え。外に連れ出してくれる親友がいて、少しずつ回復していった」「学校で心の相談室みたいのに行った。親と毎日話した」といった意見や、就職などを機に将来が明確となったことなどの意見が上がった。
このほか、ひきこもり当事者やその家族百三十七人に向けたアンケート調査や、民生委員・児童委員二千六百四十人を対象にアンケート調査も実施した。
ひきこもり当事者などへのアンケート調査で、ひきこもり状態からの立ち直りに関する行動を起こすきっかけについて、「相談窓口等の支援策の存在を知ったこと」が最も多く、「親や兄弟などの働きかけ」「体調の回復」などが続いた。
ひきこもり状態を変えるために役立っていることについて、十五~三十九歳の当事者の回答では、「ひきこもりに関する相談窓口」や「就労に向けたトレーニング」が多い傾向となった。
民生委員・児童委員のアンケート調査では、ひきこもりの人への必要な支援策に関して「支援・相談窓口の周知・PR」との回答が最多。つぎに、「専門的な医療支援・カウンセリングの充実」「総合支援窓口の充実」などが続いた。
(市町村 2019-03-15付)
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