道議会質疑 文教委員会(令和2年11月24日)(道議会 2021-03-17付)
【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】
【質問者】
▼木葉淳委員(民主・道民連合)
【答弁者】
▼志田篤俊教育部長
▼川端香代子義務教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長
▼奥寺正史教職員課長
◆新型コロナ感染症対応等
Q木葉委員 警戒ステージが道内は1から3、札幌市においては4相当と変わってきて、レベルについてもそれに準じてということになれば、感染リスクの高い教科等については、レベル2においても何らかの対策を取らなければならない状況が本道において起きている。
こうした新型コロナウイルス感染症の急速な感染拡大に伴って、学校でも児童生徒への感染が広がってきている。学校現場では、国のマニュアルに基づいて、保健所等と相談しながら、学級閉鎖等の措置を取っているが、その中で、標準授業時数確保について危惧する声が上がってきている。感染者が増えることで、今は様々な対策を学校と市町村教委、さらに保健所が加わっているが、その連携が十分に図られていない、時間がかかっているという声も聞く。
本年度については、国において児童生徒の十分な学習内容の定着がみられることなどの要件を満たせば、再度、授業で取り扱わないことができ、標準授業時数の達成だけを求めるものではないということが示されている。
今後、年度末に向けて、各学校が子どもの安全や心身の健やかな成長よりも、標準授業時数の達成が主眼に置かれることが目標とならないように再度、各学校に指導を徹底するべきではないかと考えるが、対応について伺う。
A川端課長 授業時数の確保について。国の通知では、流行性疾患などによる学級閉鎖等の不測の事態によって、標準授業時数を下回った場合であっても、下回ったことのみをもって学校教育法施行規則に反することとはしないこととされており、道教委では、標準授業時数を形式的に確保するのではなく、児童生徒の負担が過重にならないよう配慮しながら、学習指導要領に示された各教科等の内容を確実に身に付けるようにすることが重要であると考えている。
道教委では、やむを得ず臨時休業とする場合においても、児童生徒の学びをやめないことが大切だと考えており、今般の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、学校、学年や学級単位での休業措置を講じている学校に対しては、家庭学習の取組や、学習の遅れを取り戻すための学習計画の見直しなどについて指導助言するなど、引き続き、実情に応じたきめ細かな支援に努めていく。
O木葉委員 感染が急速に広がってきている。今後は、インフルエンザやノロウイルスなど、これから流行する感染症への対策も求められてくる。現状を考えれば、保健所が非常にひっ迫している状況で、学校との連絡にも時間がかかっているという声を聞いている。子どもたちの学びは質が重要だと思う。標準授業時数の達成のみに固執することのないような対策を求める。
◆教頭昇任候補者選考
Q木葉委員 この3年間の応募、登録情報について、各校種別にどのような状況になっているか伺う。
A奥寺課長 教頭昇任候補者選考の状況について。札幌市を除く小学校において、平成29年度は受検者127人に対し登録者93人、30年度は128人に対し99人、令和元年度は152人に対し119人、中学校において、29年度は受検者115人に対し登録者87人、30年度は99人に対し62人、元年度は103人に対し68人、高校において、29年度は受検者31人に対し登録者29人、30年度は31人に対し29人、元年度は33人に対し33人、特別支援学校において、29年度は受検者14人に対し登録者13人、30年度は16人に対し15人、元年度は23人に対し23人を登録している。
Q木葉委員 高校や特別支援学校では、ほぼ1・0倍という状況になっている。小・中学校でも、地域によって同じ状況になっているのか伺う。
A奥寺課長 小・中学校における選考の状況について。この3年間で登録者に対する受検者の割合が、道立学校と同じように低くなっているのは、後志、日高、釧路の3管内があり、後志管内においては、29年度は1・1倍、30年度は1・0倍、元年度は1・1倍、日高管内においては、29年度および30年度は1・0倍、元年度は1・1倍、釧路管内においては、29年度は1・1倍、30年度および元年度は1・0倍となっている。
Q木葉委員 校種ごと、管内ごとに若干の差はあるようだが、1・0倍という状況が非常に多くなっていると思う。道教委でも、これまで対策等を行ってきていると思うが、認識とこれまでの対策について、あらためて伺う。
A奥寺課長 応募状況の認識などについて。受検者の減少の要因には、教頭の業務の負担、その職責の重さや、広範多岐にわたる業務対応の困難性のほか、ライフスタイルにおける価値観の変化や多様化などがあると認識している。
このため、道教委では、これまでも教頭選考受検者の確保に向け、管理職育成方針を定めるなどして、ミドルリーダー研修等を積極的に受講させるとともに、管理職の魅力ややりがいの啓発に努めている。
さらに、前年度の選考からは、実施要綱を改正し、受検資格要件について、養護教諭、栄養教諭、学校事務職員などを対象に加え、これまで13年以上としていた教諭としての勤務経験年数を概ね11年以上に緩和し、幅広い人材を募集することとしたほか、教諭から教頭選考を受検する場合、筆記試験を免除するといった選考に応募しやすい環境整備を進めるなどして、教頭昇任候補者の確保に努めている。
Q木葉委員 受検者が減少していることや、前年度から職種、経験年数の緩和、筆記試験も免除したというようなことがあったが、それでもなお、受検倍率は増えてない。一番の問題は、勤務実態調査からも明らかなように、教頭職の時間外在校時間が突出していることではないかと考える。
これまで道教委として、どのように時間外在校等時間の縮減を図ってきたのか伺う。
A松本局長 教頭の在校等時間の縮減について。前年度実施した教職員の時間外勤務等にかかる実態調査では、副校長、教頭の1週間当たりの勤務時間は59時間1分であり、3年前に実施した前回調査と比べると、2時間41分の縮減となっているが、ほかの職種と比較しても長時間勤務となっている結果となった。
道教委ではこれまでも、各種調査の廃止や簡素化に加え、学校の組織運営に関し、委員会等の合同設置や構成員の統一など、業務の適正化に向けた運用となるよう助言するほか、出勤管理システムの導入や、働き方改革の手引の活用などアクション・プランに掲げる各種施策の推進に努めてきた。引き続き、これらの取組を一層推進するとともに、平成30年度にも同様の調査を行った忙しさを感じる業務等に関する意識調査を今後、道内公立学校を対象にウェブ形式で実施することとしており、その結果を踏まえながら、教頭の負担軽減に必要な対策について検討を深めていく考えである。
O木葉委員 意識調査を行うということであったが、教頭職ではなく、ほかの職種も行っていただきたい。また、聴いた声をしっかり実行していただきたい。
Q木葉委員 1年単位の変型労働時間制にかかわる条例改正の提案があったが、これが、仮に導入されれば、教頭職の業務がさらに増えることになる。一層の成り手不足になってしまうのではないか。
教頭の成り手不足ということは、そのまま校長の成り手不足とも直結し、学校運営に大きな支障になると考えるが、今後の対策について伺う。
A志田部長 今後の対策について。特色ある教育活動を展開し、信頼される学校づくりを進めるためには、自らの教育理念をもち、教職員のリーダーとしての使命感、責任感を有する人材を管理職として配置することが重要と認識している。
道教委としては、教頭の負担軽減を図る観点から、主幹教諭の配置の拡充や学校における働き方改革を一層推進するほか、教頭昇任への意欲を醸成するために、管理職の魅力、やりがいなどを広く発信するとともに、校長会等と連携し、教頭候補となる人材について、早い段階から学校運営の中核的な役割を担うことや、各種研修会や各教育研究団体に積極的に参加させるなど教頭候補者の確保に鋭意に取り組んでいく。
O木葉委員 主幹教諭という話があったが、主幹教諭自体、すでに長時間労働となっている。まずは、業務の縮減が先ではないか。
なぜ、女性管理職が少ないか検証すべきではないかと考える。女性管理職になる人に傾向があるのかだとか、なっていない人と何が違うのか。女性管理職が増えるように施策を打っていくことが必要ではないか。
管理職の成り手不足、ひいては、教職員全体の成り手不足の解消が、子どもたちの健やかな成長につながるのではないか。
(道議会 2021-03-17付)
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