旭川市 4年度予算案 いじめ防止条例制定へ 市長部局に対策専門部署
(市町村 2022-02-10付)

 【旭川発】旭川市は4日、4年度予算案を発表した。一般会計は前年度当初比3・5%増の総額1658億1000万円。うち、教育費は2・0%増の81億4724万円となった。

 主な事業をみると、生涯学習振興費に138万円を充て、家庭教育支援プロジェクトによる子育て世代へのアンケートおよび家庭教育を支援する研修会を実施。また、学校ICT環境整備費に8003万円を計上し、ソフトウェアのアップデートや障害対応を効率的に行うための管理端末を導入する。

 新規では、旭川ミュージックウィーク開催負担金として300万円を措置。第90回北海道音楽大行進を契機に、市民が様々な音楽に親しむ旭川ミュージックウィークを開催する。

 同日の記者会見で今津寛介市長は「いじめ解決と子育て支援」を重要施策に掲げ、市長部局にいじめ対策専門部署を設置する方向で検討するとともに、市教委においていじめ防止条例の制定を目指すことを明らかにした。

 教育関連の主な事業はつぎのとおり。

▼市教委学校教育部

▽英語教育推進費=3246万円

 小・中学校における英語教育および国際理解教育の充実を図るため、小・中学校に外国人英語指導助手(ALT)、小学校に外国語活動サポーターを派遣する。

▽各種大会選手派遣等推進費(小学校)=64万円

 小学校における文化活動の活性化を図るため、全道・全国大会に出場する児童の派遣費の一部を補助する。

▽学校図書館活性化推進費(小学校)=3811万円

 小学校における学校図書館機能の充実を図り、児童の読書活動や学習活動を推進するため、学校司書を配置する。

▽スクールカウンセラー活用推進費=1287万円

 児童生徒の悩みの深刻化やいじめ・不登校等を未然に防止するため、スクールカウンセラーによる児童生徒や保護者へのカウンセリングを行い、問題を早期に発見、対応する。4年度はスクールカウンセラーの配置時間を拡大する。

▽各種大会選手派遣等推進費(中学校)=956万円

 全道・全国大会に出場する生徒の派遣費および各種大会の開催費の一部を補助する。4年度は市内で開催される全国中学校体育大会(ソフトテニス大会)開催費の一部を補助する。

▽学校図書館活性化推進費(中学校)=1449万円

 中学校における学校図書館機能の充実を図り、生徒の読書活動や学習活動を推進するため、学校司書を配置する。

▽少人数学級編制費=6377万円

 学習意欲の向上や基礎・基本の定着、課題を抱えた児童の把握など、児童の状況に応じたきめ細かな指導の充実を図るため、小学校1・2年生を対象に市費負担教員を配置し、国の基準より少ない人数での学級編制を行う。

▽いじめ問題対策推進費=337万円

 市いじめ防止基本方針に基づき、市いじめ防止等連絡協議会などを開催し、いじめ防止の取組を進める。4年度は市いじめ防止等対策委員会による重大事態に係る調査実施と真相解明に向けた取組を進めるほか、いじめ防止条例の制定に向けた懇話会を開催する。

▽特別支援教育推進費=1億5858万円

 教育上特別な支援が必要な児童生徒に対する支援体制の充実を図るため、特別支援教育補助指導員を配置し、一人ひとりの教育的ニーズに応じた適切な教育的支援を行う。4年度は特別支援教育補助指導員を2人増員するほか、新たに特別支援教育専門員1人を雇用する。

▽学校ICT環境整備費=8003万円

 GIGAスクール構想推進のため、高速大容量かつ安全な情報通信ネットワーク接続が可能な環境を整備し、タブレット端末を授業に活用する。4年度はソフトウエアのアップデートや障害対応を効率的に行うため、管理端末を導入する。

▽小中連携一貫コミュニティ・スクール推進費=181万円

 子ども一人ひとりの学力向上や人間形成を図るため、小中連携・一貫教育を推進するとともに、学校・家庭・地域の連携を促進し地域の特性に応じたコミュニティ・スクールの運営を支援する。

▼市教委社会教育部

▽生涯学習振興費=138万円

 生涯学習フェアの開催や生涯学習ポータルサイト「まなびネットあさひかわ」による情報提供などを行う。4年度は家庭教育支援プロジェクトによる子育て世代へのアンケートと家庭教育を支援する研修会の実施によって、家庭教育に関する課題と現状を整理する。

▽地域を支えるシニア世代人材育成費=636万円

 高齢者の学びや活動の拠点となるシニア大学を運営し、地域づくりやまちづくりを担う人材を育成するほか、市民を対象としたまちづくり支援事業を実施。

▽ジオパーク構想推進費=201万円

 大雪山カムイミンタラジオパーク構想を推進するため、将来的な日本ジオパークの認定に向け、普及啓発や活動主体の多様化に取り組む。

▽文化芸術活動振興費=2004万円

 文化芸術事業への支援や発表・練習の場を提供し、市民が質の高い文化芸術に触れる機会を創出する。4年度はリハーサルホールの補助金を拡充するとともに、旭川文学資料館の運営強化、第55回北海道ユネスコ大会および三浦綾子生誕100年記念事業の開催を支援する。

▽旭川ミュージックウィーク開催負担金(新規)=300万円

 第90回北海道音楽大行進を契機に、市民が様々な音楽に親しむ旭川ミュージックウィークを開催する。

▽文化施設等整備費(新規)=72万円

 市民文化会館の整備の方向性を検討する。4年度は検討委員会を設置し、ワークショップなどを開催する。

▽郷土学習振興費=44万円

 市民が郷土の歴史や文化等について理解を深める機会を設けるため、各種体験講座やイベント、学校・団体を対象とした学習事業を実施する。

▽優佳良織技術伝承支援補助金=720万円

 優佳良織工芸の保存・伝承のため、優佳良織技術を持つ人材育成に対する支援を行う。

▽アイヌ施策推進費=2億1983万円

 アイヌ文化を生かしたまちづくりを推進するため、民間のアイヌ文化施設と連携し体験学習等を行う。4年度は川村カ子トアイヌ記念館整備事業および知里幸恵100年記念事業への支援のほか、アイヌ文化ウレシカ基金を活用した伝承事業を推進する。

▼総合政策部

▽高等教育機関設置準備費=200万円

 地域の特性を生かした魅力あるまちづくりを進めるため、旭川大学をベースとした公立大学設置の取組を進める。4年度は公立大学法人の設立認可申請を行うなど、5年4月の開学に向けた作業を進める。

▽旭川未来会議2030等推進費(新規)=114万円

 環境や子育て、産業など、市民による分野別のワークショップで、まちづくりの未来に向けた取組を議論する旭川未来会議2030を開催する。

▽旧東海大学旭川キャンパス施設管理費=150万円

 旧東海大学旭川キャンパスの施設維持と有効活用に向けた検討を実施する。

▼子育て支援部

▽発達支援相談事業費=2325万円

 就学児の発達支援相談業務を分離し、未就学児の発達相談や研修業務を行う。

▽児童家庭相談事業費=2697万円

 ヘルパー(育児・家事補助)の派遣回数の増や、市子ども・女性ネットワークの運営方法などを見直すほか、有識者による市長部局におけるいじめ防止体制を検討する。

▽子ども総合相談センター管理費=1110万円

 子ども・子育てに関する相談窓口を一元化した子ども総合相談センターを管理運営する。

▽就学児発達支援事業費(新規)=1133万円

 就学児の心身の発達・発育に関する相談および発達検査を実施。4年度は就学児の発達相談業務を分離し、発達相談や研修業務を行う。

▽子育て世代包括支援センター管理費(新規)=6671万円

 母子保健課と子ども総合相談センターの一部機能を整理統合し、妊娠期から子育て期(就学前)までの一体的で切れ目ない支援を行う仮称・おやこ保健課をツルハ旭川中央ビルに設置。

▽児童虐待防止対策費=32万円

 児童虐待の支援内容を協議する要保護児童対策地域協議会をオンライン開催する。

▽児童虐待予防・早期発見推進費=621万円

 児童虐待の発生予防と早期発見のため、関係機関との連携を図るとともに、妊産婦、児童とその保護者、家庭の状況などに応じて、訪問などによって必要な相談支援を行う。

▽ひとり親家庭等医療費助成費=1億5826万円

 5年度以降の医療費無償化に向けて,システム改修や医療機関との調整を行う。

▽子ども医療費助成費=6億8404万円

 5年度以降の医療費無償化に向けて,システム改修や医療機関との調整を行う。

▽施設等利用費給付費=2億5738万円

 幼児教育・保育の無償化に伴う子育て世帯の負担軽減を図るため,施設利用料等を給付する。

▽私立認可保育所等建設補助金=2億1992万円

 旭川あかしあ認定こども園の一部改築(老朽化改善)に補助する。

▽管理事務費(子育て支援課)=576万円

 高校生への給食提供のモデル実施について,高校への意向調査や情報収集を行う。

▽病児保育事業費=2161万円

 保護者の子育てと就労の両立を支援するため,児童が病気やけがの際,家庭での保育が困難な場合に保護者に代わり一時的に保育を行う病児保育事業(病児対応型・病後児対応型)を実施する。

▽子育て支援ナビゲーター活動費=548万円

 就学前児童を持つ保護者からの相談に対して,個々のニーズに合った保育サービス等の情報提供を行うとともに,育児サークルやイベントを通じた情報発信を行うため,子育て支援ナビゲーターを配置する。

▽放課後児童クラブ運営費=7億2189万円

 保護者の子育てと就労の両立を支援するため,活動充実のための委託事業者による独自プログラムを検討し,実施する。

▽放課後児童クラブ開設費=1億1916万円

 待機児童発生防止のために放課後児童クラブを増設(2ヵ所)する。

▽子育て支援員研修費=255万円

 保育士等の配置基準の弾力化運用や業務の負担軽減を図るため,補助的に保育に従事する支援員を養成する。

▽放課後の児童の居場所づくり事業費=469万円

 児童に放課後の安全・安心な居場所を提供するため,学習支援やスポーツなどの体験機会を提供する放課後子供教室を実施する。

▽地域子育て支援拠点運営費=6486万円

 子育てに関する不安や悩みなどを解消するため,保育所などに支援拠点を設置し,育児相談,親子遊びの広場の提供,育児講座等を開催する。

▽地域子育て活動支援費=326万円

 子育て支援人材バンクの運営や地域における子育て支援活動の活性化を推進する。

▽私の未来プロジェクト事業費=319万円

 子育てを支える地域づくりの推進を図るため,小・中学校、企業に出向き出前講座を実施するほか,オンラインによる子育て&ミニ講座を実施する。

▼経済部

▽若者地元定着促進費=207万円

 地域企業の新卒者採用や人材育成を促進するため、新卒定着セミナーを開催する。

▽若者地元定着奨学金返済補助事業費=499万円

 若者の地元定着を促進するため、新規登録者の対象奨学金を第2種(有利子)まで拡充する。

▽ICTパーク運営費=6671万円

 旭川工業高等専門学校やNTT東日本との連携によるプログラム教室を行う。

▼観光スポーツ交流部

▽教育旅行等誘致促進費=1426万円

 道北地域の冬季観光資源を活用したスポーツ環境の発信や台湾でのプロモーションを実施する。

(市町村 2022-02-10付)

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