道議会質疑 予算特別委員会(令和2年9月29日)
(道議会 2020-12-16付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼大越農子委員(自民党・道民会議)

▼白川祥二委員(北海道結志会)

【答弁者】

▼小玉俊宏教育長

▼志田篤俊教育部長

▼赤間幸人学校教育監

▼池野敦総務政策局長

▼小松智子学校教育局長

▼山本純史学校教育局指導担当局長

▼泉野将司総務課法制・公務管理担当課長

▼岸本亮施設課長

▼新免寛啓教育政策課長

▼川端香代子義務教育課長

▼藤田善治健康・体育課長

▼伊藤伸一生徒指導・学校安全課長

◆英語教育の充実について

Q大越委員 私は、第2回定例会において、コロナ後の世界では、ネット空間がビジネスの主戦場の一つになることを指摘し、本道の子どもたちがこれからのグローバル社会を生き抜いていくためには、英語教育をさらに強化していく必要性を訴えた。

 本年度、小学校において学習指導要領が全面実施となり、第3・4学年に外国語活動、第5・6学年に教科として外国語が導入されている。

 英語教育の重要性がますます高まってきている中、道教委は、道内のスポーツチームと連携した英語教育に関する教材を作成した。

 教材を作成した目的や経緯について伺う。

A川端課長 英語教育補助教材について。道教委では、児童生徒が実践的な英語力を身に付けるためには、英語による表現力やコミュニケーション能力の育成を図ることが重要であり、外国語の授業の中で、対話の目的や場面、状況を意識した活動の充実を図るために、児童生徒にとって魅力ある教材を作成することが有効であると考えた。

 このため、野球やカーリングなど、道内の9つのスポーツチームの協力をいただき、児童生徒にとって身近で憧れの存在でもある選手が英語で話しかける場面を動画教材として作成し、ユーチューブの道教委チャンネルに掲載し、学校でも活用できるようにした。

Q大越委員 とてもよい取組だと思う。教材の内容と活用方法について伺う。

A川端課長 内容と活用方法について。本教材「English Catch Program」は、憧れの人物や将来の夢などをテーマとして、多くの子どもたちが知っているアスリートたちが英語で話しかけるシーンを収録しており、学校において、外国語の授業の中で、教科書と関連のある教材を選択し、話の大まかな内容をとらえる、すなわちキャッチすることや、視聴した内容をもとに児童生徒同士でレスポンス、反応すること、さらに、家庭においては、家族と一緒に視聴し、会話を楽しんだり、学校での学習内容を復習したりするなどの活用方法が考えられる。

O大越委員 内容については、使ってみて初めて分かることも多いと思うので、実際に使用している学校、子どもたち、親の声を聞いてみて、磨き上げていっていただきたい。

Q大越委員 教材が多くの学校や家庭で活用されてほしいと思っている。どのように取り組むのか伺う。

A川端課長 学校や家庭への周知について。道教委では、市町村教委に対して、YouTubeの道教委チャンネルに掲載した動画の、外国語の授業における活用や家庭への周知を依頼した。

 本教材を活用した学校からは、教科書との関連が図られた内容となっているため、児童生徒が興味をもって会話の内容を聞き取ることができたとか、地元出身の選手が出演しているため、児童生徒にとって親しみやすく、学習意欲の向上を図ることができたなどの声が寄せられており、今後は、英語教育に関する事業の指定校等において、本教材を積極的に活用するよう働きかけていく。

Q大越委員 道内の子どもたちの英語力向上のためには、小学校の取組の成果を中学校、高校へとつなげることができるよう取り組んでいくことが重要であると考える。

 今後、道内の子どもたちの英語力の一層の向上に向けてどのような取組を行っていくのか、道教委の見解を伺う。

A小松局長 今後の取組について。道教委では、本教材の積極的な活用を働きかけるとともに、スポーツチームなど関係団体と連携して、引き続き、教材を作成するなど、外国語教育の充実に向けた取組を進めていく考えである。

 また、本年度から実施している小・中・高校英語教育支援事業によって、小学3年生から高校3年生までの10年間の系統的な指導体制を整備することを通して、児童生徒が、聞く、話す、読む、書くのバランスの取れた英語力を身に付けるとともに、主体的に英語でコミュニケーションを図ろうとする態度の育成に努める考えである。

◆リズム運動動画の作成

Q大越委員 体力向上について、第2回定例会の一般質問において、私から、体育授業における新型コロナウイルス感染症対策や、子どもたちの体力、運動能力の状況を踏まえた体力向上の取組についてどのように進めていくのかを伺った。

 道教委は、球技や武道などの種目ごとの感染症対策を講じた指導案を示すとともに、競技団体等と連携し、なわとびの達成状況を設定する仕組みづくり、さらには、家庭でも楽しく体を動かすことのできる動画の配信などを行うとのことだったが、その後の取組状況について伺う。

A藤田課長 体力向上のための取組について。道教委では、体育の時間において、身体接触の多い球技や武道についても、感染リスクを低減させながら安全に指導を行えるよう、それぞれの種目の具体的な取扱いに関する参考資料を作成し、7月末に各学校に周知した。

 また、運動習慣づくりのため、例年実施しているどさん子元気アップチャレンジにおいて、関係団体と連携し、達成状況に応じて認定するなわとびスキルマスターの取組を新たに実施するとともに、家庭でも楽しく体を動かしながら体力を向上させることができるよう、道内のプロスポーツ団体と連携・協働し、動画の作成、配信に向けて準備を進めている。

Q大越委員 新しい取組の答弁をいただいたし、プロスポーツ団体との連携した取組を進めるとのことで、とても期待している。

 家庭でも楽しく体を動かすことのできる動画とのことだが、そのことについて、子どもたちが知っている著名人やキャラクターを活用するなどして、広く道民に活用してもらうことが必要と考えている。

 道教委において、家庭でできる軽運動の動画作成を検討していると伺っている。どのように動画を作成し、どのように活用していくのか伺う。

A小松局長 動画の作成などについて。道教委では、子どもから高齢者まで、誰もが家庭で楽しく体を動かすことができるように、道立高校のダンス部の生徒が考案するオリジナルのリズム運動を制作することとしており、その制作に当たっては、北海道日本ハムファイターズの協力を得られることになった。

 完成した動画については、道教委のホームページやYouTubeの道教委チャンネルに掲載するなどして、市町村教委や学校をはじめ、広く周知するほか、リズム運動を多くの道民に楽しんでいただけるように、北海道日本ハムファイターズや関係団体と連携し、様々な場面で活用できる工夫をして、リズム運動の普及に努めていく考えである。

O大越委員 道内の高校のダンス部と日ハムが連携してリズム運動を制作するということである。とても夢のある楽しみな企画である。話題性も高く、多くの家庭で楽しめるコンテンツになるよう心から期待しているので、しっかり取り組んでいただくことを求める。

Q大越委員 動画の作成、配信など、様々な取組をしているが、それ以外に、道教委として、今後、子どもたちの体力向上に向けてどのように取り組んでいくのか伺う。

A赤間学校教育監 今後の取組について。本年度、全国体力・運動能力、運動習慣等調査が中止されたことに伴い、道教委では、各学校に対して、地域の感染状況や授業等への影響を踏まえ、実施時期や実施方法などを検討した上で、可能な範囲で新体力テストを実施するよう働きかけるとともに、子どもたちの体力の状況を簡便に把握、分析するための新体力テスト分析ツールを作成し、配布した。

 今後は、各学校において、このツールを活用して授業改善を進め、児童生徒の体力、運動能力の状況を踏まえた体力向上の取組が推進されるよう指導助言を行うとともに、学校のデータをもとに、新型コロナウイルスの感染拡大の体力への影響等について分析し、必要な取組を検討するほか、感染症対策を講じながら体力向上に成果を上げている取組事例等について周知していく。

D大越委員 すべての学びについて言えることであるが、最も大事なことは、学びを習慣化することだと考える。どんなに素晴らしい教材をつくったとしても、子どもたちの生活において習慣付けられて初めて、その真の価値が認められるのだと考える。

 特に、語学、体力づくりに関しては、習慣化が最も重要なことであると考える。その意味では、子どもたちにとって憧れの存在である道内のプロスポーツ団体との連携した取組は非常に有効だと思うので、今後もしっかり取り組んでいただきたいと強くお願いする。

◆防災教育の充実について

Q大越委員 近年、大規模な自然災害が常態化し、局地的な豪雨や大型台風、地震などが多発しており、日ごろの災害への備えの強化が一層求められている。特に、本道の未来を担う子どもたちに対しては、防災知識や災害への対応力の向上を図ることが不可欠との認識のもと、道教委は、これまで以上に防災教育の取組に力を入れており、小・中学校を対象にした1日防災学校の取組を、本年度、積極的に推進している。

 道教委は、道や市町村と連携して、1日防災学校に取り組んでおり、本年度は、前年度の3倍近い学校で計画しているとのことである。本年度の取組の状況はどのようになっているのか伺う。

A伊藤課長 1日防災学校について。本事業は、道の地域防災計画を踏まえ、防災教育の普及推進を図ることを目的として、道教委と道、市町村、学校、防災関係機関が連携協力して実施している事業であり、平成30年度に33市町村、小・中学校43校で始まり、その後、順次拡充され、本年度は148市町村、263校で実施を予定している。

 実施する学校では、各教科の指導とも関係付けながら、防災かるたを使った自分の身を守る方法に関する学習、災害時の避難所で使用する段ボールベッドの組み立てや非常食調理の体験活動などを通して災害に備えることの大切さについて理解を深め、状況を判断し、安全に行動できる力を身に付けさせるなど、実践的な防災教育に取り組んでいる。

Q大越委員 取組が進んできているが、防災教育は、子どもたちが小さいころから積み重ねて行うことが重要ではないかと考える。道教委は、就学前の子どもたちに対する防災教育、いわゆる幼児の防災教育について、どのように考えているのか伺う。

A小松局長 幼児に対する防災教育について。道教委では、子ども一人ひとりに災害時に自らの命を守ることができる能力を身に付けさせることができるよう、子どもの発達の段階に応じて、幼児期から系統的な防災教育を推進することが重要と考えている。

 幼児教育施設においては、体を動かして遊ぶ中で、危険な場所や状況などを理解したり、危険を回避するための行動について学んだりしており、幼児が安全に日常生活を送り、緊急時には、教職員や保護者の指示に従い、落ち着いて素早く行動できるよう指導している。

 今後、道教委では、こうした幼児教育施設の実践事例をもとに、小学校の防災教育との円滑な接続に向けた実践モデルを市町村教委や関係機関と連携して作成し、普及するなどして、幼児教育施設での防災教育の充実に取り組んでいく。

O大越委員 幼児教育施設での防災教育の充実に取り組んでいくという答弁をいただいた。しっかり取り組んでいただきたい。

Q大越委員 地域の防災力を高めるためには、例えば、災害が発生した際に、地域の高校生が避難所の運営を手伝うなど、高校生が若者の立場で地域防災の担い手となることが期待される。高校においても、日ごろから生徒の防災意識の醸成に取り組む必要があると考える。

 道教委では、高校生に対する防災教育をどのように考え、どう推進していくのか伺う。

A小松局長 高校生に対する防災教育について。道教委としては、高校においては、生徒が安全で安心な社会づくりへの参画を意識し、地域の防災活動や災害時の支援活動において適切な役割を自ら判断し行動できるよう、小・中学校の防災教育の取組を踏まえた系統的な防災教育を推進することが重要と考えている。

 道内の高校では、学校設定科目の地域研究において、災害発生のメカニズムや避難時の行動などについて学ぶ授業や、ゲーム形式で避難所運営について学ぶことができる北海道版「Doはぐ」の体験など、防災に関する学習に積極的に取り組んできた高校もあることから、今後、こうした学校の実践事例を普及啓発するとともに、体験活動のコンテンツを工夫して、1日防災学校を高校においても実施することを検討するなどして、高校段階での防災教育の充実に取り組んでいく考えである。

Q大越委員 未曽有の被害をもたらした東日本大震災では、日ごろから子どもたちに粘り強く指導した防災教育の成果が、自らの命を守るという形で実を結んだ事例が数多く報告されており、毎年、3月11日を迎えるたびに、防災教育の重要性が再認識されている。

 先の一般質問では、わが会派の同僚議員の質問に、「子どもの発達の段階や障がいの状態等を考慮しながら、地域の実情に応じた1日防災学校の取組を検討する」との教育長の答弁があった。道教委は、災害に強い北海道づくりに向けた実践的な防災教育の推進に向けて、今後、どのように取り組んでいく考えなのか伺う。

A小玉教育長 今後の防災教育について。道教委としては、地域コミュニティーの核となる学校において実践的な防災教育を推進することは、児童生徒をはじめ、地域の方々の防災意識と対応力の向上を図る上で、極めて重要であると考えている。

 今後、道と市町村、学校と地域など、横をつなぐ連携協働を進めるとともに、幼稚園から高校までの学校教育を通して、災害の履歴や対応の経験、知恵を確実に受け継ぐ、時代をつなぐ防災教育を進め、道教委が主体的な役割を果たしつつ、1日防災学校を全道に広げ、災害に強い北海道づくりに取り組んでいく。

O大越委員 防災教育については、着実に取組が進んでいるように思う。

 しかし、防災の取組は、これで終わりということは決してない。新しく始めた取組がしっかりと子どもたちに身に付くように取り組んでいただくとともに、すべての子どもたちに災害を乗り越える強さを身に付けてもらえるよう、今後も、防災教育の取組を進めていただくことを強く求める。

◆教育への公的支出について

Q白川委員 経済協力開発機構は9月、2017年の加盟各国などの国内総生産に占める、小学校から大学に相当する教育機関向けの公的支出の割合などを公表しているが、その概要について伺う。

A新免課長 OECD加盟国における教育への公的支出などについて。OECDにおいては、毎年、「図表でみる教育」を公表し、加盟国などにおける教育制度の構造や財政、成果に関するデータを各国に提供している。

 本年9月に公表されたデータによると、2018年の後期中等教育課程における職業教育課程に在籍する生徒が占める割合は、OECD諸国平均が42%のところ、日本は22%であること、現在の進学傾向が続いた場合、30歳までに高等教育を修了する人の割合は、OECD諸国平均が38%のところ、日本は67%であること、2017年の初等教育から高等教育までの公的支出が国内総生産に占める割合は、OECD諸国平均が4・1%のところ、日本は2・9%であることなどの結果が明らかになっている。

P白川委員 今の答弁を聞くと、日本の教育への公的支出が先進国より際立って低い点は、改善を急ぐべき根本的な問題だと考えている。

 拡大し続ける教育格差を是正するためにも、十分な予算を投じ、誰もが分け隔てなく成長できる環境を整えなければならないことを指摘する。

Q白川委員 国立大学は、運営交付金を減額されたことによって、資金獲得に奔走せざるを得なくなり、落ち着いて研究に打ち込む気風が薄れたと言われている。

 今月、イギリスの教育専門誌『タイムズ・ハイヤー・エデュケーション』は、ことしの世界大学ランキングを発表しているが、その概要について伺う。

A新免課長 世界の大学ランキングについて。イギリスの教育専門誌である『タイムズ・ハイヤー・エデュケーション』では、2004年から、各大学の教育、研究、国際性などの分野について、指標を用いてスコアを算出し、ランキング化している。

 本年9月に公表された結果では、国内の大学116校をはじめとする、93ヵ国、1527校が掲載され、東京大学および京都大学が上位100校に入ったほか、道内の大学では、北海道大学が上位600校にランクインしている。

O白川委員 北海道大が上位600校にランクインされているというが、国内の大学の上位へのランクインがかなり少ないというイメージがあると思う。

◆大学入学共通テストの対応

Q白川委員 来年1月に初めて実施される大学入学共通テストは、この1年間、相次ぐ内容の改変で迷走が続いた。

 英語の民間検定の導入にしても、入試時期の延期にしても、できないことはできないと、国の責任で、もっと早く決めてほしかった、もうこれ以上ごたごたを増やさないでほしい。また、コロナ禍も重なり、受験生はもとより、家族や学校の先生をはじめ関係者は、心身ともに大変苦しく、つらい思いをしていると思う。

 道教委として、こうした相次ぐ改変をどのように受け止め、どのように対応しているのか伺う。

A山本局長 大学入学共通テストについて。本年度から実施される大学入学共通テストにおいては、思考力、判断力、表現力等を総合的に評価することを目的として、読む、書く、話す、聞くの4技能を適切に評価するための英語民間試験の活用や、国語、数学における記述式問題を導入することとされていた。

 このうち、英語の民間試験の活用については、受験生が居住地や家庭の経済状況等の事情にかかわらず、等しく安心して受けられるようにする必要があること、国語、数学における記述式問題については、採点に当たり、その円滑な実施に様々な課題があることなどから、導入を延期することと判断された。

 道教委では、これまで、国に対して、広域分散型の本道の特性を踏まえ、受験機会の格差解消に向けた実施体制の整備を要望してきたほか、変更内容について、学校を通じて速やかに生徒や保護者に周知するなどしてきたが、こうした一連の入試制度の変更によって、生徒や保護者の中に少なからず不安を抱く人もいたと認識しており、今後とも、すべての生徒が安心して受験に向けて準備を進めることができるよう、国や大学の情報をきめ細かく収集し、提供するなど、生徒の心情に配慮した対応を講じていく。

◆小・中学校の耐震化推進

Q白川委員 ことしの環境白書に気候危機という表現が初めて使用されるなど、激変する気候変動によって豪雨災害などが頻発し、避難所として使われる学校施設については、もとより子どもたちを守ることが最優先であるが、その耐震性が強く求められている。

 文部科学省は8月、公立小・中学校での建物の耐震改修状況の調査結果を公表している。

 道内の耐震性がない校舎や体育館などの建物数、耐震化率などについて伺う。

A岸本課長 耐震性がない建物数、耐震化率について。本年8月に文科省が公表した調査では、令和2年4月1日現在、道内の公立小・中学校の校舎や体育館などの耐震性がない建物数は、25市町村の129棟であり、耐震化率は97・3%と、全国平均を2・1ポイント下回り、全国の都道府県の中では3番目に低い率となっている。

Q白川委員 全国で3番目の低さということで驚いている。

 2015年度までの耐震化率100%を目指していた文科省は、早期の耐震化完了を要請するとしているが、耐震化が遅れている理由と今後の対応について伺う。

A池野局長 今後の対応等について。公立小・中学校の耐震化が完了していない理由としては、市町村において、学校の統廃合等の検討に時間を要していることや財政事情などから、取組が遅れていると伺っている。

 道教委としては、安全・安心な学校施設の整備は極めて重要な課題であると考えていることから、これまでも、耐震化が完了していない市町村に対して、幹部職員等が直接出向き、整備に着手するよう強く要請してきており、引き続き、早急に対策を講じるよう粘り強く理解を求めるとともに、耐震化の対策が着実に進められるよう、かさ上げ措置など、補助要件の緩和や地方財政措置の充実などについて、今後も、国に対し強く要望していく考えである。

O白川委員 北海道特有の統廃合の検討、財政事情は大きな課題だと思う。これをしっかりと国に対して強く要望していただきたい。

◆手洗い場の自動水栓化

Q白川委員 トイレ関連企業でつくる学校のトイレ研究会は、学校のトイレにある手洗い場の水栓、いわゆる蛇口について、昨年11月から12月に全国の1787自治体を対象に調査を実施し、204自治体からの回答をもとに、校舎の新築や改修を予定している自治体の74%が、ハンドルを手でひねるなどしなくてもいい非接触型の自動水栓を導入したいと考えていることなどを8月30日に公表している。

 コロナ禍にあって、安全確保に向けた民間の取組も活発化してきているが、手洗い場の自動水栓化などに対する認識と今後の対応について伺う。

A志田部長 学校における手洗い場の蛇口の整備について。児童生徒がよく手で触れる手洗い場などの蛇口を清潔に保つことは、感染症を予防する上で重要であることから、道立学校では、緊急対策として、第2回定例会で補正予算として計上した国の学校教育活動再開支援事業費を活用して、必要個所の手回し式蛇口をレバー式に交換を進めるとともに、市町村教委に対しても、同様の取組を促している。

 また、道立学校における自動水栓の導入は、これまでも、新築・改築時にトイレ整備の一環として行っており、道教委としては、安全・安心な学校環境を整備する観点から、引き続き、導入を進めていく。

O白川委員 自動水栓は必要と思うので、よろしくお願いする。

◆性犯罪の対策について

Q白川委員 政府は、本年度からの3年間を性犯罪・性暴力対策の集中強化期間と位置付け、省庁ごとの課題を達成する時期の目標を8月公表しているが、取り組むべきテーマは多岐にわたっている。中でも、子どもたちの性被害の根絶は、社会に課せられた大きな責務と考える。

 警察庁によると、2018年に認知された強制性交事件1307件、強制わいせつ事件5340件のうち、被害者が中学生以下のものが、いずれも2割を占めている。

 また、各都道府県にあるワンストップ支援センターの活動状況に関する内閣府の調査でも、電話相談の約1割、面談の2割弱が中学生以下からの相談だったことが分かっている。

 性犯罪被害の深刻さに対する認識が深まる中で、2017年に刑法が改正され、刑罰も厳しくなったが、子どもたちへの性犯罪は続いており、手当てを急ぐ必要がある。

 先の改正で、18歳未満を監護する立場にある親などが、その影響力に乗じてわいせつな行為や性交をすれば、暴行や脅迫などがなくても処罰する条文が設けられたが、コーチらは、ここで定める監護者には該当しない。

 強い立場の者にあらがうことは、とりわけ若年者には難しいことを踏まえた対応が必要と考えるが、道教委の所見を伺う。

A泉野課長 指導者による性犯罪、性暴力について。国では、性犯罪・性暴力対策の強化に向けて、本年4月から、内閣府、警察庁、文科省等を構成員とする関係府省会議を開催し、6月には対策強化の方針を決定した。

 学校教育においても、性犯罪、性暴力の根絶に向け、わいせつ行為を行った教員等の厳正な処分などについて、取組が強化されるものと承知している。

 道内においても、教員等による児童生徒へのわいせつ事案が毎年発生していることから、道教委では、本年8月に懲戒処分の指針を改正して、教員等が法令に違反する重大な性的行為を行った場合は免職となるなど、処分を厳格化した。

 今後も、引き続き、国の動向を注視しつつ、研修や各種会議などを通じ、わいせつ行為をはじめ、児童生徒や保護者、地域の信頼を損なう行為は絶対にしてはならないという意識をすべての教員等に徹底し、不祥事の未然防止に取り組んでいく。

Q白川委員 性行為をするだけで犯罪とされるのは、相手が13歳未満のときだけである。外国に比べて、この年齢が低過ぎるとして引き上げを求めている人権NGOもあるが、道教委の所見を伺う。

A伊藤課長 性犯罪被害に関する年齢の引き上げについて。関係府省会議において、性交同意年齢が13歳と規定されていることと、性暴力や性被害の予防および対処に関する教育との関係について、協議されていることは承知している。

 道青少年健全育成条例においては、18歳未満の青少年に対する淫行、または、わいせつな行為について罰則を定めており、引き続き、国の動向を注視していく考えである。

 道教委としては、毎年、実際に被害に遭っている児童生徒がいることから、子どもたちを性暴力の加害者や被害者にさせないため、幼児期から高校まで、発達の段階を踏まえて適切に指導するよう、市町村教委や警察などの関係機関と連携し、学校における教育や啓発の充実に努めていく。

Q白川委員 学習指導要領は、中学校の段階でも性交や避妊を扱わないことにしているが、これでは、被害に遭っても、自分の身に起きたことを十分理解できない恐れがある。

 人間にとって性とは何か、互いに尊重し合うことがいかに大切かを義務教育の段階から伝え、その一環として、被害を受けた場合の対処も教える。被害実態からみても、こうした取組が必要になってきていると考えるが、所見を伺う。

A赤間学校教育監 性や性被害について。性暴力は、被害者の人としての尊厳を傷つけ、心身に深刻な影響を与え、その後の生活にも甚大な影響を与えることが多いことから、学校での性に関する適切な指導を行うことは重要であると認識している。

 こうしたことから、学校では、教育活動全体を通じて生命の貴さを学び、生命を大切にする教育、自分や相手、一人ひとりを尊重する教育を推進し、子どもの発達の段階に応じ、例えば、自分の身を守ることの重要性や、嫌なことをされたら訴えることの必要性、性犯罪の被害に遭わないための対応、SNSによる犯罪被害に遭った場合の対応など、性暴力や性被害の予防および対処に関する教育を進めるとともに、学校の相談体制の強化を図り、性犯罪、性暴力の根絶に向けて努めていく。

Q白川委員 2018年度にわいせつ行為などで処分された教員は282人で、被害者の約半数は、自校の児童生徒か卒業生である。

 免職後も、3年経てば教員免許を再取得でき、他県に移って同様の非違行為をする者もいる。こうした実態に鑑み、政府は取得条件を厳しくする考えと聞いている。

 一方、職業選択の自由は保障され、罪を犯した者の社会復帰を阻むことはあってはならないが、被害の重さを考えると、現行制度はいかにも緩いと考える。

 学校を安全な場所にするため、相応の制約を課すことに対する教育長の見解を伺う。

A小玉教育長 教員免許の再取得にかかる課題などについて。現行の教育職員免許法では、懲戒免職の処分を受け、教員免許を失効した場合でも、3年経過後には再取得することが可能となっているが、現在、文科省では、児童生徒等にわいせつ行為を行った教員への厳正な対応について、教員免許状の管理の厳格化などに関する法改正を検討している。

 児童生徒を守り育てる立場にある教員が、その児童生徒に対し、わいせつ行為を行うということは、断じてあってはならないことであり、こうした犯罪が繰り返されてきていることは、極めて遺憾に感じる。

 私としては、再取得制限期間も含め、再犯を防ぐ実効性のある方策が重要と考えており、今後、国において、児童生徒や保護者の心情に配慮した議論が深められることを期待している。

O白川委員 教員は聖職者である。聖職者たる者、1回でもそうしたことがあれば、もう聖職者には当たらない。そこは、しっかりと厳しくすべきだと思う。

(道議会 2020-12-16付)

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