支える 備える 攻める 道高校長協会 廣田定憲新会長(関係団体 2020-05-25付)
道高校長協会・廣田定憲新会長
廣田定憲新会長のあいさつ概要はつぎのとおり。
新型コロナウイルスへの対応はもとより、国や道の教育改革の動きは加速度を増しており、様々な教育施策が現場に降りてきている。
我々校長には、“やらない”という選択肢はない。教育改革の背景にあるものをしっかりと認識しながら、わが校にとってどのような形が生徒、教職員のためになるのかを考え、自校の教育活動に落としていくことが大切である。
GIGAスクール構想によって、本道においては令和2年度中にすべての公立高校に高速大容量の通信ネットワーク環境が整備される予定。今回の休校措置を受けて、本道ではすでに、公立・私立問わず、ウェブ会議サービスを活用し、個別面談やホームルーム、オンライン授業の取組を進めている学校がある。今後、各校においては、新型コロナウイルスへの対応としてもたされた先進的な取組を参考にしながら、教科指導をはじめ教育の情報化への対応をスピード感をもって進めていくことが必要である。
昨年末、改正給特法が成立した。今後、3年度に向けて、1年単位の変形労働時間制に関する条例が検討されることとなるが、協会としてもこの法律に関して研修を深め、教職員の命と健康を守り、真に働き方改革につながるものとなるよう意見を述べていく必要がある。
協会の運営に当たり、3つの「S」をキーワードに掲げ、所信を述べる。
1つ目は、「支える」ということ。
学校経営上の課題が多様化・複雑化・困難化する中、1校を預かる校長として厳しい対応・判断を迫られることは、どこの学校でも起こり得る。1人では困難なことも、仲間の“支え”があれば乗り切れることも多々ある。
不祥事対応、保護者対応、生徒対応等で各校長が困っていることがあれば、支部長・ブロック長に相談していただくとともに、支部長・ブロック長においては、それを本部に上げていただき、本部としても困り感を共有し、共に支えていく体制をつくり、解決の糸口を探っていきたい。
ここ数年、教頭の確保と同時に、教頭の資質向上も喫緊の課題となっている。
我々校長は、教頭を育て、支えることも重要な職務である。校長1人では学校経営は推進できない。自身の資質向上はもちろん、校長を補佐する教頭の資質向上なくして学校経営の質の向上は望めない。
各支部・ブロック単位での教頭・副校長研修を充実・拡充するなど、協会として教頭・副校長会の研修活動をしっかりと支えていきたい。
2つ目のSは「備える」ということ。
本道においては、依然として教職員の不祥事があとを絶たない。これは、一部の職員の問題では済まされない。
私たち校長は、信頼される学校づくりの根幹を揺るがす問題と認識し、服務規律の保持の徹底と不祥事の根絶に努めていかなければならないと考える。
平成26年度に協会不祥事防止対策検討委員会で、29年度にはコンプライアンス推進委員会で、それぞれ不祥事防止や危機対応のための研修資料を作成した。先輩の校長が作成した貴重な研修資料だが、その後の活用は十分とは言えない。
先月、研修資料を支部長の校長に配信した。不祥事防止や危機対応に備えるため、この貴重な研修資料を日々の研修はもとより、各支部・ブロック研究協議会での研修に活用していただきたい。
教育再生実行会議の提言が中央教育審議会で審議され、それが文部科学大臣に答申され、国の教育施策としてまとめられている。私たち校長は、つぎの「備え」として、教育再生実行会議の提言を常に注視していく必要がある。
全国高校長協会(=全高長)事務局からは、教育再生実行会議の動きをはじめ、高校教育をめぐる最近の動きを文部科学省の資料も添えながら、きめ細かく情報提供いただいている。
会員には、全高長から得られた情報は時間を置かず、すぐ提供するので、校長間で教育改革の流れを理解・共有し、つぎへの備えをもった学校経営を推進していきたい。
3つ目のSは「攻める」ということ。
前年度は、道教委の施策について、佐藤嘉大前教育長から校長協会としての意見を求められることが何度もあった。大変ありがたいことであり、佐藤前教育長が現場の校長の声を大切にしていた証しであると考える。
その遺志を継ぎ、期待に応えるためにも、我々校長協会は、求められるものに対してのみ答えるのではなく、攻めの姿勢で建設的な意見、創造的な提案をしていく必要がある。
そのためには明確な根拠が必要であり、根拠は何かというと、全道の校長からの情報・知恵・日々の実践である。校長においては、各学校での実践の中で生じた、現状に基づいた率直な意見を支部長・ブロック長に寄せてほしい。それを本部でまとめ、道教委をはじめとした関係機関に校長協会として意見を述べ、提案していきたい。
文教施策要望、調査研究部の研究は本協会の活動の柱である。文教施策要望については、現在、前年度の校長のアンケートをもとに、作業を進めているが、内容を精選し、学校現場にとって、今、本当に必要なものについて、攻めの姿勢で提言型の要望としていきたい。
調査研究部の活動については、委員の校長に大変な苦労をかけることになるが、攻めの姿勢で積極的な提言型の研究となることを期待する。
本年度、協会は公立・私立合わせて283校の校長を会員としてスタートを切った。
283校の1校として同じ学校はない。283とおりの学校経営があり、教育実践がある。だからこそ、全道の校長が集まり、それぞれの学校の学校経営や教育実践を情報交換することで、必ずや自分の学校経営や学校改革のヒントがみつかると考える。
1人の力は微々たるものかもしれないが、全道の校長がネットワークをつくって団結して行動すれば、その力は大変大きなものになると信じている。
6月から学校が再開される予定だが、非常時であることには変わりない。コロナ禍の中、1校を預かる校長として、つらい思いを抱いていると拝察する。
しかし、一番つらい思いをしているのは、学校での学びの時間を奪われ、目標としてきた大会や楽しみにしていた行事が中止に追い込まれている生徒たち。それでも、各校の生徒たちは現実を受け止め、前を向き、必死にこの難局を乗り越えようとしている。
道高校長協会会長という大役を仰せつかった。大変厳しい時期での就任となったが、これからも押し寄せてくるであろう難題に立ち向かい、この任を全うしたいと決意を新たにしている。
あらためて、校長先生方の力添えをお願い申し上げる。
(関係団体 2020-05-25付)
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