道議会質疑 予算特別委員会(令和2年9月29日)(道議会 2020-12-18付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼真下紀子委員(日本共産党)
【答弁者】
▼小玉俊宏教育長
▼志田篤俊教育部長
▼池野敦総務政策局長
▼松本邦由教職員局長
▼新免寛啓教育政策課長
▼奥寺正史教職員課長
▼今村隆之教職員課働き方改革担当課長
◆免許外教科担任解消など
Q真下委員 北海道は、全国でも免許外教科担任の申請許可が特別多く、札幌市を除く公立学校において、2016年度時点で1159件もあった。
道教委は、新たに免許取得するために計画的な認定講習を実施して、中学校免許外担任解消のための加配や非常勤講師の配置などによって解消していくと、2018年の第1回定例会で答えていたが、どのように改善してきたのか。
A奥寺課長 免許外教科担任の状況について。学校教育をより充実させるためには、専門の教科免許を有する教員が教科担任となって教科指導を行うことが必要ではあるが、道内においては、小規模校が多いといったことなどを背景に、免許外教科担任の許可件数が他都府県に比べて多くなっている。
これに対し、道教委では、これまで、免許外教科担任の多い技術や家庭などの免許を新たに取得するための認定講習の実施をはじめ、複数校を兼務する教員の加配措置や非常勤講師の配置、複数免許所有者の採用や適正な人事配置などに努めてきた。
こうした取組の結果、札幌市を除く公立学校における免許外教科担任の許可件数は、平成28年度で、中学校が954件、高校が205件、計1159件であったのに対し、令和元年度には、中学校が737件、高校が146件、計883件と、この4年間で276件の減少となり、一定の改善がみられている。
Q真下委員 充実した学習環境を整える上で、これが保障されていないということになる。2019年度で札幌市を除く公立中学校において737件ということだったが、技術で254件、家庭で268件、美術で151件となっており、これらは、生きていく上で不可欠な分野であると考える。それなのに、あまりにもないがしろにされているのではないかと考える。
どこに課題が残っているのか、解消に向けた見通しはどうか、併せて伺う。
A奥寺課長 免許外教科担任の解消に向けた取組などについて。現在、中学校の教科数は10教科あり、全教科の指導に当たって、1教科1人の教科担任とすると、少なくとも10人の教員配置が必要となるが、本道においては、小規模校が多く、国の標準配置定数では、校長を除く教員配置が9人以下となる中学校が半数近くを占めている状況などから、教育職員免許法の規定に基づいて、許可を受けた専門の免許を保有しない教諭が当該教科の担任をせざるを得ない状況にある。
道教委としては、今後とも、国に対し、小規模校の定数措置の拡充について要望するとともに、免許外教科担任の多い技術、家庭などの免許を新たに取得させるための認定講習を計画的に実施するほか、毎年の人事異動による教員の適正配置や複数免許所有者の確保、さらには非常勤講師の配置などを行い、引き続き、免許外教科担任の解消に向けて取り組んでいく。
Q真下委員 4年間で276件減少しても、883件が残っているという状況である。ましてや、技術、家庭、美術、保健体育など、その専門性をどう考えて解消できないでいるのか。
A松本局長 専門性の確保について。学校教育をより充実させるためには、専門の教科免許を有する教員が教科担任となって教科指導を行うことが必要であり、その解消に向けて取り組んできてはいるものの、本道は、小規模校が多いことなどによって、一定数の免許外教科担任による指導は避けられない状況である。
こうしたことから、道立教育研究所において、免許を有しない教員も対象に、各教科等の指導に関する研修を実施しているほか、当該教科の免許を有する教員や指導主事などによるきめ細かな指導助言を行うなどして、学校現場において、専門的な知識や技能の育成向上に努めている。
P真下委員 専門の免許を有する教員に教えてもらわないで、学力の向上だけを求められる子どもたちは、非常に大変だと思う。
教育長は、保護者の経済状況などにかかわらず、等しく教育を受けることができる環境を整備していくことは、子どもたちの夢と希望を実現する上で大変重要だと答えている。
道財政のいかんをもって、専門的免許を有する教職員による教育を受けられない環境というのは、道教委が改善しなければならないのではないか。それを放置しておいてはならないと思うので、この点は指摘しておく。
Q真下委員 小学校では、新たに導入された外国語、プログラミングなど、教員が新しい教科に対応できる仕組みになっているのか、疑問なところがある。
現場の準備ができないまま導入されて、結局、民間や非常勤という単発的指導になるような教育の在り方でいいのかどうか、考えを伺う。
A松本局長 新たな教科等への対応について。本年度に全面実施された新学習指導要領において、新たに位置付けられたプログラミング教育の円滑な導入に向けて、道教委では、前年度から先進的な取組を行っている学校の年間指導計画等を提供し、各学校の取組を支援するとともに、実践事例を取りまとめた研修用資料を作成、配布するなどして、教員の指導力向上に努めてきた。
また、同じく5年生、6年生の外国語科についても、英語教育推進リーダーによる、全道すべての小学校の中核教員を対象とした研修等の実施による教員の英語力、指導力の向上に取り組むほか、英語の免許状を有する教員が外国語科の専科指導を行う外国語科専科教員の加配を拡充するなど、外国語科における専門的な指導の充実に向けて、専門性をもった教員の配置に努めている。
引き続き、教員自身のスキルアップを目指し、さらなる指導力向上を図ってまいる考えである。
P真下委員 小学5年生、6年生では教科化されたわけであるから、一般教養程度の研修でお茶を濁すことはやめていただきたい。
専科配置というが、札幌市を除く792校のうち、153校、2割に満たない学校にしか配置されないこととなっている。学力向上の環境を整える責任は道教委にあるわけであるから、重ねてこのことは指摘しておく。
Q真下委員 安心して仕事を継続するために、産休・育休代替教職員の欠員は解消されなければならない。
道は、ハローワークやホームページでの募集とともに、代替教職員等応募・任用システムによる速やかな確保に努めるとしてきたが、欠員は解消されたのか。
A奥寺課長 産休・育休代替教職員の欠員状況について。産休・育休代替職員のみならず、教員の確保に向けては、これまでも、ハローワークやホームページ、広報誌、YouTubeを通じた募集のほか、民間の就職情報誌やウェブサイトの活用によって、人材の掘り起こしに努めてきた。
こうしたこともあって、昨年9月1日現在、産休代替教員では20人、育休代替教員では7人の欠員があったが、本年9月1日現在では、産休代替教員が8人、育休代替教員が4人と、一定の改善がみられている。
道教委としては、今後とも、欠員の解消に向け、市町村教委と連携しながら、地域の潜在的な人材情報を共有するなどして、必要な教員の確保に取り組んでいく。
P真下委員 いまだ解消されていない。法定定数を割っている許されない事態が続いているわけで、これは早急に解消を図ることが絶対に必要だということを指摘しておく。
Q真下委員 代替教職員のキャリアアップが教員採用につながることが必要だと求めてきた。それに対して、道教委は、2019年度から特別選考検査を実施していると承知しているが、これによって改善されたのか。
A奥寺課長 特別選考検査における登録状況について。道教委では、正規教員と同様に校務を行っている期限付教員および産休・育休代替教員の実態等を十分勘案しつつ、客観的に教員としての資質や実践的指導力を見極めることができるよう、平成30年度から特別選考検査を実施している。
この検査におけるこれまでの登録状況は、30年度は、受検者221人に対し登録者194人、令和元年度は、受検者125人に対し登録者102人となっており、一定の成果がみられているものと考えている。
◆1年単位の変形労働時間
Q真下委員 道教委が9月に公表した道立学校の教育職員にかかる時間外在校等時間の本年6月分によると、変形労働時間制導入の前提とされる45時間以下を達成した高校の割合が57%にとどまって、43%が道教委の定めた北海道アクション・プランを達成できていないという事態であった。
道教委はどのように受け止めているのか。
A今村課長 教育職員の在校等時間の状況について。このたび公表した、道立学校における時間外在校等時間の6月分において、月45時間を超過した教育職員は、高校で43%、特別支援学校では13・3%という状況であった。
超過した理由については、高校では、部活動に関する業務や教材研究、授業準備にかかる業務に時間がかかっている。
一方、特別支援学校では、個別の指導計画の作成、確認のほか、児童生徒や保護者への対応に関する打ち合わせ業務などに時間を要しているといった報告があった。この結果は、昨年11月に実施した教育職員の時間外勤務等にかかる実態調査結果と同程度の勤務状況だったが、道教委としては、引き続き、時間外在校等時間が上限の範囲内となるよう、長時間勤務縮減に向けた実効性のある取組を進めていく。
Q真下委員 コロナ禍において、教員は、再開した授業などの通常業務のほかに、感染対策にかかる取組など、新たな業務が追加され、負担が強化されている。
コロナ対策による教職員の労働内容が増大している事態を、道教委としてはどう認識しているのか。そして、どのような負担軽減対策を講じているのか、併せて伺う。
A今村課長 コロナ禍における教職員の業務負担について。各学校では、学校再開後において、臨時休業の長期化の学習の遅れを取り戻すための学習指導計画の見直しや、新しい生活様式を定着させるための感染症対策など、通常に加えて行う業務が負担となっている状況にあると認識している。
そのため、学校教育活動に対する人的支援として、教員加配や学習指導員、スクール・サポート・スタッフを追加配置するなどして、少しでも教職員の負担を減らし、学校の指導体制のさらなる充実に努め、子どもたちの学びを最大限保障していく。
Q真下委員 人的支援が必要だから対策を取ったということだが、それ以外の対策として、業務量の適切な管理や、働き方改革の手引を活用した業務の平準化や効率化などの取組を進めるよう、通知を発出していると承知している。しかし、コロナ禍というかつてない事態に直面し、業務量の増加によって、労働時間の縮減どころか、逆に増大することは明らかである。
これまで進めてきた取組の焼き直し程度では、コロナ禍における教職員の労働時間削減効果は期待できないと考えるが、いかがか。
A松本局長 感染症対策を踏まえた対応について。6月の時間外在校等時間が5月に比べ大幅に長くなっているのは、6月に学校が本格再開したことによって、新型コロナウイルス感染症への対策に時間を要したためと考えられるものの、これが一時的なものなのか、ほかにも要因があるのかについては、今後、さらに分析を進める必要があると考えている。
いずれにしても、コロナ禍の影響は大きく、また、教職員の働き方改革は喫緊の課題であり、引き続き、アクション・プランに掲げる各種施策を着実に進め、業務削減や平準化を図ることによって、日々の教員の業務や勤務時間の縮減に努めていく考えである。
Q真下委員 影響が大きいことを認めたが、道教委は、1年単位の変形労働時間制を来年度以降導入できるようにするため、条例制定に向けて検討していると承知している。
昨年、わが会派の同僚議員が、導入によって長時間労働がどう改善されると考えるのかという質問をしたが、道教委は明快な答弁を行っていない。
あらためて質問するが、導入によって教職員の労働時間を削減できる効果があるのか伺う。
A今村課長 変形労働時間制の導入について。1年単位の変形労働時間制については、業務の状況に応じて勤務時間を配分し、長期休業期間中に集中して休日を確保する制度であり、これを単に導入するだけで勤務時間を縮減できるものではなく、他の施策と併せて講ずることによって、学期中および長期休業期間などにおける業務量を確実に削減することが重要であるとされており、その意味で、学校の働き方改革を推進する一つの選択肢であると認識している。
Q真下委員 勤務時間短縮の決め手ではないということを道教委自身が認めたということ。そして、文部科学大臣も時間短縮につながらないとはっきりと言っている。
これまでの議会議論において、1年単位の変形労働時間制の問題について様々な指摘をしてきた。指摘を受けてどう検討してきたのか、指摘されたが、導入には一切問題ないと結論付けたのかどうか伺う。
A今村課長 変形労働時間制の検討について。本制度導入に当たっては、様々な課題があると認識しており、この制度を実効性のあるものとするには、他の施策を着実に進めていくことが重要と考えている。また、これに加え、現在、道教委では、国から示された省令等を踏まえ、地域や学校などの実情に応じた活用方法も含め、本制度の導入について、学校や市町村教委などから意見を伺うなどして、検討を進めている。
Q真下委員 1年単位の変形労働時間制について、教頭以上の管理職員が、導入を希望する教職員の意向を確認して、導入後の勤怠管理等の労務管理全般を行うものとされている。しかし、教職員との面談に始まって、個々の状況に合った勤務形態を策定し、その後の管理まで含めると、これまでの労務管理以上の業務が管理職員にのしかかってくることになる。
道教委は、この導入に伴う管理職員の業務量の増加についてはどう認識しているのか。
A松本局長 管理職員の業務負担について。国からは、本制度の導入に当たっては、まずは、業務の削減を前提とする必要があり、そのためには、上限時間が順守されていることが導入の要件であると示されている。
道教委としては、本制度の導入によって生じることとなる新たな業務を円滑に遂行するためには、各学校の校長等が、その権限と責任に基づいて、事務職員やサポートスタッフなどとの役割分担も含め、各教育職員に校務を適切に分担するとともに、服務を監督する教育委員会において、学校の組織運営に関し、委員会等の合同設置や構成員の統一など、業務の適正化に向けた指導助言を行うほか、各種調査の廃止や簡素化などを一層進めるなどして、各学校の管理職が、真に必要な業務に注力できるよう、支援することが重要と考えている。
O真下委員 やり方があべこべである。国からは、業務の削減を前提とする必要があるとはっきり言われているわけであるから、これを前提に考えなければいけないのに、同時進行するようなやり方というのは間違っていると言わざるを得ないと思うし、管理職の負担増大は非常に問題があると考える。
Q真下委員 制度の導入に当たっては、あくまでも、学校ごと、教職員個々人の意思によって導入されるものと承知しているが、道教委として、市町村教委、学校に対し導入を促進する働きかけを行うことがあるのか伺う。
A今村課長 制度の導入の働きかけなどについて。国からは、本制度は、あくまでも各地方公共団体の実情に応じて、各地方公共団体の判断によって選択的に制度を活用できることとしたものであり、制度を活用しようとする場合には、各地方公共団体において条例等の整備が必要となることが示されている。
道教委としては、本制度の導入に当たり、こうした趣旨を踏まえ、学校や市町村教委などの意向などを伺いながら検討を進めており、制度の内容をしっかりと周知するなど、適切に対応していく。
Q真下委員 文部科学省の制度の導入の手引きやQ&Aでは、条例、規則を整備するに当たり、まず、各学校で検討の上、市町村教委と相談し、市町村教委の意向を踏まえた都道府県教委において、給特法施行規則や本指針等を踏まえて条例等を整備することとしている。各学校で検討とは、道教委として、具体的にどのようなことだと考えているのか。
A松本局長 条例等を整備するに当たっての手続き等について。都道府県における条例、規則の制定等の具体的な手続きについては、国からは一つの例として示されたものであり、こうした手続きが望ましいものとは考えているが、学校の負担や市町村教委の状況等も勘案し、各自治体の実情に応じて適切に判断すべきもので、必ずしも、この手続きに従う必要はない旨の見解が示されている。
道教委としては、制度の内容を各学校に周知するとともに、各学校の勤務実態に照らし、制度の導入について十分検討していただくことを期待する。
Q真下委員 十分な周知と十分な検討ができる時間があったのかどうかということである。
道教委が行っている意向調査の期間は、道立学校、市町村教委への照会文書発出から2週間、9月9日から24日までと、極めて短期間である。
各学校で民主的手続きや討議を踏まえて結論を出すには、あまりにも短い。管理職だけで決めてしまうのではなくて、職員会議など教職員の民主的な討議を通じ、各学校で十分理解された上で現場の意向確認が行われるべきと考えるが、わずかな期間でこれが実施できたと自信をもって言えるのか。
A志田部長 意向調査について。今回の意向調査の発出に当たって、本制度は、各市町村教委や学校の判断によって、選択的に導入できるものであり、一律に全教育職員に適用されるものではないという制度であるものの、各学校に対し、文科省が作成した本制度の説明動画のオンデマンド配信や導入の手引きなどの送付などを行い、すべての職員が本制度を理解できるような環境整備に努めた。
こうしたこともあり、本調査の照会期間はやや短かったものの、すべての道立学校および市町村教委から回答があった。現在、集計を終えたものの中で、4年度以降からの導入も含めて、職員が活用できるよう検討したいという回答があったのは、道立学校、市町村教委共に約8割であった。
Q真下委員 現場教員の声が反映されていると確認できているのかどうか、現場で十分理解された上で、現場の声が反映できていると考えているのかどうか伺う。
A志田部長 職員への制度の周知について。道教委では、本制度の説明動画のオンデマンド配信や導入の手引きの送付などを行っているが、本制度を導入することとなった場合には、制度の詳細や活用方法などを示したリーフレットを作成、配布するなどして、学校職員の理解の促進が図られるよう、周知徹底していく考えである。
Q真下委員 つまり、詳細は知らせないで決めているということなのか。
A志田部長 教育職員への周知について。これについては、各学校に対し、文科省が作成した本制度の説明動画のオンデマンド配信や、導入の手引きの送付などを行って、すべての職員が本制度を理解できるような環境整備には努めてきた。
O真下委員 道教委として、詳細はこれから知らせるというが、現場の教職員からは、よく分からないと聞いている。そのことをよく理解してほしい。分からないということを理解していただきたい。
Q真下委員 道教委は、教職員の時間外在校等時間の削減について、従来の対策を取るにとどまっている。学校現場は、コロナ以前から膨大な業務に追われていた。教職員は、疲弊していたところに、コロナ対応による過大な業務がのしかかってきて、現場に深刻な影響を及ぼし、悲鳴に近い声すら聞こえてきている。そこに新しい制度を導入するといっても、理解に苦しむのは当然ではないか。
1年単位の変形労働時間制が労働時間の削減に効果がないことを道教委自身も認めながら、逆に、導入によって計り知れない混乱を現場にもたらす懸念が生じている。
加えて、現場の教職員の声が十分反映されたとは言えない状況を踏まえると、制度導入への条例制定は実施できる状況では到底ない、延期すべきだと考えるが、見解を伺う。
A志田部長 制度の導入について。道教委としては、意向調査の結果における、職員が活用できるよう導入を検討したいという回答をした学校や市町村教委の意向を踏まえて、校長会等からも十分意見を伺うなどして、学校における働き方改革を推進する一つの選択肢として、各学校において本制度を選択的に導入できるよう、引き続き、検討を進めていきたいと考えている。
O真下委員 これは、見切り発車はなじまないと申し上げておく。
◆少人数学級と配置計画等
Q真下委員 私は、これまで、長年にわたって、少人数学級の実現を求めてきた。
教育長は、ソーシャルディスタンスを保つことによる新型コロナウイルス感染症の感染リスクの低減効果とともに、学習状況や心身の健康状態のきめ細かな把握など、効果があったと答弁していた。
その後も、少人数学級を求める声が日増しに高まっており、道議会でも、おそらく全会派が取り上げて、実施を求めているという状況になっている。
9月8日、国の教育再生実行会議の初等中等教育ワーキング・グループの初会合では、来年度から、できるところから少人数学級の実現に取り組むことで一致し、さらに、来年度予算編成の過程で丁寧に検討することを求めた合意文書までまとめていると聞いている。
少人数学級の実現をめぐる情勢を道教委はどうとらえているのか伺う。
A新免課長 少人数学級編制をめぐる議論の状況について。国の教育再生実行会議においては、今般の新型コロナウイルス感染症対応を踏まえ、今後、どのような状況下においても、子どもたちを誰一人取り残すことなく学びを確実に保障することができるよう、新たな時代の学びの環境の姿を検討することとし、対面とICT活用による対話的、協働的な学びの深化、デジタル教科書の活用、少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備等について議論していると承知している。
特に、少人数による指導は、子ども一人ひとりが自らの学習状況を把握し、試行錯誤したり、実社会にかかわる課題を協働して解決したりする、個別最適な学びを実現する上で大切であることから、関連する施設設備等の環境整備と併せて、予算編成の過程における検討を期待するなど、少人数学級編制の拡充に向けた国の動きは一層強まっているものと認識している。
Q真下委員 この機を逃すことなく、実現することが大事だと思う。
道教委は少人数学級の目的をどう考えているのか伺う。
A池野局長 少人数学級編制の目的等について。道教委として、少人数学級編制は、子どもたちが主体的・対話的で深い学びを実現し、生涯にわたって必要な力を確実に身に付けることなどを目的に行うものであり、今般の新型コロナウイルス感染症に的確に対応するとともに、教員が、子ども一人ひとりに向き合う時間を確保し、きめ細かな指導を実現する上で、大変有効な指導体制の一つであると認識している。
Q真下委員 北海道においては、少人数学級を実現するために、教員の確保など、大変困難な課題があると承知している。どのような条件整備が必要と考えているのか、どう少人数学級を実現していこうとしているのか、見解を伺う。
A小玉教育長 少人数学級の実現に向けた取組などについて。私も、いくつかの道内の小・中・高校の視察をさせていただいた。あらためて、コロナ禍の対応はもとより、子どもたちが個別最適な学びを進める上で、少人数学級は極めて有効であることを実感した。
一方、少人数学級編制の実現に当たっては、国の教職員定数の改善をはじめ、必要となる教職員の数や教室の数の確保などが必要となる。
このため、道教委としては、少人数学級編制の成果や課題を踏まえながら、授業の改善等に向けた研究を行うとともに、国の動向を注視しつつ、引き続き、全国都道府県教育委員会連合会などと連携し、少人数学級編制の拡充について、国に対し強く要望していく。
O真下委員 すぐにできるということにはならないかもしれない。様々な課題があると思う。長いスパンで考えていくことも必要になると思うが、必ず実現したい。
(道議会 2020-12-18付)
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