道議会質疑 決算特別委員会(令和2年11月9日)
(道議会 2021-01-15付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼池端英昭委員(民主・道民連合)

【答弁者】

▼京谷栄一保健福祉部少子高齢化対策監

▼原田朋弘保健福祉部次長

▼岡村卓治保健福祉部福祉局地域福祉課人材確保担当課長

▼吉田充保健福祉部子ども未来推進局子ども子育て支援課長

▼齊藤順二保健福祉部子ども未来推進局子ども子育て支援課自立支援担当課長

◆児童虐待状況 家庭への支援

Q池端委員 近年、児童虐待に関する報道が多く目に付く。中には命にかかわる重大な事件も少なくない。このような状況下で児童相談所の役割はますます重要になってくるものと思う。児童相談所に寄せられた過去3年の相談件数ならびに内容について伺う。

A齊藤課長 児相の相談対応状況について。道児相の相談受付の総件数は、平成29年度が1万2076件、30年度が1万3100件、令和元年度が1万3203件と、直近3ヵ年は増加傾向となっている。

 元年度の主な相談種別ごとの件数は、虐待など養育上の課題に関する養護相談が6140件で46・5%、障害相談が5863件で44・4%、性格行動など育成相談が917件で6・9%となっており、平成30年度まで最も多かった障害相談を虐待などの養護相談が初めて上回った。

Q池端委員 相談件数は年々増加しているということである。令和元年度、虐待を含む養護相談が障害相談を上回ったことは、極めて重大だと受け止める。虐待の通告受理件数ならびに虐待相談件数についてどのような状況か伺う。

A齊藤課長 虐待相談の状況について。疑いを含め児相に寄せられた虐待通告の件数は、平成29年度が4325件、30年度が4805件、令和元年度が5308件と年々増加しており、児相に寄せられたすべての相談のうち、虐待通告に至る者の割合が40・2%と初めて4割を超えた。

 また、通告受理後に児相が調査を行い、虐待であると判断し、指導や施設入所等の措置を取った虐待相談対応件数は、平成29年度が3220件、30年度が3767件、令和元年度が3995件と、毎年、過去最高を更新している。

Q池端委員 虐待通告ならびに虐待の相談件数についても、初めて4割を超えたり、過去最高を更新したりするような状況にある。極めて憂慮すべき事態と考える。重大な虐待については、子どもの安全を確保するため、一時保護していると承知している。一時保護された子どもの人数はどのようになっているのか伺う。

A齊藤課長 一時保護の状況について。虐待などによって子どもの安全を確保する必要があるときや、保護者による養育が一時的に困難となった場合などに行う一時保護の件数は、平成29年度が1387件、30年度が1474件、令和元年度が1555件と増加傾向となっており、一時保護を行う場所は、児相に併設する一時保護所が約6割、児童養護施設や里親などへの委託が約4割となっている。

Q池端委員 虐待家庭には、虐待行為を認める家庭とそうでない家庭がある。

 特に、認めない家庭については、繰り返し児童虐待に及ぶ懸念が残ることから、そのような家庭の子どもや両親を一定期間見守る必要があると考える。どのような支援をしているのか伺う。

A齊藤課長 家庭への支援について。児童虐待は、家庭の養育環境や子どもの心身の状況など、様々な要因が複雑に絡み合っていることから、子どもの安全確認や心理的なケアはもとより、虐待を行った保護者への支援も行いながら、家庭における虐待のリスクを解消し、子どもが安心して生活できる家庭環境がつくられるよう、支援していくことが重要と考えている。

 このため、児相では、子どもが家庭に戻ったあとにおいても、児童福祉司が家庭を訪問するなどして継続的に問題の改善に向けた働きかけを行っておりいる。

 特に、保護者に虐待を行った自覚がない場合や、自覚があっても改善がみられない場合は、学校や警察などの関係機関とも連携を維持し、法に基づき指導を受けなければならないことをあらかじめ説明した上で、精神科医によるカウンセリングや心理判定員による心理療法などを活用した強い指導を行うこととしている。

Q池端委員 子どもたちへの虐待は家庭内といった閉ざされた空間での行為がほとんどである。少しの変化も見逃さないためには、子どもにかかる関係機関との連携が極めて重要である。

 未然防止について、これまでどのような取組をしてきたのか伺う。

A齊藤課長 未然防止の取組について。虐待の未然防止、早期発見のためには、市町村、警察、学校など地域の関係機関が連携し、支援を要する家庭の情報を共有しながら地域全体で見守るなど、虐待の兆候を見逃さないことが重要と考えている。

 このため、道では、児相が受理したすべての虐待通告内容について、道警と各市町村が設置する要保護児童対策地域協議会の3者で共有するほか、市町村職員の対応力の向上に向けた研修の実施など、要保護児童対策地域協議会の機能強化に向けた取組によって、地域の関係機関が保有している子どもや家庭に関する様々なリスク情報が共有され、緊密な連携のもと、適切な支援につながるよう努めてきた。

Q池端委員 専門的な知識を有する児童相談所は、特に、児童虐待の事案に対して適切に対応できる有用な機関であることは言うまでもない。従って、児相のさらなる体制強化が求められるとともに、地域の子どもたちの安全を身近な地域で確保する体制も同時に重要になってくると思う。

 児童虐待に関する今後の取組について伺う。

A京谷少子高齢化対策監 今後の取組について。児童虐待は重大な人権侵害であり、決して許されるものではないと認識している。加えて、現在の新型コロナウイルスの感染拡大防止対策のもとで、家庭にいる時間が増えるなど、生活環境が大きく変化することで、親子共に不安やストレスを感じやすくなることや、周囲が虐待の兆候を発見しづらくなることなどが懸念される。日常からの児相や地域の児童相談体制の強化が重要と考えている。

 このため、道では、国の虐待防止対策体制強化プランに基づき、4年度に向け、児相の専門職員を計画的に増員するほか、ことし4月、各児相に配置した市町村支援担当の児童福祉司が市町村に直接出向くなどして、要支援児童などの把握状況やその支援内容について情報交換し、必要に応じて助言、指導を行うとともに、児童相談所が実施している内部の研修に市町村担当職員の参加を働きかけるなど、各市町村の要保護児童対策地域協議会の活性化をはじめとする地域の児童相談体制の強化を図り、虐待の防止に万全を期していく。

◆待機児童解消 保育士の確保

Q池端委員 待機児童については、法改正による無償化や社会の動態などによって、年々変化していると思う。以前から待機児童が慢性的に発生しているが、近年の働く女性の増大やキャリアアップを望む女性が増えたことなどから、さらに保育ニーズが増していると考えている。待機児童の発生数と要因について併せて伺う。

A吉田課長 待機児童について。道内の保育所等における待機児童数については、2年4月1日現在、17市町村で合計134人となっており、前年同期に比べ18人減少したが、依然として解消には至ってない。

 道では、これまで、市町村と連携しながら、計画的な保育所の整備などに取り組んできたが、待機児童が生じている要因としては、出産後、早期に復職や就労を希望する人や、保育料の無償化に伴い働きたいと考える人の増加などによって、保育に対する需要が増しているほか、保育所を確保できず希望者すべての受け入れができないなど、地域における様々な理由によって、待機児童が生じているものと認識している。

Q池端委員 待機児童が減らない状況下にあって、良好な保育環境を保つためには、保育士の離職を減少させていかなくてはならないと思う。

 従って、離職者を出さないための対応、そして、さらなる人材確保が大変重要であると思う。

 これまでの離職防止ならびに人材確保対策の取組について伺いたい。

A岡村課長 保育士の人材確保に向けた取組について。道が平成28年に実施した保育士実態調査では、給与等の改善を求める意見が最も多く出されており、保育士の離職防止には、まずは処遇の改善が重要と認識している。

 このため、道では、処遇改善加算の取得促進やキャリアアップ研修を実施し、処遇や職場環境の改善に取り組んできたほか、新しい保育人材の育成に向けて、資格取得のための返還免除型の修学資金の貸し付けを実施するとともに、保育現場を離れた保育士に再び活躍いただけるよう、職場復帰の不安を解消していただくための研修の実施や、再就職するための準備金の貸し付け、さらには、昨年7月から福祉人材センターへの登録制度を活用した離職時の届出制度を廃止した。

Q池端委員 安定的な人材確保や定着を推進する上で、まずは保育士といった仕事が将来性のある安定的な職種であることが極めて重要と思う。道は、キャリアアップ研修や離職時届出制度を運用しているが、それでも離職防止における決定的な効果にはつながっていない状況にあると思っている。離職防止に向けて、今後、どのように取り組もうと考えているのか伺う。

A原田次長 今後の取組について。保育士は、未来を担う子どもたちに寄り添う、やりがいと魅力にあふれる専門職であり、将来性のある安定的な職種としていくことが何よりも重要と考えている。

 そのためには、働きやすい職場環境づくりで、処遇の改善がまずは必要であり、道においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で延期されていたキャリアアップ研修を、集合形式からウェブ形式へと手法を変更の上、10月に再開した。

 さらに、復職支援のための離職者届出制度については、十分な周知に努めることはもとより、再就職に向けた有益な情報発信に努めていくこととしている。

 近年の女性の就業率向上や幼児教育の無償化など子育て環境が変化している中、待機児童の解消に向けた保育人材の確保は、道として、大きな課題と認識しており、外部の有識者で構成される審議会の意見もいただきながら、引き続き、保育士確保に努めていく。

O池端委員 保育士の就業年数を他業種と比較してみると、平均的に短いのではないかと感じている。将来性のある安定的な職種であることを、これからもしっかりつくり上げていかなければ、離職に歯止めがかからないのではないかと思う。

(道議会 2021-01-15付)

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