丁寧に教育観の議論を 道高教組・尾張中央執行委員長あいさつ
(関係団体 2022-03-11付)

道高教中央執行委員長・尾張聡
道高教組・尾張聡中央執行委員長

 道高教組第124回定期大会における、尾張聡中央執行委員長のあいさつ概要はつぎのとおり。

 コロナ禍が社会を揺さぶって2年以上が経過し、まだ収束がみえないオミクロン株による第6波は死者数が過去最高を超え、決して油断できない状況が続いている。政府の対応はなりゆきまかせで、3回目のワクチン接種は進まず、子どもたちへの影響も様々な形で指摘されている。

 そうしたもとでGIGAスクール構想が前倒しで進められ、新学習指導要領への対応が求められ、教職員の働き方改革も喫緊の課題となり「何が大事なのかを考える余裕もなく追い立てられている」というのが今の学校現場の状況ではないか。教職員の長時間過密労働の実態は、ますます深刻だ。

 私たちは、少人数学級の実現、教職員を増やすことを求めて運動を続けてきた。さらに、給特法の抜本的見直しが日程にのぼっていることを見据えて、昨年、全道で働き方実態アンケートに取り組み、まず「本当の働き方を記録することが、超勤解消の出発点」と全道の教職員に呼びかけた。

 教職員の働き方改革は、これから大きな山場を迎える。教職員の働き方の問題は、文字どおり私たちの労働者としての側面と、教育の専門家としての側面の両方に関わり、学校の在り方、教育の在り方に関わる大きな問題でもある。

 一昨年の全道合研で講演をお願いした教育研究者で高知県土佐町議の鈴木大佑さんは先月、広島で行った教育研究集会で「教育観なき働き方改革は危険だ」として、「貧弱な教育観で進められる改革は教師の仕事の超合理化、学校の“塾”化、公教育の民営化を招く。働き方改革議論にとって大切な視点は、学校とはどんな場所なのかということ」と述べている。

 まるで道教委のアクション・プランを読んでいるかのようだ。さらに、ICTについても「教育観抜きで議論すると同様の危険にさらされる」と指摘している。

 働き方改革は待ったなしの課題であり、ICTへの対応も避けて通ることはできない。そうした中、今、私たち現場の教職員に求められているのは、上からの改革への対応ではなく、目の前の子ども・青年にとって今、何が大切かという視点で丁寧に教育観を議論することではないか。それこそが教職員の専門性を発揮することである。

 平和を守る運動、教育を守る運動、教育条件整備を求める運動、教職員の生活と権利を守る運動などを進める上で教職員組合の存在は不可欠である。その組織が、今、様々な困難に直面していることも事実である。

 議案の中でも触れているが、体制の維持が困難になっている専門部では組合員全てに手紙を出してつながりを再構築するなど、様々な努力が行われている。各支部段階でも、苦労して支部大会を開催していることが伝わってきた。そうした努力をこの1年、全道で続けていこう。

 なりゆきにまかせるだけで、組合員がどこかでまとまって増えることはない。一人ひとりの組合員が職場での信頼を勝ち取る努力の中で、未加入者と深く対話し、組合員であることの意味を理解してもらうしかない。次期大会までの現勢回復を目指す決意を、この大会で確認し合いたい。最初の一歩は総合共済であり、全教自動車保険である。

 この定期大会も2年続けてのハイブリッド開催となり、この2年、集まりづらい中で活動スタイルを模索してきた。その模索の中で、新しい経験や教訓も数多く生まれている。それを共有するのも大会の重要な役割だ。時間の制約はあるが、旺盛な討論を呼びかけたい。

 大会成功のために代議員の皆さんの奮闘を呼びかけて、中央執行委員会としてのあいさつとする。

(関係団体 2022-03-11付)

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