道教大１人１台端末セミナー　端末は用具　積極活用を　発寒南小・朝倉教頭講演

（札幌市 2021-09-07付）

ＧＩＧＡスクール構想に伴う学校の変化などについて解説した

　札幌市立発寒南小学校の朝倉一民教頭は８月２９日、道教育大学未来の学び協創研究センター主催の第４回セミナー「１人１台端末環境の実現を可能にする教育現場での取組」で講演した。演題は、「〝１人１台タブレット〟授業での活用を考える～ＧＩＧＡスクール構想のＨＯＰ・ＳＴＥＰ・ＪＵＭＰ」。学校での活用方法などについて説明した。

　朝倉教頭は冒頭、ＧＩＧＡスクール構想の実現に向け、端末やネットワークの整備などに、合計で４６１０億円の予算が計上されているとし、個別最適化された学びの実現や情報活用能力の育成を積極的に進めていく必要性を強調した。

　つぎに、ＯＥＣＤ加盟国の調査結果から、１週間の授業におけるＩＣＴ機器の使用時間をグラフで示した。日本は加盟国中、最下位だった一方、子どもが日常生活において、ゲームやチャットなど学業以外を目的としたＩＣＴ機器の使用時間が調査の平均を大きく上回ったことを伝えた。

　教諭の指導については、文科部学省の教育の情報化の実態等に関する調査結果を示し、「教職員が授業でのＩＣＴを使用するためのスキルは、基本的には身に付いている」とした上で、「児童生徒が主体的に端末等を活用した授業を展開していく力の育成が必要」と解説した。

　朝倉教頭は、ＧＩＧＡスクール構想の実現に向けて、①ＨＯＰ～小さな一歩②ＳＴＥＰ～前に進む一歩　授業で使う③ＪＵＭＰ～目指す授業―の３段階で、学校・教職員が対応していくことを強調。「先生たちは、自分が授業で教えるための知識やスキルを習得してから使用するという意識が強い。まずは簡単な使用方法からでも使ってみることが重要」とし、積極的な活用を呼びかけた。

　このあと、前任校や自校で実施してきた、ＩＣＴ機器を使用した授業の様子や指導方法を紹介した。

　その上で、「学びにおける時間・距離などの制約を取り払う」「校務の効率化」など、ＧＩＧＡスクール構想が目指す次世代の学校・教育現場の実現に向け、端末活用の有効性を説いた。

　今後、「これまでのような一斉授業や個別指導は、ＩＣＴやオンラインで対応できるようになる可能性が高い」と指摘。「これからの授業では、子どもたちの主体的な学びや課題解決の実現に向けて、教師がどのように導いていくかが重要になる」と説明した。

　最後に、「端末は教具ではなく、用具という意識をもってほしい。意見の集約や他地域との交流など、子どもたちが今後の社会で生きていくために、課題解決の能力を育てていくことができる」と述べ、各校での１人１台端末の活用に期待を寄せた。

(札幌市 2021-09-07付)