道議会質疑 文教委員会 9月7日(道議会 2021-12-15付)
【質問者】
▼小泉真志委員(民主・道民連合)
▼大越農子委員(自民党・道民会議)
【答弁者】
▼鈴木淳学校教育監
▼中澤美明学校教育局指導担当局長兼新型コロナウイルス感染症対策担当局長
▼行徳義朗義務教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長
▼伊藤伸一生徒指導・学校安全課長
◆オンライン学習への支援
Q
小泉委員 道教委は、端末が用意できていないことも含めて、どのような課題があるのか伺うとともに、その課題に対してどのように支援しているか伺う。
A
行徳義務教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 オンライン学習に向けた支援等について。オンライン学習の実施にかかる課題については、例えば、市町村において端末の持ち帰りに関するルールが末策定、教員間においてICTを活用した指導経験に差がある、一部の家庭のICT環境が十分に整っていないなどの状況を把握している。
道教委では、ICT活用サポートデスクを開設して、市町村教委に対し、円滑な導入に向けた取組について具体的な改善策を提案したり、民間企業との連携によって、企業が端末を貸し出す仕組みを構築したりするとともに、ICT活用に関する管理職や一般教員を対象とした研修会などを実施してきた。
今後も、こうした取組に加えて、義務教育指導監や指導主事による市町村教委や学校への指導訪問、市町村の課題に応じたきめ細かな支援やオンライン学習の好事例の普及啓発などを通して、緊急時においても学校や家庭でオンライン学習を速やかに行える環境を整え、学びを止めない体制の確保に努めていく。
P
小泉委員 ある学校では、小学校での持ち帰りが大変と聞いている。3年生以上は持ち帰るが、1・2年生はアルファベットを習っていない状況で、パスワードが覚えられないとか、ログイン等について分からないなど、また、実際に持ち帰ってつないでみると、音量に不具合があったときに厳しく、なかなか難しいという声を聞いている。学校としても工夫をしながらやっているが、ぜひそういう部分に道教委も寄り添っていただきたい。
Q
小泉委員 道教委は、通信環境がない家庭にモバイルルーターを貸与していることは承知しているが、通信料は個人負担と聞いている。そもそもコロナ禍でなければ、ことし、オンライン授業がスタートしていなかったかもしれない。
そもそも公教育であるにもかかわらず、通信料を負担させるということに疑義を感じるが、道教委の所見を伺う。
A
行徳義務教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 オンライン学習に向けた支援等について。道教委では、緊急時の家庭でのオンライン学習における通信費については、負担軽減策を講ずることが重要と考えていることから、財政支援を充実するよう、これまでも国に対して要望してきた。今後も引き続き、全国都道府県教委連とも連携し、必要な支援策について国に要望しながら、オンライン学習を含めた教育環境の充実に努めていく。
D
小泉委員 今後、感染等がさらにひどくなり、長期の休校等が生じた際、双方向のオンライン授業が続いた場合に、かなりの容量を使わなければならず、ギガ数によっては、生徒のスマートフォンでは対応できない状況が生まれる。特に、通信制限がかかり画像が止まることも出てくるのではないか。
経済的な家庭の状況はいろいろで、どういう契約をするのかは各家庭において決められるもの。いわゆる教育格差が生じないように道教委としても、知事部局に対して予算を獲得できるよう強く要請していただきたい。
Q
小泉委員 リーフレットには、「オンライン学習をします」と記載されている。ところが、道内5市町はまだ端末がそろっていないので、これがホームページ上に掲載されると、その自治体の保護者は、大きな誤解を受けると思われる。道教委の所見を伺う。
A
中澤学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長 保護者向けリーフレットについて。臨時休業等によって、やむを得ず登校できない児童生徒に対しては、これまでも感染症対策を踏まえた教育活動の一つとして、オンライン学習を行うなど、ICTを活用した学びの保障の取組について通知等で市町村教委や学校に働きかけてきた。道教委が発行する家庭向け広報紙『ほっとネット』などでも周知してきた。
道教委としては、新学期が開始されるに当たり、学校における感染者数が増加してきたことを踏まえ、あらためて、市町村や学校はもとより、保護者ともオンライン学習の重要性について共有することが大切という考えのもと、ICTを最大限に活用して学びを保障する取組に関する保護者用リーフレットを作成し、各学校での配布や学校のウェブページヘの掲載についてお願いした。
P
小泉委員 オンライン学習が重要なことは承知しているが、たまたま端末が用意できずスタートできていない市町があるから、そういう状況があることを踏まえてリーフレットを出すべきだ。例えば、リーフレットを出す時期を待って、内容を変更することをぜひ考えていただきたい。
Q
小泉委員 文部科学省は、オンライン学習は出席停止扱いとする立場だが、特例的に出席にする自治体もあるという報道も聞いている。道教委のスタンスを伺う。
A
行徳義務教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 オンライン学習の出席等の取扱いについて。道教委では、臨時休業等によって、やむを得ず学校に登校できない児童生徒については、国の通知に基づき、登校できなかった日数は欠席日数として記録しない。その上で、同時双方向型や課題の配信・提出、児童生徒同士の意見交換などのオンラインを活用した学習指導を実施したと校長が認める場合には、出席にはならないものの、特例の授業として指導要録の別記に記録を作成するなど、適切に対応する必要があると認識している。
P
小泉委員 少し納得いかない部分がある。学校に行っていないので出席停止というのはよいが、子どもたちは授業を受けている。この授業は授業時数としてカウントされるのかされないのか。授業時数にカウントされないのであれば、教育課程上、大幅な上乗せが行われているとことからすると、今までの様々な通知等から大きな問題があると思う。
また、授業時数にカウントされるのならよいが、学校には行っていないがオンライン授業には出席している。これが出席とならないのが理解に苦しむ。
例えば、自宅に基礎疾患がある人がいて、学校に行けない児童生徒がいるという話は伺っているが、オンライン授業は受けているのに出席停止となっている。そういう生徒が高校入試を受ける際にずっと出席停止というのが個人調査表に載ることが気になる場合がある。
これについては、ぜひ文科省にもきちんと整理してほしいと道教委からも強く言うべきではないか。
◆大会、学校行事への対応
Q
小泉委員 現在、全道、全国大会に直結する大会に出場する部活動に限り、感染防止対策を徹底し、活動を厳選するとともに、活動場所は自校内に限定して実施できると承知している。
大会についても、大会参加前、大会期間中、大会終了後と対策を講ずるよう通知を出していることも承知している。
ただ、現在、部活動を通して児童生徒への感染が急拡大していることを踏まえると、緊急事態宣言下での大会の実施および部活動の実施に疑義を感じざるを得ない。道教委の見解を伺う。
A
泉野健康・体育課長 大会等の実施について。道教委では、部活動は、異年齢との交流の中で人間関係の構築を図ったり、生徒自身が活動を通して自己肯定感を高めたりするなど、その教育的意義が高い。
また、生徒にとって日ごろの活動の成果を発揮することができる大会やコンクール等は、貴重な機会であると認識している。
このような教育的意義を踏まえ、道教委では、大会等の参加に当たり、大会前2週間の健康観察記録をもとに、学校保健委員会で健康状態を確認するとともに、大会後3日間程度の自宅での休養や医療機関等のPCR検査の活用、大会後2週間の健康観察などを全校体制で行うなどの感染症対策の取組を徹底することとしており、こうした取組によって大会等へ参加する機会を確保することとしている。
Q
小泉委員 大会の可否については、主催団体が判断するというのは承知しているが、高体連等に深くかかわる道教委として、緊急事態宣言下での大会は開催すべきではないと明確な姿勢を道教委が示すべきと考えるが、所見を伺う。
A
中澤学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長 大会の参加について。前年度は、インターハイなどの全国大会等が中止され、部活動に励んできた生徒の活躍の場が失われたことから、本年度については、各競技団体等が国で示す衛生管理マニュアルや独自のガイドラインなどに基づき、感染症対策の徹底を図り、子どもたちの晴れ舞台である大会等を開催していると承知している。
道教委としては、高体連や中体連等の事務局や大会主催者に対して、感染拡大防止の観点から大会開催地域の感染状況も踏まえ、大会日程の変更など柔軟な対応について要請するほか、スポーツ関係団体や知事部局等による連携会議を新たに設置し、感染対策の共有などを図っている。
今後も引き続き、大会主催者と参加者が共に感染症対策を徹底するよう、関係部局等とも連携して取り組んでいく。
Q
小泉委員 多くの大会は、高校も中学校も土日開催である。日程変更も土日で追っていくと会場確保など、様々な部分でできないと思う。
そうだとしたら、平日開催の依頼などを道教委として発信していくべきと思うが、その部分について伺う。
A
鈴木学校教育監 大会参加について。道教委では大会等の参加に当たり、各学校に対してマニュアルに基づく感染症対策を徹底するとともに、大会前2週間の健康観察、大会後3日間程度の休養などの取組に加え、大会終了後も2週間の健康観察を実施するなど、感染防止に努めるよう指導している。
今後、新たに設置したスポーツ関係団体等による連携会議において、各競技団体の対策の実情、その中にも平日開催も含めて、成果や課題を共有し、感染症対策に万全を期していく。
Q
小泉委員 学校行事について。児童生徒が一番楽しみにしている行事が修学旅行だと思うが、延期等も含め、これから実施される学校も多いと聞いている。
ただ、緊急事態宣言が解除されても、感染の心配がなくなるわけではないので、修学旅行の実施に向けて、学校や児童生徒たちに対し道教委としてどのように支援していくのか伺う。
A
行徳義務教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 修学旅行の実施に向けた支援について。修学旅行は、児童生徒の学校生活に潤いや秩序と変化を与え、かけがえのない貴重な思い出となる有意義な教育活動である。適切な感染防止策を十分講じた上で、可能な限り実施できるようにすることが必要と認識している。
道教委では、現在、修学旅行中の児童生徒の体調変化に留意し、宿泊施設に入館する前に検温や健康観察を実施することなどについて、留意事項を示し、安全・安心な修学旅行が行われるよう促してきた。
今後も、地域や旅行先の感染状況を見極めながら、当初の計画どおりの実施が難しい場合であっても、日程や行き先の検討、宿泊先を含めたあらゆる場面での感染症対策の一層の徹底などについて助言するなど、引き続き、学校の実態に応じて、児童生徒の健康安全を十分考慮した実施に向けて支援していく。
Q
小泉委員 ある自治体では、感染が厳しい状況なので、修学旅行終了後の4日間、児童生徒および教職員に唾液による抗原簡易キットを配布し、感染拡大を防ぐため努力をしていると聞いている。
道教委としても、本気で感染症対策と学びの保障の両立をうたうのであれば、道立学校での検査を拡充などすべきと考える。所見を伺う。
A
泉野健康・体育課長 検査の拡充等について。道教委では、感染の疑いがある生徒および教職員の早期発見、早期対応のため、国から支給された抗原簡易キットを配布するとともに、国がPCR検査等で実施する新型コロナウイルス感染症モニタリング検査を活用することとしている。
学校行事等をはじめとする教育活動を安全・安心に行うためには、希望する児童生徒のワクチン接種と検査の実施が重要と考えているが、行事の日程に応じた実施回数や方法、それにかかる検査費用等の課題があると承知している。
P
小泉委員 症状が出てから検査するのではなく、症状がない生徒に対して検査をするのが重要。財政が厳しい中で児童生徒の安全・安心を守るために実施している自治体がある。様々な知恵を絞りながら、道教委としても本気の姿勢をぜひ見せていただきたい。
Q
小泉委員 文科省から抗原簡易キットが配布されることを聞き、大変期待する部分もあるが、町村によってはわずか30キットしか配布されない。これで本当に効果があるのかと疑問を感じざるを得ない。
まず、この抗原簡易キットの利用対象者は誰なのか、検査や管理をするのは誰なのかについて伺う。
A
行徳義務教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長 抗原簡易キットの利用等について。今回、文科省から配布されるキットの検査対象者については、教職員の使用を基本としており、児童生徒の利用については、すぐに帰宅することが困難な場合や、地域の実情によって医療機関をただちに受診できない場合等の補完的な対応として、小学校4年生以上の児童生徒が本人と保護者の同意を得て、使用することと示されている。
また、キットは学校が管理することとし、症状がない人に幅広に使用するのではなく、教職員等が登校後にせきや咽頭痛、発熱などの症状が出た場合、ガイドラインや説明書等の内容を理解している教職員の立会いのもと、本人が行うこととされている。
Q
小泉委員 学校は医療機関とは違い感染を防ぐ環境が整っていないため、検体を採取するということは非常に難しいのだろうと思う。現段階で想定される課題について伺うとともに、その対応策について伺う。
A
中澤学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長 活用に当たっての課題と対応策について。実施する際の体制整備や感染防止等の徹底を行うことが課題として考えられることから、道教委では、検査の手順、学校における役割分担、実施場所の確保などの留意事項について、過日、全道の市町村教委の担当者を対象にオンライン説明会を実施した。
今後も、各市町村や学校の問い合わせ等について、丁寧に説明を行うなど、キットの活用に当たっての支援に努めていく。
Q
小泉委員 登校してから症状が出た場合には、あくまでも大原則として、病院に行くということで確認していいのか伺う。
A
中澤学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長 キットの使用について。今回配布するキットは、教職員が使用することを基本とし、出勤後に体調の変調を来した場合は、速やかに帰宅させ、医療機関を受診するよう促すことが原則である。
P
小泉委員 症状が出た場合には、しっかりと医療機関を受診させることを徹底させていただくよう指摘する。
◆いじめ事案状況と対応
Q
大越委員 ことし2月に、旭川市で亡くなられた中学2年の女子生徒をめぐる問題について、旭川市教委では、いじめで重大な被害を受けた疑いがある重大事態として認定し、第三者委員会による調査を行うとした。その後、第三者委員会による調査はどのように進んでいるのか、これまでの状況について、旭川市からはどのような報告がなされているのか伺う。
A
伊藤生徒指導・学校安全課長 いじめ重大事態の調査について。旭川市教委が、市の条例に基づき設置した第三者調査委員会において、弁護士、医師、臨床心理士、大学教授、社会福祉士など職能団体の推薦を受けた常任の委員5人のほか、調査を迅速かつ適正に実施する観点や遺族からの要望も踏まえ、新たに弁護士、医師などの臨時委員6人を加えた合計11人によって調査が進められており、これまで5月から8月までに委員会を6回開催した。
道教委では、8月末に文部科学省職員とともに市教委を訪問し、市教委から、委員会における調査の進ちょくとして、調査方針や調査スケジュールの確認、学校や市教委、遺族から提出された資料等をもとにした事案概要の把握、調査に対する遺族の要望の聴取などについて実施してきたとの報告を受けた。
Q
大越委員 道教委はこれまで、旭川市教委に対してどのように指導助言してきたのか、今後、どう対応していくのか伺う。
A
伊藤生徒指導・学校安全課長 旭川市への指導助言について。道教委では、これまで、市教委が調査を迅速かつ適正に行うことができるよう、ことし4月以降、5月の第1回委員会までの間に、繰り返し職員を派遣し、国のガイドラインに基づいて、調査組織の構成、調査方法や調査スケジュールの策定、調査の進ちょく等の経過報告の実施および調査結果の公表などについて指導助言を行うほか、第2回以降の委員会にかかる報告を受け、それに対する指導助言を行ってきた。
道教委としては、引き続き、旭川市が遺族の心に寄り添い、信頼関係の構築に努めながら、調査を進めることが重要と考えており、文科省の指導助言も踏まえ、旭川市教委が迅速かつより丁寧に調査を実施することができるよう指導助言していく。
Q
大越委員 今回の出来事が大きく報道され、クラスメートなど、学校生活を共にしていた子どもたちへの影響が心配される。学校では、子どもたちの心のケアにどのように取り組んでいるのか、道教委としてどう支援していくのか併せて伺う。
A
中澤学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長 児童生徒の心のケアについて。当該校については、本事案にかかわり、在籍生徒は様々な不安や悩みを抱えていることから、道教委としては、ことし4月から5月にスクールカウンセラーを集中的に派遣。全生徒を対象としたカウンセリングを実施するほか、生徒への指導に関する校務や、外部との連携を円滑に行うことができるよう、主幹教諭を1人加配措置した。
また、今後は、夏休み明けの心が不安定な時期であることから、市内のすべての中学校に対して、スクールカウンセラーの派遣回数を増加するなどし、心のケアの充実に向けて、旭川市を支援していく。
D
大越委員 いじめから子どもたちを守るために最も重要なことは、いじめを許さない、決して許さないという大人たちの毅然とした態度であると思っている。それがいじめを軽微なうちにとどめ、また、いじめの被害に遭う子どもたちを守ることにつながるものと考えるで、しっかりと心のケアの充実に取り組んでいただくことを求めるとともに、このたび、いじめにかかわったとされる子どもたちも現実にいるわけであり、また、その度合いは様々であり、今後の調査で明らかになると思うが、いじめは償わなければならないものと思う。
それなくして許されるものではないということを、いじめにかかわった子どもたちには伝えたいと私自身は思っている。今後明らかになる調査結果を踏まえて、厳正なる態度をもって対応していただくことを強く求める。
Q
大越委員 平成25年に札幌市内の道立高校1年の男子生徒が、部活動での悩みで自殺するという痛ましい出来事があった。
この事件について、昨年11月に出された札幌高裁の判決では、部活動顧問の法的責任は否定されたが、生徒に対する叱責が十分な事実確認のない不適切な指導として認定された。
遺族からは、ことし7月、適切な指導や事後対応の在り方の見直しなどについての要望書が道教委に出されている。
要望の内容はどのようなものなのか、道教委もすでに回答をしているとのことだが、回答の内容も併せて伺う。
A
伊藤生徒指導・学校安全課長 遺族からの要望等について。遺族は、判決理由にかかわり、顧問教諭の不適切な指導や本事案の再調査のほか、各学校における児童生徒の自殺予防について道教委の考えをあらためて求めた。
道教委としては、裁判を通じて事実関係の整理が行われるとともに、道教委の考えは説明していることから、あらためての調査等を行うことは考えていないこと、不適切な指導については、当方の主張が認められたものと考えているが、判決については厳粛に受け止めていると伝えた。
このほか、自殺予防については、各学校において、児童生徒の自殺予防にかかる組織体制を整備するとともに、学校と家庭、地域、関係機関等と連携した取組を進めるよう指導助言していきたいと回答した。
Q
大越委員 道教委の指導が果たして適切であったのか。
道教委では、被害者の思いに寄り添った対応が必要と常々言っているが、今回の対応にはそのような様子が少しも感じられない。
遺族からは、今回明らかになった課題を踏まえ、適切な指導や事後対応の在り方を改めることなどが求められていると聞いており、このような痛ましい事故が二度とあってはならないという思いを道教委としてしっかりと受け止め、今後の事故防止対策に生かしていく必要があると考える。
どのように対応していく考えなのか、見解を伺う。
A
鈴木学校教育監 自殺等の事故防止対策について。生徒指導の基盤は子ども一人ひとりの言葉に耳を傾け、不安や悩みなどの内面も理解するよう努めながら、子どもとの信頼関係を築くことにあり、児童生徒の特性や発達の段階を十分踏まえないまま指導することは、児童生徒のストレスや不安感の高まり、そして、自尊感情の低下を招きかねないと考えている。
道教委としては、深い児童生徒理解を基盤とした適切な指導がすべての学校で行われるよう、教員のキャリアステージに応じた研修を通して生徒指導にかかる力量の向上に努めるとともに、校長のリーダーシップのもと、組織的な取組を推進できるよう、本庁の教育指導監や教育局の義務教育指導監らによる学校経営指導等を通じて、学校の課題に対し、毅然と指導助言し、本道の子どもたちが自ら命を絶つ痛ましい事故が繰り返されることのないように、取り組んでいく。
P
大越委員 このたびの札幌高裁での判決内容をみても、教員の指導力不足は深刻であると言わざるを得ない。
例えば、事実関係について適切に確認をしなかったことや、厳しい口調で叱責していたことなどが指摘されているわけであり、思春期の子どもたちは本当に傷つきやすい。傷つきやすい子どもを抱擁できる指導力が本当に求められるわけであり、その指導力不足についてしっかりと指導していただきたい。
Q
大越委員 いじめ問題等には学級担任や部活動顧問が単独で当たるのではなく、深刻な兆しがみられる場合には複数やチームでの対応が求められ、年度当初からそのための体制を整えておく必要がある。
また、不幸にして重大事故が発生した場合は、原因等をしっかりと検証し、各学校の防止対策に生かすとともに、決して風化させることのないよう取り組んでいくことが重要である。道教委の取組に向けた所見を学校教育監に伺う。
A
鈴木学校教育監 今後の取組について。本道においては、学校がいじめの初期段階も含めて積極的に認知し、解消に向けて取り組んでいる。
一方で、早期に解決を図ることができず、いじめ重大事態に至った事案が発生していることについては、極めて憂慮すべき状況と受け止めている。
道教委としては、いじめは子どもの命や心を深く傷つけるとともに、不登校や自殺などを引き起こす背景ともなる深刻な問題でもあることから、今後は、これまでのいじめの重大事態調査や児童生徒の自殺に関する詳細調査等を通して明らかとなった学校での指導上の課題や再発防止策等について、全道の学校や市町村教委において共有し、学校いじめ対策組織等の取組について理解を深めるとともに、学校、家庭、地域、関係機関が連携して、実効性のあるいじめ根絶に向けた取組を徹底して行うことができるよう、道教委が指導力を発揮して、取り組んでいく。
D
大越委員 いずれにせよ、教員の指導力不足、不適切な指導が大きな問題になっている。道教委としては、全力でいじめ根絶に取り組むとしているが、いじめの発生に大きくかかわっているのが担当の教員であり、また子どもたち自身である。教員と子どもたちの意識が変わらないといじめの根絶は非常に困難である。
今後、しっかり審議できるように取り組んでいくので、道教委としてはしっかり根絶に向けて取り組んでいただけるよう強く求める。
(道議会 2021-12-15付)
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