道議会質疑 文教委員会(2月16日)
(道議会 2023-09-14付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼佐々木大介委員(自民党・道民会議)

▼小泉真志委員(民主・道民連合)

【答弁者】

▼唐川智幸学校教育監

▼中澤美明学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長

▼村上由佳学校教育局特別支援教育担当局長

▼大畑明美特別支援教育課長兼ICT教育推進課ICT教育推進担当課長

▼和田宏一教職員育成課長

▼今村隆之健康・体育課長

=役職等は当時=

◆卒業式の対応

Q佐々木委員 文部科学省は、今春行われる卒業式に関し、児童生徒や教職員は基本的にマスクを着用しないこととする旨、全国に通知した。このたび文科省が発出した通知は、どのような趣旨で、どのような内容になっているのか、また、これまでとどこが変わるのか伺う。

A今村健康・体育課長 マスクの取り扱いについて。文科省はこのたび、卒業式は学校生活の中で節目となる重要な行事であり、児童生徒にとっても特別な意味を有するものであることを踏まえ、マスクの着用について、4年度の卒業式に限定した基本的な方針を示したところ。

 現在の衛生管理マニュアルでは、屋内においてマスクの着用を推奨することとしているが、卒業式においては、児童生徒および教職員は、入退場、卒業証書授与、送辞、答辞の場面など、式典全体を通じてマスクを外すことを基本とし、来餐や保護者等はマスクを着用することとしている。

Q佐々木委員 国歌や校歌唱時については、マスク着用など感染症対策を講じて実施するとされている。この場面だけマスクを着用することになるが、児童生徒に対してどう対応するのか。

A今村健康・体育課長 国歌や校歌斉唱時の対応について。児童生徒および教職員は、式典全体を通じてマスクを着用しないで出席することを基本とする一方、国歌や校歌等の斉唱や合唱、複数の児童生徒による、いわゆる呼びかけに当たっては、マスクの着用など一定の感染症対策を講じた上で実施することとされており、マスク着脱の場面を指示したり、事前に説明するなど、適切に対応する必要がある。

 こうした対応において、卒業式当日だけマスクを外すことで、児童生徒が落ち着かない、あるいは不安になることなどが懸念される場合には、卒業式の練習においてマスクを外す時間を徐々に増やすなど、児童生徒の心情に配慮しながら主体的に判断できるよう、指導することが重要である。

Q佐々木委員 卒業式では児童生徒は、原則マスクを外すこととなる一方、健康上の理由のほか、大学受験等を控え感染に不安を抱える児童生徒もおり、マスクの着用を希望する児童生徒もいるかと思う。このような児童生徒への対応はどのようになるのか伺う。

A中澤学校教育局指導坦当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長 マスクの着用を希望する児童生徒への対応について。5年2月10日の国の対策本部決定において、マスクの着用は行政が一律にルールとして求めるのではなく、個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねることとされた。

 文科省においても、学校や教職員がマスクの着脱を強いることのないよう留意することとされている。

 このため、各学校においては、基礎疾患や受験を控えた感染への不安等、様々な理由によってマスクの着用を希望する児童生徒が安心してマスクを着用できるよう、事前に丁寧な説明を行うとともに、健康上の理由によってマスクを着用できない児童生徒もいることなどから、児童生徒の間でマスクの着用の有無による差別や偏見等がないよう、併せて指導することが重要である。

Q佐々木委員 卒業式は、これまでコロナ禍での制約があった過去2年間とは違う形で実施されることとなる。各学校で卒業式が円滑に実施されるためには、マスクの取り扱いなどについて、保護者への速やかな周知が必要になる。道教委としてどのように取り組むのか伺う。

A唐川学校教育監 保護者への周知について。4年度の卒業生は、新型コロナウイルス感染症対策のもとで学校生活を送り、特に、中学校や高校の卒業生は、学校生活の全ての期間を感染症対策のもとで過ごしており、このたび卒業式を迎えるに当たって、その教育的意義を考慮し、文科省等から特例的な取り扱いについて通知があったところである。

 ことしに入ってから、卒業式におけるマスクの着脱について様々な情報が発信され、児童生徒や保護者において不安を感じていると考えられることから、道教委としては、リーフレットの作成、配布によって、児童生徒や保護者に対し丁寧に周知するほか、教育局長会議を開催し、各学校へのきめ細かな支援体制を整えたところであり、引き続きそれぞれの学校において心に残る卒業式が円滑に実施されるよう支援していく。

D佐々木委員 マスクを外しての卒業式は歓迎すべきものである。しっかりと理解を深めて、より良い卒業式になるよう求める。

◆特支・小中学校交流・共同学習

Q佐々木委員 道立特別支援学校では、これまでどのような学校間の交流や共同学習を行ってきたのか、その取組について伺う。

A大畑特別支援教育課長兼ICT教育推進課ICT数育推進担当課長 これまでの取組について。各特別支援学校においては、近隣の小・中学校等の児童生徒と学校行事や自然体験活動、ボランティア活動などを合同で実施しているほか、児童生徒が、居住地の小・中学校の児童生徒と共に学習し交流する居住地校交流を実施するなど、特別支援学校と小・中学校等が連携協力し、活動の意義やねらいなどについて共通理解を図り、取組を進めてきた。

Q佐々木委員 特別支援学校における学校間の交流や共同学習について、新型コロナウイルス感染症のまん延以降、その実施状況がどのようになっているのか伺う。

A村上校教育局特別支援教育担当局長 現在の実施状況について。道立特別支援学校67校の交流および共同学習の相手校および実施回数は、元年度198枚469回から、3年度には11校242回へと減少、居住地校交流を実施した児童生徒数は、元年度296人から、3年度には145人とコロナ禍の影響によって減少している状況。

 コロナ禍においては、直接学校を訪問しての交流に代えて、作品交流や学級通信の掲示など間接的な交流活動を実施したほか、オンラインを活用し、互いに学習活動の発表を行うなど、交流および共同学習の意義を踏まえ、子どもたちが幅広い体験を得て視野を広げることによって、豊かな人間形成を図っていく取組を継続している。

Q佐々木委員 コロナ禍以降、実施回数や実施人数は、ほぼ半減している。

 障がいの有無にかかわらず、互いを理解し合える共生社会の実現を進めていく上で、特別支援学校と小・中学校との交流や共同学習の機会を確保していくことは、重要な取組であると考える。

 新型コロナウイルス感染症のまん延以降、その機会が減少しているところだが、新型コロナウイルス感染症の5類移行などによって、5年度からは学校現場での感染症に対する取扱いや対応も徐々に緩和されていくものと思われる。

 特別支援学校における交流および共同学習の推進に向け、より一層、その機会確保を図っていく必要があると考える。今後どのように取り組んでいく考えか伺う。

A唐川学校教育監 今後の取組について。交流および共同学習は、学校卒業後においても、障がいのある子どもにとって、様々な人々と共に助け合って生きていく力となり、積極的な社会参加につながるなど、大変有意義な教育活動であると認識している。

 道教委としては、特別支援学校の教員等を対象とした研修や、道立特別支援教育センターのホームページ等によって、これまで各学校が蓄積してきた好事例を紹介し、地域の実情や障がいの状態等に応じた交流および共同学習を推進するとともに、市町村教委の職員や小・中学校の校長等を対象とした会議の機会を用いて、居住地校交流を含む交流および共同学習の理念についてあらためて周知し、実施機会の確保や内容の一層の充実を図るなど、誰もが他者の人格と個性を尊重し、支え合い、人々の多様な在り方を相互に認め合える共生社会の実現に向けた取組を一層進めていく。

◆新たな研修制度

Q小泉委員 北海道における教員育成指標の改訂に至った背景としては、教員免許更新制の廃止が大きな要因であると考える。この廃止に至った背景をどのように認識しているのか所見を伺う。

A和田教職員育成課長 教員免許更新制の廃止について。教員免許更新制は、教員が教職に必要な知識や技能を習得するために一定の効果があったとされる一方、免許を更新するための講習時間や受講費用が教員の負担になっていること、変化の激しい時代において、教員には、常に学校教育を取り巻く環境の変化に対応することができる資質・能力を身に付けていく必要があることが課題として指摘されてきたところ。

 このような状況を踏まえ、教員一人ひとりが、これまで以上に主体的に学び続けることができるよう、自ら計画的に研修を進めるための研修履歴の作成や、資質の向上に関する指導および助言等に関する規定が整備されたことによって、教員免許を10年ごとに更新する教員免許更新制が発展的に解消されたところ。

Q小泉委員 新たな研修、この研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励の基本的な考え方について伺う。

A和田教職員育成課長 受護奨励の考え方について。受講奨励は、校長等が教員等との対話を通して多忙な状況にも配慮しながら、本人が自らに必要な学びを主体的に行っていくことを促すものであり、教員等がこれまで受講してきた研修等を記録した研修履歴を活用しながら、教員等が自らの研修ニーズや今後伸ばすべき力、期待される役割などを踏まえ、教員一人ひとりの意欲や主体性を尊重し、意向を十分に汲み取って実施されるものである。

P小泉委員 研修の強制は行われないと確認させていただきたい。ただ、学校現場を知っている者の一人として、校長との面談の中で、校長から、あなたの弱みはここであるから、この研修を受けるべきであるとか、経験年数がこのくらいであるから、このくらいの研修はしっかりやっていただかなければならないとか、忙しいかもしれないけれども、校外で研修を受けていないので1回くらい行きなさいなど、同意ではなく上から押しつけられる状況もあると思っている。

 このように、現場の教員の主体性が阻害されるときに、道教委として、例えば苦情相談窓口をつくるなど、しっかり対応していただくよう指摘する。

Q小泉委員 研修時の記録の目的について伺う。

A和田教職員育成課長 研終履歴の記録の目的について。研修履歴の記録は、対話に基づく受講奨励の際に当該記録を活用することによって、教員が自らの学びを振り返るとともに、学校管理職等が研修の奨励を含む適切な指導助言を行うことによって、効果的かつ主体的な資質向上、能力開発に資することを目的としている。

 道教委では、こうした国の考えに基づき、記録自体が目的とならないよう、業務の負担にも配慮しながら、研修履歴の記録や指導助言の在り方などについて具体的に検討を進めている。

Q小泉委員 研修履歴の記録の方法について伺う。

A和田教職員育成課長 研修履歴の記録の方法について。国のガイドラインでは、研修履歴を記録する媒体は、基本的に情報システムや電子ファイルを中心とし、記録する項目は、研修名、主催者名、受講期間等と例示されているところである。

 道教委では、記録に当たっては簡素化を図るなど、業務の負担に配慮するとともに、記録すること自体が目的とならないよう、有効な活用についで周知するなど、市町村教委や学校と連携を図りながら取組が進められるよう検討している。

Q小泉委員 研修履歴の記録の範囲についても伺う。

A和田教職員育成課長 研修履歴の記録の範囲について。記録する研修の範囲は、教育公務員特例法によって、初任段階教員研修や中堅教論等資質向上研修などの研修実施者が実施する研修、大学院修学休業により履修した大学院の課程等、任命権者が開設した免許法認定講習および認定通信教育による単位の修得、資質向上のための取組のうち任命権者が必要と認めるものと定められている。

 この中で、任命権者が必要と認める研修については、市町村教委が実施する研修や校内研修等の取り扱いを含め、対語に基づく受講奨励の効果的、効率的な実施の観点から、現在その内容について検討を進めているところである。

Q小泉委員 今後のスケジュールについて伺う。

A和田教職員育成課長 今後のスケジュールについて。研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励の取り扱いについては、これまで教員養成大学や市町村教委などの代表等で構成する教員育成協議会で検討を重ねるとともに、随時、各種校長会に検討案を示しなから意見を伺ってきたところ。今後、こうした協議を3月上旬まで実施し、4年度中に5年度北海道教職員研修計画の中で示す予定である。

 また、2月下旬をめどに各市町村教委を対象に具体的な取り扱いについて説明するとともに、寄せられた質問等を踏まえ、手引や質疑応答を作成するなどして、学校が年度当初から円滑に取り組むことができるよう、きめ細かな対応に努めていく。

Q小泉委員 新たな研修を進めるためには、校長に求められる資質や能力が大さく問われると認識している。その前提として、人事評価制度の趣旨との違いを徹底していただきたい。それをしながら、どのように資質・能力を高めていくのか所見を伺う。

A中澤学校教育局指導担当局長兼学校教育局新型コロナウイルス感染症対策担当局長校長の資質・能力について。新たな研修制度において受講奨励の役割を担う校長は、教員の資質・能力の向上を促す責任者として、日頃から教員との意思疎通や共通理解に努めるとともに、教員個々の経験や専門性を十分に生かしながら、指導助言を行うことが要である。

 道教委では、こうした校長の資質・能力の向上を図るため、新任校長をはじめとする管理職を対象とした研修において、人材育成に係る基本的な考え方や方法に関する協議や演習などを行っている。

 今後も、管理職研修の一層の充実を図るとともに、こうした研修機会を活用するなどして、研修履歴を活用した受講奨励の具体的な手法や人事評価制度との趣旨の違いについて、理解を深めることができるよう努めていく。

Q小泉委員 中学校教員の時間外勤務が過労死レベルと言われる月80時間以上の教員が3人に1人、100時間以上も5人に1人と、いまだに休憩を取れていない学校が大多数を占める中、勤務時間内にオンデマンド等の研修を受けられないとか、欠員が補充されていない中では校外研修は受けられない等の現状を解消するために、道教委としてどのように環境整備を実施していくのか所見を伺う。

A唐川学校教育監 研修環境の整備について。子どもたちが必要な資質・能力を身に付けるためには、教員自身が絶えず研究と修養に努めることが重要であり、多忙な状況にある学校現場においても、限られた時間の中で質の高い教員研修の機会を確保することは極めて重要である。

 そのため、道教委では、これまでも研修事業の精選や、数員が勤務地を離れることなく、勤務実態に応じて受講できるオンライン研修の導入を積極的に進めるとともに、各学校に研修時間の確保に向けた配慮を行うよう周知するなど、教員の負担を考慮した研修の工夫改善に努めてきた。

 今後もこうした取組を継続するほか、教員の負担を考慮した効果的・効率的な教員研修が推進されるよう、道教委における業務の精選をはじめ、学校における働き方改革の様々な取組を進めるとともに、学校の実情に応じた研修内容や実施方法を工夫するなど、学校現場の意見を伺いながら、研修環境の整備に努めていく。

D小泉委員 まずは人的な余裕をしっかり持たせていただくところにもっと働きかけていただきたい。道教委における業務の精選をもっと踏み込んで、削減というところに舵を切っていただきたい。研修を奨励するということで、旅費も現場では課題として挙がっている。予算は厳しい状況であるが、その辺りも確保することをお願いしたい。

(道議会 2023-09-14付)

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