札幌市　２年度保育士等調査結果　６割３４４施設が定員満たす　保育士養成校卒の半数市内勤務

（札幌市 2021-09-06付）

　札幌市子ども未来局は、令和２年度市保育士等調査の結果を公表した。調査は、昨年１１月からことし２月にかけて実施。保育士の在籍数や給与、人材確保の状況など５項目に関する調査結果をまとめている。人材確保の状況については、「定員を満たしている」と回答したのが約６割の３４４施設、「不足している」と回答したのが３割強の１８９施設だった。保育士養成校卒業生の進路は、保育士や認定こども園で勤務する半数以上が市内となっている。

　市は平成２７年度から子ども・子育て支援新制度を開始し、保育ニーズに対応するため、認可保育所等の計画的な整備を進めている。一方で、保育ニーズは拡大かつ多様化し、保育を担う人材確保が課題となっている。

　また、幼児教育・保育の無償化から保育所等の利用希望者の増加が見込まれ、一層の支援の必要性が高まってきている。

これらを踏まえ、保育人材の確保や就業継続支援、次世代の育成など各種取組に対する効果およびその経年変化、事業の立案等に向けた基礎資料とするために対象施設の協力に基づき、３０年度から保育士等実態調査を実施している。

　対象は、市内の認可保育所・地域型保育事業所・認定こども園・幼稚園、計５９４施設。うち、５９２施設から回答があった。なお、一部設問について未回答となっている施設があるため、設問によっては回答の合計数が異なる。

　調査項目は、①保育士・保育教諭等の在籍数②保育士・保育教諭の初任給（月給）③職員の給与・在職期間等について④保育士・保育教諭等の人材確保状況⑤職場環境の改善―の５つ。このほか、前年度の大学や専門学校などの卒業生の進路などもまとめた。

　①をみると、保育士と保育教諭を合わせた保育士有資格者は２年４月１日現在で全体の６４・５％に当たる８５９９人。内訳は保育士が６１９０人、保育教諭が２４０９人。

その他の職種における従業員数は、保育補助者が３９４人、栄養士が４０７人、調理員が１１７９人、それ以外の従業員が２７５４人となった。

　②について、保育士有資格者の初任給の全体平均は、大学卒業者が１８万１３８０円、短期大学・専門学校卒業者が１７万４６１６円だった。

　④では、２年４月の実績で「定員を満たしている」が３４４施設（６４・５％）、「不足している」が１８９施設（３５・５％）だった。

　「不足している」と回答した施設の内訳は、保育所が１１９施設（４５・４％）で最も多く、地域型保育事業所が３７施設（２８・９％）、認定こども園が２３施設（２８・４％）、幼稚園は１０施設（１６・１％）となった。

　⑤では、積極的に取り組んでいる回答の割合が最も高かったのは「職場の雰囲気を改善する」（７２・３％）で、次いで、「サービス残業や持ち帰りの仕事を減らす」（６９・２％）「勤務体制の見直しや休暇取得を促進する」（６８・６％）という結果になった。一方で、「人事評価制度を改善する」（２１・６％）が最も低かった。

　また、市内および近郊で、保育士を養成する学科やコースを設置しているの大学、短期大学、専門学校、計１７校の令和元年度卒業生の進路状況も掲載。保育園・認定こども園・幼稚園などで、保育の仕事についた割合が、全体の約８０％を占める結果となった。

(札幌市 2021-09-06付)