道議会質疑 文教委員会(令和2年10月1日)
(道議会 2020-12-22付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼木葉淳委員(民主・道民連合)

【答弁者】

▼志田篤俊教育部長

▼松本邦由教職員局長

▼今村隆之教職員課働き方改革担当課長

◆時間外勤務縮減について

Q木葉委員 客観的な勤務時間把握にかかわり、市町村によって、在校等時間の定義が異なっている、認識が違っている状況があると聞いている。道教委の認識、今後の対応について伺う。

A今村課長 在校等時間の定義について。国の指針においては、在校等時間は、教育職員が学校教育活動に関する業務を行っている時間として、外形的に把握することができる時間とされ、具体的には、臨時または緊急にやむを得ない必要がある場合に時間外勤務を命ずることができる、生徒の実習や学校行事、職員会議に関する業務などといった超勤4項目以外の業務を行う時間も含め在校している時間を基本とし、生徒の引率等に従事している校外での活動時間などを加え、自己研鑚の時間、その他の業務外の時間や、実際に休憩した休憩時間を除く取扱いとなっている。このことをあらためて、各種会議などを通じて各市町村に周知していくとともに、それでもなお、異なった取扱いをしている事例が判明した場合には個別に、適切な運用が図られるよう、強く指導していく。

D木葉委員 市町村で異なる対応があった場合、迅速な対応をお願いする。

Q木葉委員 1年単位の変形労働時間制の導入に当たっての条件は、前年度において、時間外在校等時間が月45時間、年360時間の範囲内となっているが、前年度同時期の時間外在校等時間という考え方でよいのか、所見を伺う。また、月45時間以内、年360時間以内の両方を満たすことが制度導入の条件となるのか伺う。

A今村課長 制度を運用するに当たっての条件について。国の指針においては、教育委員会および校長は、前年度において、教育職員の時間外在校等時間が月45時間、かつ年360時間の範囲内であることなどの状況を確認することが規定されているが、詳細は示されておらず、その運用方法などについては、今後とも、国に確認するとともに、すでに導入を決めている他県からの情報を収集していく。

O木葉委員 来年度から1年単位の変形労働時間を導入しようということが言われているが、制度自体に不明な点がある、詳細が分からない部分があるとのことだが、詳細が分からない状況での導入は、いったん踏みとどまるべきではないかと思う。

Q木葉委員 制度導入にかかわって、休憩時間の勤務について伺う。教職員は現状、実質的な休憩時間を取れているのか。また、これまで7時間45分の勤務に対し45分の休憩時間だったものが、1年単位の変形労働時間制を導入した場合、勤務時間が延びることによって60分となって、休憩時間中の業務が増えるだけになってしまうのではないかということも考えられる。見かけ上の時間外労働時間や年休が減っていくだけのような気がするが、所見を伺う。

A松本局長 休憩時間の確保について。道教委が実施した令和元年7月1日現在の北海道アクション・プランにかかる取組状況調査結果からは、札幌市を除くすべての公立小・中学校、高校および特別支援学校において、勤務時間が6時間を超える場合には少なくとも45分、8時間を超える場合には少なくとも60分の休憩時間を、勤務時間の途中に設定しているという回答を得ている。

 その一方で、職員会議等の業務が休憩時間にまで及ぶことがときどきあった、または、頻繁にあったと回答した学校は、道立学校で19%、市町村立学校で60%であったことから、休憩時間の分割付与など、適切な休憩時間の確保について、繰り返し指導している。

 道教委では、これまでも、校長に対し、教員の適正な勤務管理の徹底について通知を発出し、効果的な休憩時間の付与方法について示すとともに、休憩時間の確保に向けた取組も明記しており、今後とも、適切な休憩時間の確保などについて指導していく考えである。

O木葉委員 これまでも、休憩時間確保の指導が行われてきていると承知している。ただ、それでも休憩時間に業務をせざるを得ない状況がずっと続いてきている。そもそもの業務量が多すぎるからである。業務量縮減を第一に行うべきだと思う。

Q木葉委員 学校現場では、1年単位の変形労働時間制に対する周知が進んでいないと聞いている。制度を利用する教職員が制度の内容について、よく分からないまま導入されようとしているのではないか。今後の対応について伺う。

A松本局長 職場への周知について。本制度は、新たな制度であり、その内容も複雑となっていることから、各学校における制度の理解が重要であると考えている。道教委では、これまで、各学校に対し、文部科学省が策定した本制度の説明動画のオンデマンド配信や、導入の手引の送付などを行い、すべての職員が本制度を理解できるような環境整備に努めている。

 今後も、制度の詳細や活用方法等を示したリーフレットを作成・配布するなどして、学校職員の理解促進が図られるよう、周知徹底していく考えである。

O木葉委員 この動画は、60分という長時間のもの。環境整備をしようとしていることは分かるが、現場の教職員が長時間労働をして、あすの授業をどうするかという時間も惜しい中、長時間の動画を見る時間自体があるのか。そういう時間がもてないと、学校現場からは聞いた。

Q木葉委員 1年単位の変形労働時間制導入に向けて、学校、市町村教委から意見を伺っていると承知している。どのような意見が挙がってきていて、どのような課題がみられるのか。また、明らかとなった課題に対して、どのように対応していくのか伺う。課題への対応が十分行われていない中で、制度を導入することはできないのではないか。条例改正は延期すべきではないかと考えているが、今後の対応について伺う。

A志田部長 今後の対応について。先日、実施した意向調査で、学校や市町村教委からは、勤務管理などが煩雑になり、管理職の業務量増が懸念されるといった意見や、制度導入に伴う事務手続きの簡略化が必要といった課題も挙げられている。

 こうしたことから、道教委としては、本制度の導入によって生じることとなる新たな業務を円滑に遂行するため、事務職員やサポート・スタッフなどとの役割分担も含め、各学校の校長等がその権限と責任に基づいて校務を適切に分担するよう指導助言するとともに、各種調査の廃止や簡素化などを一層進めていく。

 道教委では、引き続き、関係団体と協議を進め、意見を伺いながら、学校における働き方改革を推進する一つの選択肢として、各学校において、本制度を選択的に導入できるよう、条例整備などについて、検討を進めていく。

O木葉委員 管理職の意見が多いと思う。実際に制度を利用して、子どもたちとかかわる時間を増やしたり、分かりやすく勉強を教えるための教材研究の時間を増やしたりするべき。現場の教職員の声が反映されていないのではないか。現場の教職員にどのように説明して、不安や疑問を解消していくのか。今後の対応について、もう一度伺う。

A志田部長 職員への制度の周知などについて。このたびの意向調査は、本制度を活用するであろう教員自身の意見を聞くなどしながら、校長の責任において、教員の勤務時間を踏まえて回答のあったものと考えている。その中には、「職員一人ひとりに対応した柔軟な取扱いとしてほしい」「長期休業期間中に各種研修等を設定しないでほしい」といった運用に当たっての意見であるとか、「手引の送付や動画だけではなく、説明会の実施や分かりやすいリーフレットの作成をお願いしたい」といった制度の内容を詳細に説明してほしいといった要望もあった。

 道教委としては、本制度の周知に当たり、今後は、制度の詳細や活用方法等を示した分かりやすく、コンパクトなリーフレットを作成、配布するほか、学校現場に出向くなどして、学校職員の理解促進が一層図られるよう努めていくとともに、関係団体からの意見も伺いながら、条例制定に向けて検討を進めていきたいと考えている。

P木葉委員 第3回定例会の一連の質疑において、教職員の長時間労働が文科省から道、道から各市町村、市町村から校長、教頭といったように、どんどん現場の職員に責任があるような形で勤務時間の縮減が求められているように感じる。

 教職員の長時間労働が一層膨大になっている。教職員が1年単位の変形労働時間制を利用することで、慢性的な長時間労働が解消することが導入の目的とならなくてはならない。制度導入の理由が働き方改革推進の一つの選択肢ではなく、業務量の削減に確実につながっていくように早急な、実効性ある取組を求める。

 1年単位の変形労働時間制の導入のみをもって、勤務時間の縮減を図れるものではない。業務量を確実に削減することが重要としているのであるから、まずは、抜本的な業務の縮減が必要と考える。

 すべての学校現場で具体的な業務削減案の提案なしに制度が導入されることがないよう指摘させていただく。

(道議会 2020-12-22付)

その他の記事( 道議会)

道議会質疑 決算特別委員会(令和2年11月9日)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼滝口直人委員(自民党・道民会議) 【答弁者】...

(2021-01-20)  全て読む

道議会質疑 決算特別委員会(令和2年11月9日)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼池端英昭委員(民主・道民連合) 【答弁者】 ...

(2021-01-15)  全て読む

道議会文教委員会(令和3年1月16日) 遠隔で学習支援 学びの保障に努め 長期入院生徒の対応

 13日の道議会文教委員会では、長期入院生徒への対応について質疑が行われた。  道教委の山本純史学校教育局指導担当局長は、本年度から国の委託事業である「高校段階における入院生徒に対する教育...

(2021-01-15)  全て読む

道議会文教委員会(令和3年1月16日) キャンセル料など保護者負担軽減を 私立高の修学旅行

 13日の道議会文教委員会では、私立高校の修学旅行のキャンセル料が取り上げられた。  道の近藤史郎学事課長は、11月以降の道内における警戒ステージの引き上げや全国的な感染拡大、GoToトラ...

(2021-01-15)  全て読む

道議会質疑 文教委員会(令和2年11月4日)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼木葉淳委員(民主・道民連合) ▼中司哲雄委員...

(2020-12-23)  全て読む

道議会質疑 予算特別委員会(令和2年9月29日)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼真下紀子委員(日本共産党) 【答弁者】 ▼...

(2020-12-18)  全て読む

道議会質疑 予算特別委員会(令和2年9月29日)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼安藤邦夫委員(公明党) ▼真下紀子委員(日本...

(2020-12-17)  全て読む

道議会質疑 予算特別委員会(令和2年9月29日)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】 【質問者】 ▼大越農子委員(自民党・道民会議) ▼白川祥二...

(2020-12-16)  全て読む

給特法条例改正案 原案どおり可決 4定道議会

 11日の4定道議会本会議で、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置条例(給特法条例)の一部を改正する条例案が原案どおり可決された。施行は来年4月1日から。

(2020-12-14)

道議会文教委員会(令和2年12月10日) 国などの動向注視 適切な職員手当を 感染判明後の学校消毒作業

 学校の消毒作業について質疑が行われた。  阿部正幸総務課長は、国の衛生管理マニュアルでは児童生徒や教職員の感染が判明した場合、必ずしも専門業者を入れ施設全体の消毒を行うことはないとしてい...

(2020-12-11)  全て読む