道都市教委連・道都市教育長会の3年度文教施策要望 教職員定数の改善求め 耐震化事業採択時期の早期化要請(関係団体 2020-06-12付)
道都市教育委員会連絡協議会(長谷川雅英会長)と道都市教育長会(同)が10日、道教委に提出した令和3年度の文教施策に対する要望書、新型コロナウイルス感染症への対応に関する緊急要望書の内容はつぎのとおり。
【学校における働き方改革の推進について】―重点要望事項
学校における働き方改革を推進するため、つぎのことについて特段の配慮を願いたい。
▽教職員(栄養教諭等を含む)定数の改善を図ること
▽スクール・サポート・スタッフや部活動指導員等の外部人材を積極的に活用することや、スクールカウンセラーおよびスクールソーシャルワーカー等の専門スタッフの配置を拡充すること
▽統合型校務支援システム導入にかかる財政措置を講ずること
▽国や都道府県が実施する事務事業の見直し・削減・廃止を検討すること
【公立文教施設の整備促進について】
▼学校施設環境改善交付金の確保―重点要望事項
2年度に計画期間が終了する防災・減災、国土強靱化のための3ヵ年緊急対策によって進められてきた学校施設の耐震化等については、3年度以降も国土強靱化基本計画に基づき必要な予算を確保していくことが国から示されているが、この計画に該当しない事業に対する財源は、地方が必要とする事業量に対し、大幅に不足している状況にある。
各市が計画的に施設整備に取り組むことができるよう、計画事業量に見合う財政措置を講じられた上で、計画している時期に円滑に施工できるよう、事業採択時期を早期化するほか、当初予算や補正予算による速やかな交付措置を国に要望されたい。
▼新増改築事業にかかる国庫補助の改善等
新増改築事業の実施に当たり、つぎのことについて特段の配慮を願いたい。
▽文部科学省が設定した建築単価は、対前年度比では増加しているものの、依然として実施単価とのかい離があり、補助事業分の実施単価を下回る場合、超過負担が生じてしまうため、実情に即したものに改善されるよう国に要望すること
▽外構工事については、門柱や囲障を除き補助金の対象外となっているが、新増改築においては既設位置から移動する場合が多いことから、補助事業の対象を拡大するよう国に要望すること
▽積雪寒冷地は断熱性能の向上や暖房設備の設置が必須であるためコストがかさんでしまうが、加算措置はあるものの現状に即しておらず不十分であることや、地方都市は工事費が割高になる傾向にあることから、工事費の地域間格差などにも配慮すること
▽改築事業の増加に伴う地方自治体の負担の軽減および老朽施設の改築促進のため、改築事業にかかる交付金・補助金の充実を図るよう、国に要望すること
▽新増築事業において、国庫債務負担行為にかかる事業の場合、各事業の実情に合うよう、全体交付額に対する1ヵ年目と2ヵ年目の交付額の割合を各自治体が設定できるよう国に要望すること
▽小中連携・一貫教育に取り組むに当たり、小学校と中学校の校舎や体育館を一体化するために増改築や大規模改造を行う場合においても、小学校同士または中学校同士の統合に伴う新増築と同等の補助率(2分の1)とするよう国に要望すること
▽耐震化の状況を補助採択の要件にしないよう国に要望すること
▽公立学校施設整備費負担金事業の認定について、対応が遅れることによって、必要な工期の確保や入札準備、議会承認等に支障を来す恐れがあることから、事業認定の迅速化を国に要望すること
▼長寿命化改良事業における補助要件の緩和
2年度からの長寿命化改良事業の制度拡充に伴い、整備内容が重複する大規模改造(老朽)事業は4年度までに廃止するという国の方針が示されたが、建築後20年以上が経過した施設の防水や暖房設備、給排水設備などの維持修繕といった部分的な改修については、長寿命化改良事業の補助対象に含めるとともに、補助対象事業費の下限額3000万円の撤廃、もしくは引き下げを国に要望されたい。
▼防犯対策施設整備工事の下限額の引き下げ(新規)
防犯対策施設整備工事については、全国的に児童生徒が被害に遭う事件・事故がひん発する中、防犯力(犯罪抑止力)の向上の必要性が指摘されている。現行では補助下限額は1000万円となっているが、防犯カメラや防犯灯の設置については数百万円で対応可能であることから、防犯力強化のため、下限額の引き下げについて国に要望されたい。
▼学校体育施設にかかる整備の充実
学校プール、柔剣道場など学校体育施設整備の充実を図るため、実施事業量に十分対応できる交付金を確保されるよう、引き続き国に要望されたい。
特に、柔剣道場整備のための交付金については、かさ上げを復活するとともに、学校プール整備のための交付金については、改修事業も対象とするよう特段の配慮を願いたい。
また、事業の実施に当たり、文科省が設定した建築単価が実施単価を下回る場合、超過負担が生じてしまうため、実情に即したものに改善されるよう、引き続き国に要望されたい。
▼学校グラウンド等の整備にかかる交付金制度の充実および交付対象事業の拡大
学校グラウンド整備にかかる交付金については、超過負担が発生する場合が多数あるため、補助限度額の範囲を拡大するとともに、小学校の遊具整備の単独での新設・更新も対象とするなど、実情に即したものに改善されるよう、引き続き国に要望されたい。
また、この交付金は時限措置とせず、恒常的な制度とするよう、引き続き国に要望されたい。
▼地震等防災対策にかかる対象の拡大
小・中学校は、災害時の避難所として使用され、防災対策上、重要な拠点となっていることから、つぎのことについて特段の配慮を願いたい。
▽地震防災対策特別措置法の補助率かさ上げを時限的な措置とせず、恒常的な制度にするとともに、地方債元利償還金について、地方交付税算定の際の基準財政需要額に算入できるよう、引き続き同様の財政措置を実施するよう国に要望すること
▽防災機能強化事業について、補助率をかさ上げするなど、財政措置の拡充とともに、事業費下限額の撤廃を図るよう国に要望すること
▽窓ガラス等の破損防止対策や家具等の転倒落下防止対策などの非構造部材の耐震化について、工事を伴わない場合の対策にかかる物品購入についても補助を受けられるよう国に要望すること
▽学校施設環境改善交付金の防災機能強化において、自家発電設備の整備の上限額の撤廃および補助率の嵩上げを図るよう国に要望すること
【教職員定数等の充実改善について】
▼少人数学級の早期実現と教職員定数等の改善―重点要望事項
国において、小学校第1学年以外の学年においても35人学級を実現するよう検討されており、また、北海道において、2年度から国の加配定数を活用して段階的に小学校3・4年生までの35人学級を実現するよう検討されているところである。実施している学校の調査結果等によれば、児童生徒の生活および学習の両面において個に応じたきめ細かな指導ができるなど大きな効果が表れていることから、小学校1、2年および中学校1年において実施している35人以下学級を堅持するとともに、実施していない他の学年にも拡充することを強く要望する。
また、よりきめ細かな教育が可能となるよう、一層の定数改善や加配措置の充実を国に要望するとともに、複式学級における指導内容の格差や免許外教科担任の現状などを考慮し、北海道においても、独自の学級編成基準や加配等の措置によって複式学級を解消するほか、3学級未満の学校への教頭、養護教諭および事務職員の配置ならびに大規模校等における教頭の定数増による複数配置および定数増による教員加配を講じられたい。
加えて、学級数が増加することによる施設や設備、備品等の整備に対して財政措置が図られるよう、引き続き国に要望されたい。
なお、少人数学級拡大のための加配措置は、指導方法工夫改善加配など、既配置の加配から措置することなく、新たな財源によって実施することを強く要望する。
▼学力向上のための支援措置の拡充―重点要望事項
学力向上は教育行政の大きな課題であり、少人数学級は学力向上に有効であると考えられるが、中学校においては、教科担任制であり、その実現は困難な状況にあることから、従前の定数加配に加えて、各市に対して少人数学級にかかる財政的措置を講じられたい。
また、小規模市においては、市独自に教職員の採用・異動を行うのが困難であることから、北海道全体の採用・異動に組み込んだ上で、各市がその人件費を負担するような新たな制度を創設されたい。
▼小学校における英語教育の拡充強化に向けた教員研修会の充実および英語専門教員の配置拡充
文科省が示した小学校における英語教育の拡充強化の実施に向け、英語の指導力向上を図るため、外国人を講師とするなど、教員研修会の一層の充実を図られたい。
また、小学校における英語専門教員の配置を講じられたい。
▼中学校における免許外教科担任の解消
一部教科において指導力の低下を来すことのないよう、免許外教科担任の解消に向けて、法改正および中学校設置基準を含めた改善が図られるよう国に要望されたい。
特に英語科においては、新学習指導要領の全面実施に伴う時数増加を踏まえ、特段の配慮を願いたい。
▼中学校の病気休暇等講師にかかる報酬予算の適正化
中学校における90日以内の病気休暇にかかる代替措置については、現在、時間講師で対応しているが、時間講師の予算不足によって、必要な授業時間に合わせた発令ができず、授業時間数の不足分を学校体制によって代替している状況にある。
休務者にかかる代替措置制度は、最低限の教育サービスを提供するための根幹となる制度であり、保護者など外部からの要望も非常に強いことから、中学校における90日以内の病気休暇にかかる代替講師について、学校現場の実情に対応した発令ができるよう、十分な予算措置を講じられたい。
▼不登校児童生徒の適応指導教室等の設置および運営費の補助制度の創設―重点要望事項
不登校児童生徒の学校復帰を援助するための適応指導教室等の設置・運営について、委託事業を含む補助制度の創設をはじめとする財政支援の拡充や、教員の派遣制度の確立、適応指導教室に通級する児童生徒への交通費等の経済的支援制度の拡充などについて、引き続き国に要望されたい。
▼スクールカウンセラーおよびスクールソーシャルワーカーの配置促進
いじめや不登校など児童生徒の抱える諸問題に対応するため、資格保有者等の専門的知識・経験を有するスクールカウンセラーおよびスクールソーシャルワーカーの配置の拡大を図られたい。
また、市町村単独で配置しているスクールカウンセラーおよびスクールソーシャルワーカーについて、財政的支援を講じるとともに、北海道スクールソーシャルワーカー活用事業における市町村への委託費の増額を講じられたい。
▼学校図書館にかかる支援措置の拡充
平成29年度からの学校図書館図書整備等5か年計画において、公立小・中学校における専門的な知識・技能をもった学校司書のさらなる配置拡充にかかる地方財政措置がなされたが、今後すべての小・中学校への標準法による定数措置の新設、人材育成および財政支援の拡充をされるよう国に要望されたい。
また、図書館システムの導入および運営にかかる経費に対する補助、コンピュータソフトの購入補助など学校図書館環境整備にかかる予算措置についても国に要望されたい。
▼ALTにかかる地方交付税措置の拡充―重点要望事項
JETプログラム(語学指導等を行う外国青年招致事業)で招致されたALT(外国語指導助手)だけでなく、JETプログラム以外のALTに対しても同様に地方交付税が措置されるよう、引き続き国に要望されたい。
▼地域枠採用の対象拡大
教員採用候補者選考検査の一般選考地域枠採用は、現在、小学校教諭および中学校教諭の一部の教科に限って実施されているが、地域に根差した教育を推進する中核となる教員養成の一層の充実を図るため、対象を中学校教諭の全教科まで拡大されたい。
▼コミュニティ・スクールの推進のための財政措置および加配措置の確保―重点要望事項
学校が抱える複雑化・困難化した課題を解決し、子どもたちの生きる力を育むため、コミュニティ・スクールの導入による地域住民や保護者等の参画を得た学校運営が求められている。
国のコミュニティ・スクール導入等促進事業は、補助率が3分の1となっており、北海道においては、事業費の3分の2を各市町村が負担している状況であることに加え、導入の促進にかかる教員または学校事務職員の研究指定校加配が十分に措置されていないことから、コミュニティ・スクールを推進するため、北海道においても、相応の財政措置および加配措置を講じられたい。
▼小中一貫教育の推進のための教職員の配置基準の見直し、加配措置およびそれに伴う財政措置ならびに兼務基準の明確化
小中一貫教育の推進に当たり、円滑に実施することができるよう、教職員の配置基準の見直し、加配措置およびそれに伴う国庫負担にかかる措置を講じられたい。
また、兼務発令の基準を明確化するとともに、それに伴う派遣依頼や旅費、公務災害、児童生徒の評価にかかる統一した基準の制度整備を図られたい。
▼部活動指導員制度への支援
部活動指導員制度を円滑に運用するに当たっては、人材確保とともに、人件費などの財政措置が必要であるが、現行の中学校における部活動指導員配置促進事業における補助率では、学校設置者の負担軽減となっていない実態がある。
そのため、部活動指導員の人件費にかかる地方財政措置や補助事業制度について、国や北海道からの財政措置の拡充を図られたい。
▼期限付教員の安定的な確保に向けた取組の充実と制度改善
正規教員の病気、出産等に伴う期限付教員の採用に当たっては、安定的に人材を確保することが難しく、自治体によっては教職員定数を満たすことができない場合もある。
今後も、教員免許保有者の掘り起こしなど、人材確保の取組のさらなる充実を図るとともに、年齢要件の撤廃、臨時免許状にかかる授与要件や有効期間の緩和および免許更新にかかる講習の負担軽減など、広く人材を登用することができるような制度改善について国に要望されたい。
▼インクルーシブ教育推進に当たっての教員の増員―重点要望事項(新規)
インクルーシブ教育推進においては、障がいのある子どもが十分に教育を受けられるための合理的配慮が求められ、他の子どもと平等に教育を受ける権利を享有・行使することの確保が必要である。
そのためには、障がいの有無にかかわらず、子ども一人ひとりの教育的ニーズに応じた支援が必要であり、学校における支援体制の構築が必要不可欠である。このことから、通常の学級においても、教員の増員等の必要な措置を講じられたい。
【特別支援教育の振興充実】
▼特別支援教育施設の充実および特別支援教育推進のための体制整備―重点要望事項
身近な地域で子どもを学ばせたいという保護者の要望を踏まえ、子どもたちが将来にわたり自立した生活ができるよう特別支援教育施設の整備・充実を図るとともに、つぎのことについて特段の配慮を願いたい。
▽特別な支援を必要とする児童生徒の増加に伴い、通学可能な特別支援学校に就学を希望する保護者のニーズが高まっていることから、障がいの種別に応じた地域への分校の新設、基礎的環境整備を伴った既存校への障がいの種別の追加等について検討すること
▽周辺市町村の児童生徒が通学できるよう、特別支援学校へのスクールバスの運行路線拡大を図ること
▽保護者による送迎ができない遠隔地居住者で、やむを得ず民間事業者等を利用する場合、保護者の経済的負担が大きいことから、特別支援教育就学奨励費の拡充や新たな通学費助成制度の確立など、制度の充実を図ること
▽遠隔地居住者にはスクールバスと寄宿舎の利用を選択・併用ができるよう弾力的な運用を図ること
▽各市が、特別な支援が必要と考えられる子どもについての実態把握や、具体的な支援を行うことができるよう、派遣手当などの財政的措置を講じること
▼特別支援教育推進のための教員の加配措置―重点要望事項
特別支援教育の推進に向けては、コーディネーターの配置や通級指導教室の充実など個々の教育のニーズに対応することが現状の教員だけでは困難であり、かつ、支援員の配置だけでは不十分であることから、コーディネーター担当教員を定数配置上での配置とするよう措置されたい。
▼特別支援学級担当教諭の加配措置―重点要望事項
特別支援学級担当教諭の配置は、児童生徒8人に対して1人と設定されているが、児童生徒の状態によっては1対1での対応が必要な場合や、担任1人で複数の障がいの種別や異なる学年に対応しなければならない場合があり、現在の配置基準では対応しきれていない現状にあることから、特別支援学級を設置する場合には、最低でも2人の教員を配置するよう国に要望されたい。
また、学校教育法施行令第22条の3の基準に該当する児童生徒が入級する場合や肢体不自由学級に児童生徒が複数在籍する場合については、教員にかかる負担が特に大きくなることから、加配措置を行うよう、引き続き国に要望されたい。
▼専門的知識を有する特別支援学級担当教諭の採用・育成の促進
特別支援学級では、専門性の高い教員の配置が望ましいことから、特別支援学校教諭免許状所有者の採用や専門的知識を有する教員育成の一層の促進を図られたい。
▼特別支援学校教諭免許状取得講習の拡大
特別支援教育にかかる学校経営を考慮し、特別支援学校教諭免許状取得講習の開催地、開催方法、人数枠の拡大などについて、引き続き検討されたい。
▼通級指導担当教員等の適正配置および配置基準の緩和―重点要望事項
児童生徒のニーズに対応した多様な学びの場の整備のため、通級指導教室を開設する際は、北海道は国の方針に基づき加配措置を行っているが、十分な教員の配置がなされるとともに、配置基準の緩和について配慮されたい。
なお、加配定数による教員配置については、道教委としての教員配置の基準や考え方を示すなど、計画的に通級指導教室を開設できるよう配慮願いたい。
また、特別支援学級担当教員の活用によるLD、ADHD、高機能自閉症等の児童生徒への支援など、特別支援学級の弾力的な運用を推進するため、通級指導担当教員および特別支援学級・院内学級教員の配置基準のさらなる緩和を図るとともに、実情と配置基準が合うよう、柔軟な措置を講じられたい。
特に、中学校における通級指導教室の開設について、対象となる生徒が在籍している場合は教育の一貫性の観点からも、必要性に合った対応ができるよう、教員の配置基準の緩和を図られたい。
▼通級指導担当教員の巡回指導の実施
通級指導担当教員の巡回指導については、一定の条件のもと可能とされているところであるが、近隣校以外の学校を巡回する必要もあることから、実態に見合った旅費などの措置を講じられたい。
▼教育上特別な支援を必要とする幼児が就園する公立幼稚園への国庫補助の実施
特別な支援を必要とする幼児が就園する公立幼稚園についても、私立幼稚園と同様に国庫補助の対象とされるよう国に要望されたい。
▼市町村配置の支援員や補助員等にかかる財政措置の拡充―重点要望事項
支援員や補助員等については、合理的配慮、基礎的環境整備を充実させるために必要不可欠なものであるが、厳しい財政状況の中では、市町村における独自配置が進まない現状にあることから、財政措置の拡充が十分に図られるよう、さらなる増額を引き続き国に要望されたい。
▼高校へ通学する生徒に対する支援員の配置
高校に通う生徒が、学校において特別な支援を必要とする場合、安心して教育が受けられるよう、公立高校に対しては支援員の配置、私立高校に対しては支援員配置にかかる財政措置等の措置を講じるよう、引き続き国に要望されたい。
▼特別支援学校が行う連携協力に必要な旅費等の措置
特別支援教育の円滑な推進のために、特別支援学校が行う連携協力に必要な旅費等の措置を講じられたい。
▼特別支援学校高等部における受け入れ体制の整備
特別支援学校高等部への進学希望が増加している中、生活圏から離れた学校に入学せざるを得ない生徒が多数いる。また、送迎負担の増大もあって、近隣の学校への進学希望がますます大きくなっている。
特別支援教育の基本方針では、「できる限り身近な地域において指導や支援を受けられる体制を整備すること」や「知的障害高等養護学校への進学希望者の増加傾向に対応するため、既存校の増築や新設校の整備に努めること」が示されていることからも、今後も各地域の生徒の進学動向等に応じた定員増や、地域の実態に応じた特別支援学校の設置拡大を図られたい。
▼医療的ケアを必要とする児童生徒の特別支援学校への受け入れ体制の整備
医療的ケアを必要とする児童生徒が、できる限り身近な地域において指導や支援を受けられるよう、特別支援学校や特別支援学級等における看護師の配置の充実を図るとともに、体温管理や移動支援等が必要な児童生徒が安心して生活できるよう、空調・エレベーターの設置など、施設環境の充実を図られたい。
【学校教育の振興充実について】
▼義務教育費国庫負担制度の維持
義務教育費国庫負担制度は、義務教育の根幹をなす制度であることを踏まえ、地方に財政負担を転嫁するような措置を行うことのないよう、引き続き国に要望されたい。
▼全国学力・学習状況調査等の学力向上策の推進
全国学力・学習状況調査について、北海道の地域特性に応じた対応を含め、各市および学校で、今後の改善点への問題意識をもつことができるような工夫を継続するとともに、中学校英語「話すこと」調査の円滑な実施に必要な環境・設備の充実を図られたい。
学力向上策の推進に当たり、各市の意見を十分に尊重していただきたい。
特に、ほっかいどう学力・体力向上運動の推進に当たっては、より一層、地域の声や学校の声をくみ取っていただきたい。
▼就学援助の財源措置拡充―重点要望事項
法律の定めによって自治体が行う就学援助の充実を図るとともに、自治体間で就学援助の内容に差が生じることのないよう、基準を明確にした制度改正および財源措置の拡充について引き続き国に要望されたい。
また、要保護・準要保護者への就学援助において、生活保護基準の見直しの影響が生じないよう、適切な財政措置を講じられたい。
▼幼児教育の無償化の適正実施
幼児教育の無償化の実施に当たっては、事業の適正な実施や自治体の健全な財政運営に支障を来さないよう、適切な財政措置を講じられたい。
▼中学校の全道大会・全国大会に対する引率教員の旅費の充実
新学習指導要領において、部活動が学校教育の一環として教育課程との関連が図られるよう示されていることからも、中学校の体育および文化的諸行事への生徒派遣にかかる引率教員の旅費については、全道大会・全国大会を含むすべての行事について、適切な予算措置を講じられたい。
引率教員数については、出場種目数や男女の構成等の諸条件に応じて、柔軟な措置を講じられたい。
▼生徒指導旅費等の十分な確保
家庭訪問や生徒指導、関係機関との連携にかかる生徒指導旅費の配分額が少額であり、教員の自己負担が増加しているほか、行程が比較的短い旅費の捻出に苦慮している実態があることから、生徒指導旅費等にかかる十分な予算措置を講じられたい。
▼校外学習指導旅費の十分な確保
校外学習指導旅費の配分額が少額であり、各学校において校外学習指導の実施に当たり旅費の捻出に苦慮していることから、現場の実態を把握の上、校外学習指導旅費等にかかる十分な予算措置を講じられたい。
▼教職員の研究会・研修会にかかる旅費の十分な確保
教職員は、その職務の性質上、各教科における専門性を高めるとともに、常に今日的な課題に自ら取り組むことが不可欠であることから、研究会・研修会等に出席するための旅費について、教員の自己負担が生じることのないよう、十分な予算措置を講じられたい。
▼へき地児童生徒援助費のスクールバス購入費の補助拡充
へき地児童生徒援助費のスクールバス購入費の補助について、その拡充を図るため引き続き国に要望するとともに、北海道においても地域性に応じた新たな補助制度を創設されたい。
また、スクールバス運営費についても、補助制度の創設を国に要望されたい。
▼学校におけるNHK放送受信料の免除措置の継続
小・中学校、幼稚園、特別支援学校における学校教育放送番組の一層の利用促進を図るため、NHK放送受信料の免除措置が継続されるよう、引き続き国に要望されたい。さらに、高校におけるNHK放送受信料の免除措置についても国に要望されたい。
▼教育の情報化を着実に推進するための支援措置の拡充―重点要望事項
子どもたち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育むICT環境を目指すGIGAスクール構想を、道内各市においても実現するため、つぎのことについて国に要望されたい。
▽端末の調達については、端末整備完了後における機器の保守管理および端末更新時の費用についても国庫補助の対象とし、継続的かつ十分な財政支援を行うこと
▽通信ネットワークおよび端末の整備については、2年度内の事業完了を前提とした国庫補助事業とされていることから、道内各市が短期間に集中して工事を実施することが想定される。そのため、施工業者が確保できないなどの理由から、2年度中に事業を完了できない場合にも、確実に通信ネットワークおよび端末の整備を行えるよう、事業実施期間を延長すること
▽児童生徒1人1台端末の導入による授業改善を進めるに当たり、デジタル教科書の活用は非常に効果的であることから、紙の教科書と同様に無償措置の対象とすること
▼地域にとって重要な役割を果たしている小規模高校の存続―重点要望事項
小規模高校の配置については、これからの高校づくりに関する指針に基づき、つぎのことについて特段の配慮を願いたい。
▽職業学科の学級減や配置については、地域産業の特性や産業人材育成の観点を踏まえ、学校が地域経済において果たしている役割や子どもの選択肢として果たすべき役割などを考慮し、広域的・長期的な視点から、関係市町村との十分な協議の上、対応すること
▽人口減対策や地方創生と教育の観点において、小規模の高校が地域の中核的存在(生涯学習・キャリア教育の拠点)として異校種連携を進めるなど、魅力ある、地域に信頼される高校像を創造・提案すること
▽教育行政にとどまらず、まちづくりや地域づくりの観点からも、知事部局を含めた北海道全体としての取組によって、地域の様々な課題を認識した中長期的な配置計画策定に努めること
▼高校生徒遠距離通学費等補助事業の充実および拡大
高校生徒遠距離通学費等補助事業について、補助要件等を緩和するとともに、制度の充実および拡大について引き続き鋭意検討されたい。
▼北方領土問題に関する学習の充実
児童生徒が北方領土への関心を高め、正しい知識を身に付けることができるよう、学習指導要領における記載内容の充実を含め、北方領土に関する学習の充実を国に要望されたい。
【学校安全、学校保健および学校給食の振興充実について】
▼学校の安全体制の強化
現在、国の事業である学校安全体制整備推進事業等によって、各市では地域ぐるみで児童の安全を守る取組を行っているが、児童に対する被害防止教育の推進や、登下校時間帯の通学路における警察等のパトロール強化の要請など、子どもたちが安心して学習できる体制の整備を講じられたい。
▼教育分野におけるセキュリティクラウドの構築
教育の情報化の推進に伴い、教職員や児童生徒が安心してICTを活用できる環境整備がより一層求められているが、学校現場における情報セキュリティの強靱化は十分図られているとは言えない状況である。
一方で、道内各都市の財政状況やシステムエンジニアの人数等の面から、各都市が単独でシステムを構築することは困難である。
そのため、自治体向けの北海道セキュリティクラウドと同様のシステムを、教育情報分野においても構築されたい。
▼携帯電話やインターネットの利用による有害情報や被害から子どもを守る取組の推進
携帯電話やインターネットを介して子どもがいじめや犯罪、トラブルに巻き込まれる問題が深刻化していることから、これらの問題から子どもを守るための啓発活動など、全道的な取組を一層推進するとともに、情報モラルに関する総合的な専門職の養成や配置等の措置を講じられたい。
また、子どものネットトラブルや犯罪被害の未然防止等の観点から、有害情報に対するフィルタリングサービスの提供義務の拡大などについて、法整備が図られるよう、引き続き国に要望されたい。
▼フッ化物洗口にかかる経費負担
フッ化物洗口については、道歯科保健推進計画に基づき、全小学校での実施を推進しているところであるが、薬剤や消耗品などの直接的経費だけでなく、運搬費用等についても自治体の負担となっているほか、実施に際しての学校現場の負担も大きいことから、指定校や新規実施校に限らず、すべての実施校に対する支援措置を講じられたい。
▼学校給食施設・設備にかかる交付金等の充実―重点要望事項
食の安全への注目が高まっている中、つぎのことについて特段の配慮を願いたい。
▽給食施設・設備の大型化やドライシステム化などの整備等に当たり、これまでの補助基準面積内で建築することは難しく、超過負担が生じていることから、交付金の充実について、引き続き国に要望すること
▽給食施設・設備には、食育の発信の場としての機能を有することが必要となることから、給食施設・設備の整備や拡充のための交付金の充実を国に要望すること
▽大型機械に依存している共同調理場においては、多額の費用を要するため、更新が遅滞していることから、既存老朽大型機械等の更新に関する補助制度の創設を国に要望すること
▽食物アレルギー対策等を実施する際の設備整備に対して、支援措置の拡充を国に要望すること
▽学校給食施設が広域化している実情を踏まえ、市町村および一部事務組合等が共同調理場を整備する場合においても、道地域づくり総合交付金の対象事業に加えること
▼栄養教諭の定数改善および旅費等の予算の確保
学校における食に関する指導のさらなる充実が求められている状況を踏まえ、つぎのことについて特段の配慮を願いたい。
▽栄養教諭が専門的立場から食に関する指導を効果的に行えるよう、栄養教諭の配置等定数の改善および指導にかかる旅費等の予算措置を講じること
▽現在の栄養教諭の配置基準では、例えば、9000人の児童生徒を擁する市が1施設で9000食の調理を行う場合、3人の栄養教諭配置となるが、4000人の児童生徒を擁する市が2施設で各2000食の調理を行う場合は、1施設当たり2人、計4人の配置となるなど、条件によって栄養教諭1人当たりの児童生徒数に大きな不均衡が生じているほか、アレルギー対応が必要な児童生徒数や担当学校数の増加などによって、栄養教諭の業務負担が増大しているため、食に関する指導の一層の充実に向けて、早期に栄養教諭の配置基準見直しを図ること
▽国の定数改善が実施されるまでの間、北海道においては加配措置の拡充に必要な財源を確保し、不均衡が生じている市の改善を図ること
▽共同調理場方式の市町村については、共同調理場業務に支障が生じることのないよう、定数の改善を図ること
▼給食にかかる助成制度の拡充
学校給食用物資の安定供給のため、牛乳に対する助成制度の継続に加え、新たに米粉製品についても対象とするよう国に要望されたい。
▼食物アレルギー対応食の提供等に必要な学校生活管理指導表の文書料にかかる補助制度の創設―重点要望事項
学校給食での食物アレルギー対応食の提供や、学校生活上で食物アレルギーにかかる配慮・管理が必要な場合、医師が記載した学校生活管理指導表の提出が必要であるが、記載にかかる文書料は保護者負担となっていることから、学校生活管理指導表の提出が必要なすべての児童生徒の文書料にかかる補助制度の創設等の措置について、引き続き国に要望されたい。
【その他文教施策の充実について】
▼国指定文化財の保存管理費用に対する助成の拡大
国指定文化財については、建造物の保存修理にかかる調査工事について対象外のものがあることから、その対象を拡大されるよう国に要望されたい。
また、史跡の維持管理経費は面積に応じて負担が変わることから、面積を考慮した交付税措置等を国に要望されたい。
さらに、記念物にかかる国庫補助事業について、財政再建団体または過疎地域をその区域とする市町村である場合の補助率を、文化財建造物にかかる国庫補助事業と同様に65%とするよう国に要望されたい。
▼道立図書館の図書資料費の確保
道立図書館は、道民や市町村立図書館の期待に応えられるよう十分な資料費を確保するなど、今後も北海道全体の文化水準の向上を図られたい。
▼社会教育施設の改修にかかる補助制度の創設
生涯学習を一層推進するために、社会教育施設の長寿命化を図る改修に対する支援制度の創設について、引き続き国に要望されたい。
▼へき地等学校の級別指定にかかる基準の改正
へき地等学校の級別指定について、より相対的へき地性が反映されるよう、最低気温のみで判断される現在の極寒地帯配点を見直し、厳しい自然条件を反映する現状に適応した気象データの採用等を検討されたい。
▼農山漁村地域等における高度情報通信網の整備促進―重点要望事項(新規)
光回線や5G等の高速・超高速インターネット接続が可能な環境を整備するため、民間事業者による整備が進まない農山漁村地域等の高度情報通信網の整備に対し、積極的な財政措置を講じること。
▼教育の事務の広域化にかかる運営体制の改善
教育の事務の広域化を進めるに当たり、実施主体の一部事務組合を設置する場合、総合教育会議を設けるとともに、執行機関において教育の大綱を定めることとされている。
広域化の推進は、事務の簡素化や効率的な運営を目的に取り組むものであることに鑑み、一部事務組合等における総合教育会議の設置を任意とする特例措置を設けるよう、強く国に要望されたい。
▼地域学校協働活動の促進
地域学校協働活動の一層の促進のため、地域での活動を安心して積極的に行えるよう、補助率拡大等の財源措置の拡充について、引き続き国に要望されたい。
▼地方財政措置(光熱水費)の増額―重点要望事項
学校運営に関する経費のうち、光熱水費の一部については地方財政措置が講じられており、各自治体においても経費の節減に努めているが、消費税増税や近年の重油単価等の上昇によって、年々教育予算を圧迫している状況にある。
こうした中、国はすべての公立小・中学校の普通教室に空調を設置する方針を示したほか、元年10月に消費税が増税されたこともあり、今後、学校における光熱水費の負担が一層増大することが予見されるため、国に対し、光熱水費の積算の見直しおよび地方財政措置の拡充を行うよう強く要望されたい。
(関係団体 2020-06-12付)
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