感染防止へ20人以下学級を 道教組定期大会で重点課題決定(関係団体 2020-06-23付)
道教組(川村安浩執行委員長)は6月上旬、オンラインで第33回定期大会を開いた。6月以降の重点課題を決定。コロナ感染拡大から子どもを守り、豊かな成長・発達を保障するため、20人以下学級実現などの取組を進めることや、1年単位の変形労働時間制の導入反対、長時間過密労働解消の取組の推進などを決めた。6月以降の重点課題の概要はつぎのとおり。
【コロナ感染拡大から子どもを守り、豊かな成長・発達を保障するための取組を進めよう】
▼子どもたちの命と健康・安全と安心して過ごせる場の確保、安全で豊かな学びを持続するために必要な条件整備を求める取組を進める
▽教室の3密を避けるとともに、一人ひとりの子どもに目が行き届くゆとりある学校とするため、20人以下の少人数での授業が可能となるよう、道や市町村に対し、以下の必要な条件整備を行うこと、国に予算措置を要望することを求める
すべての学校に必要な教員を加配すること。
すべての学校に必要な学習支援員、スクール・サポート・スタッフ、ICTアドバイザー、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等を増員配置すること。
空き教室・空き校舎(寄宿舎含む)、近隣施設、プレハブ校舎などを積極的に活用できるようにすること。また、現在進められている学校や寄宿舎の統廃合計画を一旦凍結し、再検討すること。
▽道教組が他団体や教育関係者と共同して進めている「20人以下学級北海道アクション」ネット署名を職場や地域で大きく広げる
〈要請項目〉
①新型コロナウイルスの感染を防止し、子どもたちが安心して学校に通うために、20人以下の授業を可能とする教職員増や施設設備を整えるなど、条件整備を早急に進める
②前記のことは北海道だけでは実現できない。国に予算措置を要望する
▽学校における感染拡大を防止するために、道教委や市町村教委に対し、以下の条件整備や財政措置を求める
スクールバスについて、可能な限り座席を離すなど、スペースを十分確保するため、増車すること。
必要な非接触型体温計やマスク、消毒液等の配備、手洗い場の整備など、感染拡大防止のための条件整備を緊急に行うこと。
保健室での対応増加に備え、すべての学校に養護教諭を複数配置するなど、人的・財政的支援を緊急に行うこと。
医療的ケアを必要とする児童生徒のための医療スタッフを配置・増員し、必要な物品を確保すること。
発熱等の感染が疑われる子どもたちが待機(隔離)する場所や動線を確実に確保することなど、ゾーニングを確立することができるようにすること。
心のケアなども含め、子どもたちや保護者が相談できるよう、相談体制を確立すること。そのために必要なスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを大幅に増員すること。
コロナ感染症の集団感染を防ぐため、定期健康診断実施に当たり現場に混乱を来さないよう、医師会の見解をもとに、実施条件や具体的な対応を示すこと。
学校給食の衛生管理の徹底や配膳を伴わない形での提供を可能とするために、必要な財政措置を取ること。
再度の休校時に、子どもたちと教職員がつながることができるよう、学校、家庭共にネットワーク環境整備について国の予算措置を待たず速やかに行うこと。
▼各職場で、憲法と子どもの権利条約に基づき、子どもの最善の利益を保障する立場から、再開後の学校づくり、教育課程づくりを吟味し、合意していく職場の共同をつくりだす
再開後の学校づくりに当たっては、子どもの最善の利益を保障する立場から、学校としてなすべきことは何であるかを吟味し、合意していく時間と空間を意識的につくりだす。
学校や教室が子どもたちにとって安心して過ごせる居場所であることを、すべての子どもたちに伝え、再開後の学校に希望がもてるようにする。
今後の教育課程編成に当たっては、授業時数の確保を機械的に行うのではなく、子どもたちの負担が過重とならないよう配慮するとともに、今、子どもたちの成長・発達に必要な学びとは何かを考え、集団的な議論を踏まえた柔軟な教育課程づくりを進める。
感染に不安をもつ子どもや保護者の思いを誠実に受け止めるとともに、学校の考えや学びを保障する方策を丁寧に伝える。
コロナ感染症への意識や感じ方の違いによる分断、対立を生み出さない。
▽私たちが考える学校づくりの視点
1 子どもたちの側からの授業づくりと仲間づくり
①受験・学力テスト体制を改め、問うことを大切にした授業づくり
②子どもたちの実生活に即した活動と、連帯と共感的な仲間づくり
2 権利主体の発達要求に基づく学校の教育条件の前進
①問いが生まれる授業に必要な時間と給食がある生活条件
②子どもたちの安全・安心な学校施設と条件
③教育条件の最も大切な要素としての教職員の働き方
3 子どもたちを支える教職員の教育の自由と父母・保護者、地域との共同
①子どもに即した教育課程と豊かな学びをつくり、行事・活動を支える教師集団の協調性
②父母・保護者、地域の人々と、子育て・地域の未来像の語り合い
③子どもを取り巻く父母・保護者、地域の大人、教育機関・福祉機関・医療機関との共同
▽道教委や市町村教委に対し、教育課程の編成・実施について、地域や子どもの実態を踏まえ、各学校の弾力的な運用を尊重し、その取組を最大限支援するよう、以下の対応を求める
長期間の臨時休校に伴い、機械的に授業時数を確保することを優先せず、文部科学省通知で示された「学校の授業における学習活動の重点化」については、各学校の実態を踏まえた判断に任せること。
学校での指導の充実のために実施する授業コマ数の増加、長期休業期間の短縮、土曜日の活用については、子どもたちの負担や教職員の勤務が過重とならないようにすること。
文科省通知によると、「次学年または次々学年に移して教育課程を編成」など、次年度以降を見通した教育課程編成が示されているが、問題を先送りするのみで、次年度以降に大きなしわ寄せが生じる。新学習指導要領の一部を実施しないことを可とするなど、学習保障の方向性について見直すよう文科省に要請すること。
補充のための授業等の資料、ICTの活用等については、特定の教材や指導方法を各学校へ押し付けないこと。
▼新型コロナウイルス感染症の影響によって収入が急変した家庭の子どもたちの学びを保障するために、4月にさかのぼって支給するなど、以下の対応を求める
新型コロナ感染対策によって収入が激減している世帯に対して、就学援助等の必要な援助を直ちに行うとともに制度や申請方法、相談窓口などを周知徹底すること。また、簡易な手続きとするなど実態に応じ柔軟に対応すること。
準要保護世帯の所得基準を引き上げ、収入が激変した世帯が教育費負担で困窮することがないようにすること。
新型コロナウイルスの流行は、すでに経済状況を大きく悪化させているため、就学援助を年度途中に申請しても、さかのぼって支給する手立てを取ること。
▼教職員への感染拡大を防ぐため、道教委や市町村教委に対し、以下の対応を行うことを求める
長時間の業務は疲労の蓄積(易感染性)につながることから、業務の適正化を行うため、業務の大幅な削減や教職員の増員配置を行うこと。また、一層の長時間労働を招く恐れのある1年単位の変形労働時間制の導入を凍結すること。
職員室等での3つの密を防ぐ手立てを確立するために、各学校の実状を把握し必要な財政措置を行うこと。
すべての教職員の検査体制を早期に確立すること。
妊娠中の教職員や重症化しやすい基礎疾患をもつ教職員、通勤時に公共交通機関を利用する教職員が在宅勤務を行えるよう、教職員の加配など必要な条件整備を進めること。
感染リスクが高い養護教諭にフェイスシールドや感染防護服の配備等、特別な感染防護対策を取ること。
臨時休校や分散登校などが生じた場合、非常勤職員の労働条件に不利益が生じないようにすることについて、あらためて周知徹底すること。
校内の消毒活動を教職員が行うのでなく、専門の業者を配置すること。
新型コロナウイルス感染症対策を優先させるため、当面の間、研修の実施を見送ること。少なくとも、教職員の感染拡大防止の観点から、集合形式の研修を実施しないとともに、オンデマンド形式や遠隔研修の実施に伴い課題提出などの新たな業務を発生させないこと。
学校力向上や学力・体力向上などの様々な学校指定、地域指定の事業について、新型コロナウイルス感染症対策を優先させるため、当面の間、実施を見送ること。また、指導監や指導主事訪問を強制しないこと。
教員免許更新制の実施を一時凍結するよう国に求めること。
労働安全衛生法に基づき、すべての市町村において、組合代表も含めた総括衛生委員会を設置するとともに、すべての学校職場に衛生委員会を確立し、感染防止対策を具体化すること。
教職員が学校において感染した場合、公務災害・労働災害となることを周知すること。
【1年単位の変形労働時間制導入反対、長時間過密労働解消の取組を職場・地域から進めよう】
▼導入反対の広範な世論を広げるための取組を
1年単位の変形労働時間制導入反対の道議会あての請願署名(なくせ・やめれ署名)を職場や地域で広げよう。
▼校長会・教頭会など教育関係諸団体との懇談、問題意識の共有を
校長会、教頭会、PTA連合会をはじめ教育関係諸団体に対し、長時間過密労働解消を目指す懇談の設定を申し入れ、問題意識を共有しよう。
▼市町村議会に、意見書採択を求める陳情、請願を
ゆきとどいた教育を進める北海道連絡会が市町村議会あてに、1年単位の変形労働時間制を導入しないことを求める意見書採択の陳情を行っている。
市町村議会の議員に対し、意見書採択を求め、陳情、請願を行おう。
▼市町村教委に、1年単位の変形労働時間制を導入しないよう懇談、要請を
市町村教委に対し、コロナ感染症や学校再開への対応に専念できる対応を優先させ、一層の長時間労働を招く恐れのある1年単位の変形労働時間制を導入しないことを求めよう。
国会の付帯決議等に基づき、以下のことを確認しよう。
▽勤務時間の客観的把握に基づく勤務時間上限方針の順守が制度導入の大前提であり、恒常的な時間外勤務がある場合は導入できないこと
▽あくまでも選択肢の一つであり、条例によって一律に押し付けるものでないこと
▽教職員一人ひとりの事情を踏まえ、各学校の意向に基づいて導入されるものであり、労働者の同意なしには導入できないこと
▽育児や介護などの事情が配慮されること
▼市町村教委に、勤務時間の上限方針が順守されるよう要求を
勤務時間の上限方針が順守されるよう、各市町村教委の責任において業務の縮減を図るための条件整備を行うことを求めよう。
長時間の業務は疲労の蓄積(易感染性)につながることから、教職員の感染拡大防止の観点からも、働きかけを強めよう。
勤務時間の適正な把握が行われるよう、以下のことを要求し、取組を強めよう。
▽早急に、すべての学校で客観的な出退勤時刻記録を実施すること
▽勤務時間把握に当たっては、休憩時間や自己研鑚などの時間を一律に排除することなく、持ち帰り業務も含めた実態が適正に把握されるようにすること
▽虚偽の出退勤時刻記録の押し付け、時短ハラスメントがないようにすること
▽個々の教職員の自己責任や意識の問題に矮小化することなく、把握された結果に基づき、管理職の責任で実効ある業務量の縮減策を講じること
【教育活動・教育条件整備を求めて、「えがお署名」を職場・地域で広げよう】
▼再開後の学校づくりや教育課程づくりについて職場で語り合い、教職員がつながり安心して働ける職場づくり、共に声を上げて状況を改善する要求の多数派をつくる取組を
(関係団体 2020-06-23付)
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