参加・共同の学校づくり 道高教組 大会開き運動方針決定(関係団体 2022-03-11付)
道高教組(尾張聡中央執行委員長)は5日、第124回定期大会をオンラインで開催し、2022年度運動方針を決定した。公立学校への1年単位の変形労働時間制導入を許さず、学校に導入させないよう引き続き取り組むことを確認。教員免許更新制に代わる新たな研修管理に反対し、教職員の自主的な研修権を守る取組を進めることや、教育の完全無償化・高校統廃合・子どもの貧困・BYODによる私費負担増大など教育に関する諸課題を保護者・地域に広げ、参加と共同の学校づくりを意識した教育課程づくりを推進することを申し合わせた。
運動方針の概要はつぎのとおり。
【運動の基調】
一人ひとりが運動の主体者となるため、安心して話せる場、互いを尊重できる場、多様な意見を認め合える場、楽しく活動できる場を大事にしながら、一人ひとりの困難や悩み、疑問から組織の要求に練り上げるプロセスを重視した組合活動を進める。
▼新型コロナウイルス感染拡大に対して、今こそ憲法と教育の条理に立脚した子どもの“いま”からはじめる学校づくりを目指す
▽長期的な視野で、全ての子どもと教職員の命と健康・安全を確保するため、必要な条件整備を求める取組を進める
▽全ての子どもの成長と発達を保障する教育の実現を目指し、子どもの声を聴きとり、子どもの実態を重視して、一つ一つの学校・地域から多様で多彩な参加と共同の学校づくり、教育課程づくりを推進する
▽幅広い国民的対話と共同、合意づくりを重視し、20人以下学級を展望した国の責任による少人数学級の早期実現、無償教育の前進を目指す運動を推進する
▼9条改憲を絶対に許さず、憲法を守り、生かすたたかいを進める
▽憲法をいかし、平和と民主主義を守る共同のたたかいを推進。とりわけ憲法9条改憲を発議させない取組を国民共同の力で進める
▽教育の政治支配・市場化を許さず、国民の教育権の保障と教職員の自由で活発な教育活動を尊重する教育行政の確立を求める運動を推進する
▽政治的教養を育むべき政治教育は全ての子どもたちに保障されなければならないことから、主権者教育を豊かに積み重ねていく実践に取り組む。教職員の政治活動の自由と教育活動を区別し、保護者、地域、教職員の合意形成を図りながら、取組を進める
▼連帯と助け合いの職場づくり、仲間づくりと職場活動の活性化を目指す
▽全教共済の加入促進とも結んで、全ての教職員を対象にした対話と組合加入の呼びかけに踏み出し、要求の実現、職場での支え合いを通して組織強化拡大の飛躍をつくる
▽道高教組の存在と役割に確信を持ち、職場でつながる、配る、声を上げる取組に参加する組合員を増やし「声を上げれば何かが変わる」の輪を広げる
▽これまで築いてきた組合運動、教育実践、子ども観などを次世代の組合員に継承し、青年層、中堅層、ベテラン層の互いの良さを生かした共同の取組を進める
▽誰もが安心して働けるあたたかい職場づくり、連帯と助け合いの職場づくりを目指す。事務職員、現業職員などの少数職種や非正規職員の要求を掘り起し、具体的な要求に基づいたつながり、学習、運動を重視する
▽全ての教職員の賃金改善、長時間過密労働解消、いのちと健康を守る課題など切実な教職員の要求を実現するため、職場での対話と共同を重視する
【教育】憲法と子どもの権利条約が息づく学校づくり
▼憲法と教育の条理に立脚した教育を実現する取組
▽日本国憲法、子どもの権利条約の意義・内容を子ども・教職員・保護者・地域に広げる。個々の生活との接点と日々抱えている課題を大切にし、どの子どもも大切にされる教育制度・政策への転換を求める共同の運動を広げる
▽教員免許更新制に代わる新たな研修管理に反対し、教職員の自主的な研修権を守る取組を進める。道教委による教職員への権利侵害と、自主的研修・教育活動への不当な管理統制を許さない組織的な取組を進める
▽コロナ禍における学びの在り方とコロナ後の学校を展望し、人格の完成を目指した教育課程づくりについて、教職員、地域、保護者とともに合意形成の取組を進める。新学習指導要領・高大接続改革・ICT教育・校則問題・18歳成人をはじめとする諸課題の学習を、学びカフェ、情報交換会、支部教研や地域教研、学校・職場づくり学習会、全道合研などコロナ禍でも工夫した学習会を行う
▽教育の完全無償化・高校統廃合・子どもの貧困・BYODによる私費負担増大など教育に関する諸課題を保護者・地域に広げ、参加と共同の学校づくりを意識した教育課程づくりを推進する。民主的な団体と連携し、全道合研をはじめ学習会を計画し、民主的な教育に対する理解を進め、共同の運動を広げる
▽障害者権利条約の理念に基づいたインクルーシブ教育を実現する取組を進める。高校における特別支援教育についての議論を深めるとともに、合理的配慮や特別なニーズに応じた支援について学習・討議して認識の共有を進める
▽発達段階や個々の実態に応じて主権者教育を進める。子どもや保護者との合意形成を図りながら丁寧に行うとともに、教育実践を掘り起こし、子どもの意見表明権を大切にし、教育課程全体へ位置づけされるよう、学校で議論しながら取組を進める
▽教育への不当な介入に反対し、子どもたちの思想・信条の自由、良心の自由などを守るとともに、高校生の政治活動の自由を保障する取組を進める。日の丸・君が代の押し付けを許さず、憲法19条を立脚点に子ども、教職員の内心の自由を守る取組を進める
▼教育条件整備と修学・進路保障を求める取組
▽20人以下学級を展望し、国の責任による少人数学級の早期実現、教職員定数改善計画の策定、給付制奨奨学金や無償教育の前進を目指す運動を推進し、ゆきとどいた教育を求める全国署名はもちろん、えがお署名にも総力を挙げて取り組む
▽ゆきとどいた教育、民主的な地方教育行政の実現を求め、道教組や民主団体などと共同して、地方自治体・議会・教委への要請行動などの働きかけを進める
▽道教委の高校“多様化”再編・統廃合を許さず、地域の高校を守り育てる運動を進める。道教委の指針改定に当たっては、20人以下学級を展望することも含め地域の声を反映させる取組を進める
▽特別支援学校の過大・過密・狭あい化の解消を目指し、保護者、関係団体と共同を広げ、特別支援学校設置基準が実効性あるものとなるよう運動を進める
▽通級指導教室の設置、特別支援教育担当教員・スクールソーシャルワーカー(SSW)やスクールカウンセラー(SC)の配置など、高校における特別なニーズに応えるための条件整備を求める運動を進める
▽貧困の格差拡大を許さず、高校生・若者の就職を保障し、労働者の雇用と「8時間働けばまともなくらしができる社会」の実現を目指して取組を進める。また、めざせ!ディーセントワーク(労働者の権利手帳)などを活用した労働教育の実践を広げる
【労働】賃金・労働環境改善を求めて
▼新型コロナウイルス感染拡大防止、長時間過密労働を是正し、教職員の命と健康を守る取組
▽学校における新たな感染症拡大を防ぐため、職場からの要求に基づき労働環境の改善と教職員の働き方改善を求める取組を強化する。とりわけ、感染症に強い学校づくりに向けた施設・設備の改善、速やかな人的措置や資材配給、教職員の検査体制確立、在宅勤務などの勤務体制の弾力化等を重視して取り組む
▽全ての職場で、管理職も含めた全教職員の協力のもと、長時間過密労働の解消を課題として取り組む
・働き方実態アンケートの結果や統一職場要求書をもとに、超勤解消に向け校長交渉・話し合いを行う
・給特法・条例の矛盾や問題点について学習を進める。職場における勤務時間の客観的把握が使用者の責任により労働者保護の観点から適正に行われること、持ち帰り勤務や休憩時間中の勤務も含めた正確な勤務実態を記録・可視化するよう取り組む
・全日本教職員組合(全教)の教職員勤務実態調査2022に取り組むとともに、文部科学省の教員勤務実態調査に正確な労働実態が反映されるよう取り組む
・これまでの勤務実態の弊害や課題を出し合い、長時間過密労働解消のための合意づくりを進める。報告書等の簡略化、諸会議の精選と効率化、休憩時間の確保など、不要な仕事は減らし、休みを確保することに取り組む
・地域部活動への移行に向けた動きについて、教職員の負担を軽減する観点と子どもの文化・スポーツ要求に応える観点から議論を深め、交渉・要請などに取り組む
・36協定締結の意義を職場に広げ、労使対等の原則・民主的な手続きを確保するとともに、職場全体の残業規制に位置づけるなど超勤縮減につなげるよう取り組む
・組合員が積極的に衛生管理者になり、労働安全衛生活動の活性化を進めるとともに、長時間過密労働とハラスメントの根絶を目指して実効ある取組を追求する
▽公立学校への1年単位の変形労働時間制導入を許さず、教職員定数改善、持ち時間数の上限設定、少人数学級推進など抜本的対策を対峙させてたたかう
・1年単位の変形労働時間制の問題点と国会審議や道教委交渉の到達点を明らかにした討議資料等を活用し、引き続き職場・地域での学習を進める
・突然の休校や長期休業等の短縮が今後も実施され得ることを踏まえ、管理職も含めた職場内での対話を重視し、学校に導入させないよう引き続き取り組む
▼賃金・労働条件改善を求める取組
▽職場を基礎に地域経済を支える賃金権利闘争を官民共同で進める。道労連に結集し、最低賃金引き上げや、非正規差別NG、いのちまもる―などの運動を共同で取り組む
▽教職員の専門職性や広域な北海道での勤務実態に見合った賃金・労働条件の改善を求める。実習教員等の2級格付け改悪をはじめとする人事評価制度と賃金・処遇リンクの問題点を明らかにしながら、成果主義の強化・拡大を許さないたたかいを強める
▽雇用と年金の確実な接続を求め、定年引き上げの条例化に向けた交渉に取り組む。均等待遇の観点から、希望者全員の再任用、寒冷地手当支給など、再任用制度の改善を求める取組を強める
▽臨時・非常勤職員の正規教職員との均等待遇を求めるたたかいを進める。導入3年目となる会計年度任用職員制度のさらなる改善と諸課題の解決に向け取り組む
▽全ての教職員が、仕事と家庭を両立し安心して働き続けられる労働条件の改善を求めて取組を進める
【憲法】憲法改悪を許さず、国民のくらしと平和を守る
▼貧困と格差の拡大、社会保障改悪・泊原発再稼働に反対し安心して暮らせる北海道へ
▽コロナ経営危機による失業・倒産・雇い止め・内定取り消しの救済、高校生の就職保障とともに、非正規差別NG、有期雇用労働者の無期転換実現、最低賃金引き上げ、1年単位の変形労働時間制を導入させない取組を道労働組合総連合(道労連)や地域労連とともに進める
▽軍拡の一方での社会保障改悪、農林漁業・中小企業切り捨て、1%の富裕層や大企業のための政治の転換や消費税の減税を求め、失われた30年からの脱出、地域経済と道民のくらしを守るたたかいを進める
▽地域存続や持続可能な社会を目指し、地域を切り捨てる鉄路廃止や公立・公的病院再編統合に反対し、公共交通を守り、住民の命とくらしを守る運動を進める。通学生の足の確保は教育の機会均等を保障する視点からも重視する
▽コロナ禍が追い打ちをかけひっ迫する地方財政の立て直し、急増する被災地での住民本位の災害復興を急ぐとともに、原発マネーに頼らなくとも存続・持続可能な地方創生を進めるために、農林漁業・中小企業などの地域地場経済の安定、消費税減税、社会保障の充実、地域公共交通充実など道民の生活とくらしを守るたたかいを進める
▽核のごみ処分場文献調査応募・幌延町深地層センターでの研究継続決定・泊原発再稼働反対、大間原発反対、原発ゼロ社会実現、再生可能エネルギーへの転換を柱にクリーンで安定した電力供給体制構築を求め、広範な人々との共同を進める
▽道内自治体の子どもの貧困対策やヤングケアラー支援の拡充・見直しを求める
▼市民と野党との共同・共闘を一層深化させ、平和で安心して暮らせる政治への転換を
▽私たち自身が当事者意識を持ち、主権者として声を上げ続けることが重要であることを深く自覚して、投票することの重要性を確認し合い、政治談議をタブーとせず、自らの要求実現の視点から政治を語り合うことを日ごろから呼びかける
▽組合活動などに対する不当な規制に反対し、教職員の政治活動の権利と言論・表現の自由を守るたたかいに全力を挙げる
【組織】仲間づくり
▼組織拡大強化のための新3ヵ年行動計画に基づき、仲間づくりのつぎなる飛躍を生み出す
▽新3ヵ年計画2次案に基づき、職場・分会マップづくり、リアルなかま・つながるプロジェクト(仮)を具体化し、次期大会までに組合員現勢の回復を目指す
▽組織化の学習などを計画的に行い、組織化、分会オルグを担う組合員を増やす
▽全教総合共済5000人、自動車保険5000台加入運動と連動し、全ての支部・分会、専門部で新加入者を迎えることを目指す
▽引き続き持続可能な組織、運動の在り方について議論を進めるとともに、支部・専門部の体制強化、全教北海道(仮称)への結集に向けての議論を組織財政検討委員会で計画的に進める
▼コロナ禍の中での学習および交流の場づくりの工夫、年間を通した新採用・期限付総当たりの追求
▽3~5月を春の集中月間とし、学びカフェや共済学習会などのキャンペーンを活用し、職場での対話の場づくりを追求する
▽コロナ禍での障害児教育はるがくなど、新歓期の学習交流会の開催方法を模索し、青年教職員の要求に基づく、学び、集まりの場づくりを追求する
▽加入グッズを活用し、積極的な加入の訴えに取り組み、総あたりキャンペーンは年間を通して取り組む
▼つながる、配る、声を上げる活動を通して、高教組の見える化を広げる
▽組合員同士の日常的な声かけやつながり合いを大切にし、困っている仲間を助け合う分会づくりを目指す。また、分会会議の定例化や本部からの発送物の共有化などで、組合員間の情報共有と、取組に対する意思統一を図る
▽職場での職場新聞、組合掲示板の活用、高教組情報・速報・支部ニュース・職場討議資料・SNS・ホームページ・メーリングリスト等による情報共有など、道高教組の取組や考え方を未組織者に大きく広げ、高教組活動の見える化に取り組む
▽高教組メールマガジン登録者を増やし、全ての組合員が最新情報を入手できるようにする
▽アンケートや対話の取組を通して、職場の教職員の要求を束ね、職場要求書の提出に取り組み、校長との交渉・懇談を通して、要求の前進を図る
▼連帯と助け合いの職場づくりに向けて
▽政策的に職場の分断が持ち込まれている教育現場において、職場でのコミュニケーションを深めることが求められる。悩みや不安を率直に語り合える民主的な職場づくりに努める
▽民主的な学校運営、創意あふれる教育活動を進めるために、教職員間の日常的で率直な意見交換はもちろん、管理職との対話も重視し、集団的な議論に基づく合意形成に努める
▽職場学習会、歓送迎会、レクリエーションなど、全ての教職員を対象とする多様な集まる場を追求する
(関係団体 2022-03-11付)
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