次年度以降への学習内容繰越　文科省が新型コロナ踏まえ容認　ＩＣＴで個人学習

（コロナウイルス関連 2020-05-19付）

　文部科学省は、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた教育課程編成の方向性をまとめ、１５日付で各都道府県・指定都市教委教育長などに通知した。授業コマ数増加による時間割編成の工夫など、教育課程編成の見直し例を周知。年度内の指導が完了できない場合の特例的措置として、令和３年度または４年度までの教育課程に繰り越すこと、ＩＣＴなどを活用し、学習活動の一部を授業以外の場で行うことを認めた。文科省は今後、各教科等の留意事項や具体的な活動例などの参考資料を示す予定。

　文科省は１５日付で通知「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた学校教育活動等の実施における“学びの保障”の方向性等について」を各都道府県・指定都市教委教育長などに発出。新型コロナウイルス感染症対策と子どもの学びの保障を両立していく上での基本的考えと取組の方向性を示した。

　新学習指導要領の趣旨を踏まえた教育課程を編成する必要性を指摘。授業時間短縮による１日の授業コマ数増加による時間割編成の工夫、長期休業期間の短縮、土曜日の活用、学校行事の重点化、準備時間の縮減などの工夫例を挙げた。

　これらの取組を行い、なお当初の予定を年度内に終了することが困難な場合の特例的対応として、①次年度以降を見通した教育課程編成②学校の授業における学習活動の重点化―を示した。

　①では、最終学年以外（小学１～５学年、中学１・２学年、高校１・２学年等）の児童生徒において、３年度または４年度までを含めた教育課程の編成を認めた。

　②では、ＩＣＴなどを活用し、個人でも実施できる学習活動の一部を授業以外の場で行うことを認め、教員、児童生徒間のかかわりが重要な学習への動機付けや協働学習、実習などに重点化。

　学習指導員の活用や地域・家庭との連携を図り、指導を充実する。感染症対策を講じても感染の可能性が高い学習活動に関しては、教員による適切な事前・事後指導と授業以外の学習を組み合わせた指導計画を立案するなどの見直しを行う。

　文科省は今後、これらの対応を可能とする制度的措置を講じ、各教科等の留意事項や具体的な活動例などの参考資料を示す予定。

　萩生田光一大臣は１５日の記者会見で、学習内容の次年度以降の繰り越しに関し「原則、年度内に必要な指導を終えることが大前提」と強調。「長期休業期間や土曜日の活用による詰め込みだけで目標を目指すのではなく、学校教育ならではの様々な行事などを含め、子どもたちの学びを広く考えることが重要」と述べた。

(コロナウイルス関連 2020-05-19付)