札幌市養護教員会 元年度研究紀要はぐくみ チームで動くことが大切 第2回東ブロック 危機管理 対応力(札幌市 2021-03-24付)
【キーワード】
危機管理 対応力
【研究内容】
▼重要ポイントの確認
平成30年度の研究から異なった事例においても校内外の様々な立場の人が連携することが重要であり、管理職や教職員などの各共通項が明確になった。
▼研究方法
毎回定めたテーマに沿ってリスクマネジメントとクライシスマネジメントの観点から、役割と時系列を意識した対応方法を検討した。
▼実態調査
グループワークのテーマとなる事例経験の有無についてアンケートを行い、結果をもとに各テーマの事例を提供してもらった。
▼研究内容
▽テーマ1「自傷行為」
①中学生の自傷行為の事例について検討し、グループ交流で出た対応のポイントをまとめた
②本テーマのアドバイザー・子どもアシストセンター相談員・佐藤智子氏の講話
〈リスクマネジメント〉
1つ目には自傷行為を未然に食い止めるため、心身の健康を保持増進できるよう、子どもたちに向けて個別・集団の保健指導を行う。
2つ目には日常の健康観察などによって、子どもの変容を敏感に感じ取る力を高める。
〈クライシスマネジメント〉
・ゲートキーパーになること
・医療機関へつなぐこと
・自傷行為を責めないこと
・本人の力を回復させること
▽テーマ2「ゲーム・スマホ依存」
①小学生のゲーム依存の事例を検討し、グループ交流で出た対応のポイントをまとめた。
②本テーマのアドバイザー・臨床心理士・認定行動療法士・太田滋春氏の講話
〈リスクマネジメント〉
子どもも大人も依存について学ぶことが大切である。自分でゲームをしない日を設定できるなど、コントロールが可能であれば依存していても軽度であると考えられる。
〈クライシスマネジメント〉
ゲームをすることで問題が発生しているのか、問題が発生しているからゲームをしているのか、どちらが先か考えてみること。
後者の場合では、依存の原因につぎのようなことが考えられる。
・抑うつ状態や生活リズム障がいの影響
・日常で人とのつながりが弱く、ゲーム内のつながりに依存
・個人の特性として、こだわりが強い、完璧主義である、衝動性が強い
▽テーマ3「地域の医療機関・サポート資源を共有する」
①事前にアンケートを実施し、各校の現状や困り感を把握した
②医療機関との連携事例についてグループで交流
③本テーマのアドバイザー・札幌市保健福祉局障がい福祉部障がい福祉課調整担当係長・佐々木高明氏の講話
・外部機関についての情報が少ない↓「こういう機関がありますよ」という情報提供ができる。情報提供のみの利用でも大丈夫であること、詳しい要望を伝えてもらえるとその条件に合った医療機関などを紹介できる。例えば、いくつかの医療機関を知りたい、○○な医者を希望するなど
・保護者や本人の行き渋りについて↓すぐに医療機関などに行くとなるとハードルが高いので、コンシェルジュ事業をワンクッションとして選択肢に入れてもらえると、少しは保護者や本人の気持ちが和らぐかもしれない
・優先的に診療を受けられるのか↓コンシェルジュ事業の知名度が上がり、利用者が増えてきたが、受け入れる医療機関の数は変化なし。そのため、どうしても待ち時間が長くなる。コンシェルジュ事業を利用したからと言って優先されるわけではない。ただし、かなり緊急の場合は優先される場合もある
▽テーマ4「虐待」
①小学生で虐待が疑われる事例について検討し、グループ交流で出た対応のポイントをまとめた
②本テーマのアドバイザー、札幌市立平岡緑中学校長・矢野智之氏の講話
〈リスクマネジメント〉
虐待の現状など、様々な知識をもつこと。心理的虐待が増えてきている。
DVの現場を子どもが見てしまうことも心理的虐待である。
〈クライシスマネジメント〉
虐待が疑われる場合の対応は、チームで動くことが大切である。
子どもの命が脅かされないという確信なく帰宅させてはいけない。親から「うちの子が帰ってこない」という問い合わせが来ることを念頭に置いて、役割分担して動く(児相に通報する人、子どもを見る人、親からの電話対応をする人など)。
▽テーマ5「身体化症状」
身体化症状とは、心が作り出した身体の症状(原因となる疾患が見当たらないにもかかわらず、様々な身体症状を訴えること)と押さえて、事例交流とその対応についてグループワークを行った。
【研究のまとめ】
令和元年度はメンタルヘルス事例に焦点を絞り、役割と時系列を意識したリスクマネジメント・クライシスマネジメントの在り方を検討したところ、ケース共通の事項が現れた。そして、様々な事例を想定してクライシスマネジメントを考えておくことはリスクマネジメントにつながり、長期のクライシスマネジメントはリスクマネジメントそのものであることを数多くのグループワークを通して実感した研究であった。
様々な事例交流や、各テーマのアドバイザーから大切なポイントを教えていただいたことを通して、日ごろのリスクマネジメントやクライシスマネジメントの重要性がより明確になった。また、教職員や他機関との連携が不可欠であり、養護教諭が一人で問題を抱えず、チームで動くことが大切であることを再認識できた。
今後は、本研究で得た危機管理や対応力についての学びを、実際の場面で生かしていきたい。
(札幌市 2021-03-24付)
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