札幌新陵中に『銀の匙』寄贈　全員で大切に読みたい　全匙プロジェクトで浅野さん

（札幌市 2023-02-28付）

　札幌市立新陵中学校（森長弘美校長）は２月上旬、農業を題材にした漫画『銀の匙　Ｓｉｌｖｅｒ　Ｓｐｏｏｎ』全巻の寄贈を受けた。釧路市内で酪農業を営む浅野達彦さんが「全匙プロジェクト」として取り組んでいるもの。漫画を受け取った図書局長の稲岡美玖さん（１年）は「全員で大切に読みたい」と笑顔を見せた＝写真＝。

　浅野さんは、子どもたちに農業の魅力を伝え業界の発展につなげようと、全国の小・中学校に銀の匙を寄贈することを目標に全匙プロジェクトを展開。趣旨に賛同する人たちからクラウドファンディングなどで資金を募り、これまでに釧路、十勝、留萌、宗谷管内の３００校以上に寄贈してきた。

　本年度は、札幌市内の学校を対象に加え、６０校ずつ５回に分けて寄贈する計画。市教委を通して各学校に案内した昨年１０月の第１回には、希望が殺到するなど好評だったという。今回、新たに札幌地区への寄贈を目的としたクラウドファンディングを立ち上げ、６０校分の資金が集まったことを受け、２回目の寄贈が実現した。

　同校で行われた贈呈式では、美術科の市川雅基教諭がデザインしたパネルをバックに、浅野さんが稲岡さんに銀の匙の単行本全１５巻を手渡した。

　森長校長は、主人公が進学に際して悩む序盤のストーリーを例に「進路などに悩んでいる生徒たちにぜひ読んでもらいたい」と期待した。浅野さんは「（将来の進路に）農業を選んでくれればベストだが、いろいろな道があることを知ってほしい。進路選択への動機付けになれば」と話した。

　全匙プロジェクトでは、趣旨に賛同する支援者を募集している。

(札幌市 2023-02-28付)