4種校長会長インタビュー 第3回  支える・備える・攻める・育てる つながり強固に経営力高め
(関係団体 2021-06-28付)

校長会長インタビュー高校長協会長廣田定憲
高校長協会・廣田定憲会長

―会長としての抱負

 道高校長協会会長として2年目を迎えた。残りの任期1年、教育改革の大きなうねりの中、現場を預かる校長の代表として、様々な課題に対して、全道の校長からの情報や知恵、勇気をいただきながら、本道の高校生の輝く未来を創造するために、誠心誠意、力を尽くす所存である。

 6月の総会では、「支える」「備える」「攻める」「育てる」の4つの「S」をキーワードに所信を述べた。学校経営上の課題は、多様化・複雑化・困難化が増している。一校を預かる校長として、厳しい対応・判断を迫られることは、どこの学校でも起こり得る。感染症対応、不祥事対応、保護者対応、生徒対応等での各校長の困り感を共有し、共に支える体制をつくり、解決の糸口を探っていきたい。

 本年度、本協会は公立・私立合わせて279校の校長を会員としてスタートを切った。279校の1校として同じ学校はない。279とおりの学校経営があり、教育実践がある。全道の校長がそれぞれの学校経営や教育実践を情報交換することで、自分の学校経営や学校改革のヒントが見つかると考える。全道の校長のネットワークを強固なものにして、本道高校における学校経営力を高めていきたい。

 新型コロナウイルス感染症への対応はもとより、国や道の教育改革の動きは加速度を増しており、様々な教育施策が現場に降りてくる。私たち校長は、やらないという選択肢はない。どのような形が生徒、教職員のためになるのかを考え、自校の教育活動に落としていくことが必要である。

 そのためにも、各学校での実践の中で生じた、現状に基づいた率直な意見をまとめあげ、道教委をはじめとした関係機関に対して、本協会としての建設的な意見、創造的な提案をしていきたい。

 本年度もコロナ禍の中での教育活動が続く。大変厳しい状況に変わりはないが、全道の校長の力添えをいただきながら、これからも押し寄せてくるであろう難題に立ち向かい、この任を全うしたい。

―課題と対策

 1つ目はICTの活用。

 GIGAスクール構想が前倒しされ、小・中学校では1人1台端末が実現した。この環境で学んだ生徒たちが令和4年度に高校に入学する。

 道教委からは、4年度入学生から年次進行でBYOD(個人端末の学校持ち込み)による1人1台端末の方針が示された。1人1台端末の実現によって授業がどう変わるのか。どんなメリットがあるのか。保護者負担での購入となることから、より明確に示さなければいけない。

 本協会の強みは、道立、市町村立、私立すべての北海道の高校が加盟しているところにある。ICTの活用に関する先進的な取組について、設置者にかかわらず情報を共有し、研修を深めて次年度以降に備えていきたい。

 2つ目は、教頭の確保。

 前年度、本協会から道教委、校長協会、教頭・副校長会の3者による協議会の開催と教職員の意識アンケートの実施について提案した。道教委では本年度、庁内に道立高校“未来の教頭”応援プロジェクト会議が設置され、本協会から本部役員2人、教頭・副校長会から1人を委員に任命していただいた。

 5月末には、公立高校に勤務するすべての教職員を対象としたアンケート調査が実施された。教頭の確保について、課題の共有で終わるのではなく、実効性のある具体策を道教委とともに考えていきたい。

 3つ目は、パワー・ハラスメントの根絶。

 前年度、道立学校職員からのパワー・ハラスメントにかかる相談が複数件あり、校長から受けたとする相談も含まれていると聞いている。校長は安全かつ快適な職場環境の形成に努める責務がある。校長を支える副校長・教頭、学校教育の直接の担い手である教職員の理解と協力なくして、自らの思い描く学校経営を推進できるはずがない。校長自身がパワー・ハラスメントと受け止められるような言動は厳に慎むべきである。

 6月の総会で、会長として「パワハラ根絶」を宣言し、協力を呼びかけた。「パワハラ根絶」のため、まずは私たち校長が自らの言動について、パワー・ハラスメントに該当しないかどうかを客観的な視点で省みることが必要であると考える。

―新型コロナウイルス感染症への対応

 前年度は、目標にしていた大会やコンクールの中止、楽しみにしていた学校行事の中止など生徒たちは辛く悔しい思いをした。一定程度、未曾有の事態を経験し、学校における感染防止策も明らかになってきた。

 昨年12月に道教委と本協会連名で、道内高校生へ向けて「感染リスクが高まる5つの場面」のリーフレットを作成し、配布した。このリーフレットを活用して、各校足並みを揃えて感染防止に努めていきたい。

 生徒・教職員の安全と安心を確保することは大前提として、「できない」ではなく、「どうしたらできるか」という発想に立って、教育活動の機会を確保し、その質を高めていくことが私たち校長の責務であると考える。感染症に対応した教育活動の在り方について、現場の実情に基づいた率直な意見や考えを道教委に伝えていきたいと考えている。

―本年度の重点

 1つ目は協会の活動方針について。

 本年度、本協会の活動方針は昨年に引き続き、主題を「北海道の新たな時代を切り拓く高等学校教育の創造」、副題を「新高等学校学習指導要領が目指す教育の実現」とした。「教育課題」「経営課題」「協会運営」について、それぞれ4項目、計12項目を、一部文言修正して重点目標とした。

 広域にわたる本道高校教育において、支部長の果たす役割は大きい。重点目標達成のため、支部長の校長先生方との意思疎通、情報共有を今まで以上に密に図っていきたいと考えている。

 2つ目は文教施策要望について。

 文教施策要望は具体的なものとし、長期にわたって回答に変化のないもの、実現の見込みがないもの、すでに実現されているものは精選した。より実効的な要望とするため、本年度も素案の段階で道教委関係課と事前協議を行った。

 支部長研・理事研での協議、教頭・副校長会および事務長会との協議、道教委関係課との最終調整を経て、要望書としてとりまとめる予定である。8月下旬に道教委関係各課と懇談会を予定している。

 3つ目は調査研究活動の充実について。

 本協会では、各学校の学校経営に資するため、調査研究部において調査・研究を進め、研修の充実を図っている。本年度は、教育課程、管理運営、生徒指導、進路指導の4委員会および進路指導委員会の中に高大接続小委員会を設けている。各委員会において、道教委各担当課の指導主事に助言をいただきながら、年末までに報告書をまとめあげ、1月の後期研究協議会で報告する予定である。

 ひろた・さだのり

 昭和59年北海道大卒。平成16年奥尻高教頭、18年美瑛高教頭、21年札幌東高副校長、24年知内高校長、26年静内高校長、28年北広島西高校長、29年札幌北陵高校長を経て、31年から現在の札幌南高校長。

 昭和36年7月30日生まれ、59歳。虻田町(現、洞爺湖町)出身。

(関係団体 2021-06-28付)

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