道議会質疑 代表質問(2月21日)(道議会 2023-09-26付)
Q 質問Question A 答弁AnswerP 指摘Point outO 意見OpinionD 要望Demand
【質問者】
▼冨原亮議員(自民党・道民会議)
【答弁者】
▼鈴木直道知事
▼倉本博史教育長
知事公邸
Q冨原議員 知事公邸は、維持管理に多額の費用を要していることや、今後も使用を続けるためには相当規模の修繕が見込まれることなどから、知事は、元年10月に従来の公邸を退去し、民間から借り上げた住宅を知事公邸として利用してきた。
この間、道では、知事公邸等の在り方に関する研究会を立ち上げ、民間有識者から意見を伺うなどしながら、庁内においてその在り方を検討してきた。
2つの公邸に住まわれた経験やこれまでの庁内検討の結果等を踏まえ、公邸の今後の取り扱いについてどのように考えているのか伺う。
A鈴木知事 知事公邸の在り方について。知事という職務の性格上、災害など緊急時において迅速かつ的確に対応するためには、知事の住居としての公邸は行政上必要な施設であり、できるだけ本庁舎に近接する場所に所在することが適当であると認識している。
現在、民間住宅を賃貸し、知事公邸として居住しており、休日、夜間などにおける緊急を要する場合にも、職務遂行上、支障がないことを確認したところであるが、今後、知事公館、隣接する近代美術館エリアの利活用の検討を進める中で、その取り扱いについて整理していく。
Q冨原議員 老朽化が進む道立近代美術館については、道教委が外部有識者による検討会議を開催し、様々な意見を伺い、近代美術館リニューアル基本構想に関する中間報告の素案を取りまとめた。
知事部局でも、昨年、道教委と共同で、知事公館・知事公邸・近代美術館エリア全体の利活用策について、民間企業等から提案を受けるサウンディング型市場調査を実施するなど、活用方法の検討を進めてきた。
このエリアは、高度に都市化が進む札幌の中心部で自然が守られている貴重な都市空間を形成しており、知事公館前庭では子どもたちが元気に駆け回る光景が見られる。このエリアの将来を検討する際には、周辺環境とのつながりや歴史的な経緯も十分考慮し、エリア全体の活用策を検討すべきと考える。今後どのような基本的な考えで検討を進めていくのか、知事および教育長の見解を伺う。
A鈴木知事 知事公館・近代美術館エリアについて。知事公館や近代美術館が所在するエリア一帯は、長い歴史の中で築き上げられてきた大変魅力のある場所であることから、この貴重な道民の財産を確実に次の世代へ引き継いでいく必要があると認識している。
知事公館エリアは、登録有形文化財である知事公館や環境緑地保護地区に指定されている緑地について、適切に保全、維持しながら利活用していくことを基本に、低利用となっている居住区域の取り扱いについても検討を進めている。
私としては、エリア全体の利活用に当たって、リニューアルに向けた検討を進めている近代美術館も含め、歴史、芸術、文化、環境といった特性を十分生かしていくことはもとより、これまで以上に魅力あふれた交流空間となるよう、道議会をはじめ、道民、民間事業者などから幅広く意見や提案を伺いながら、道教委とも連携を密にし、今後、機能や整備・運営方法を含めた総合的な活用方策を取りまとめていく。
A倉本教育長 近代美術館の在り方について。近代美術館や知事公館などのエリアは、市内中心部に位置し、憩いの場としても親しまれており、近代美術館が、この立地環境を生かし、教育、観光等の多様なニーズに対応できる文化発信の拠点として、その機能を高めることが重要である。
道教委では、昨年1月に有識者で構成するこれからの道立近代美術館検討会議を設置し、これまでの活動の検証や、今後求められる使命、役割といった目指す姿などについて検討するとともに、道民からいただいた幅広い意見を参考に、中間報告素案をまとめた。
今後は「誰もが楽しみ、学び、やすらぎを感じ、人生の豊かさを見いだすことができる場所」という目指す姿の実現に向け、都心の貴重な緑を生かした環境整備などを施設整備の基本的な考え方とし、整備方法の検討に当たっては、美術館活動への影響や、経済性、環境性などを比較評価するなどし、道民の意見を伺うとともに、知事部局における総合的な活用方策の検討状況を注視しながら、関係部局とも緊密に連携し、丁寧に検討を進めていく。
◆少子化対策
Q冨原議員 少子・高齢化・人口減少時代を迎える中、3年の全国の出生数は過去最低の81万人を記録したが、4年はさらに下回ると見込まれている。
このため、岸田文雄首相は、異次元の少子化対策を進めることを表明し、国においては、将来的な子ども予算の倍増に向けて、児童手当を中心とする経済的支援の拡充、幼児教育・保育、産後ケアや一時預かり等の充実、仕事と育児の両立支援と働き方改革の3つを重点としている。
本道においても少子化対策は喫緊の課題であり、4年度からは、学生などの意見を子育て政策に反映させるため、ユースプランナー制度を創設したほか、保育の受皿確保や独り親家庭への支援などを行っている。
知事は、国による少子化対策の動きをどのように受け止めており、安心して子どもを産み育てていくことができる環境の整備に向けて、今後、少子化対策にどのように取り組んでいく考えなのか伺う。
A鈴木知事 今後の少子化対策について。国は、こども政策の強化に関する関係府省会議を設置し、経済的支援の強化など、今後の基本的な方向性についてたたき台を取りまとめたあと、6月の骨太方針において、将来的な子ども予算倍増に向けた大枠を提示すべく検討を進めているが、妊娠届出件数や出生数の減少傾向が続く中、私としても、少子化対策は一刻の猶予も許さない極めて重要な課題であると認識している。
道として、今後の政策を展開していく上で、国が十分に財源を確保し、地方の負担を増やすことなく、一定の水準の支援が受けられる環境整備を進めるよう強く要望するとともに、独自に様々な子育て施策に取り組む各市町村とも連携し、結婚や子育てに関する支援をはじめ、人口減少対策や経済・雇用対策など、幅広い観点から、全庁を挙げて国の新たな対策への対応や現状の課題などについて検討し、切れ目のない対策に取り組み、安心して子どもを産み育てることができる北海道づくりを進める。
◆いじめ問題
Q冨原議員 道では、いじめ防止対策推進法に基づき、いじめ防止基本方針を策定し、各市町村や学校においてもそれぞれいじめ防止基本方針を策定し、いじめの未然防止、早期発見、早期対応に向けて取り組んでいる。
旭川で発生したいじめ重大事態をはじめ、各地域で深刻ないじめを疑われる事案が見られることから、わが会派は、本道の全ての学校において子どもたちをいじめから守るため、学校における組織的対応など、これまでの取組をしっかり検証することが必要であるとの強い危機感を持って、道教委の対応について議論を重ねてきたところ。
道と道教委は、この間のいじめ問題の対応状況や児童生徒を取り巻く社会情勢の変化を踏まえ、いじめ防止基本方針の改定案を示した。基本方針をどのように改定し、いじめ問題に取り組んでいくのか、知事および教育長の見解を伺う。
A鈴木知事 いじめ問題について。いじめは、児童生徒の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長と人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命や身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものであり、決して許されない行為であると認識している。
このため、道では、いじめ問題に道教委と一体となって取り組むことが重要と考え、1月に開催した総合教育会議において「いじめの防止と対応」をテーマとして議論を行ったところ。
会議では、学校における何気ない行為を被害生徒がいじめと受け止めていることを学校側が速やかに認知しないといった過去の反省すべき点などから、いじめはどこの学校でも起こり得ることであり、いじめゼロではなく、早く発見し解消するという、いじめ見逃しゼロを目指すべき、教員が生徒指導に力を注げるよう、家庭、地域の理解はもとより、法律や福祉、心理の専門家などの力を取り入れ、学校を閉ざさないという社会に開かれたチーム学校として、いじめの未然防止、早期発見、早期対応に努めるべきなどの意見があったことから、基本方針の改定に当たっては、こうした意見も踏まえ、案として取りまとめたところ。
子どもたちが、いじめに悩み、苦しむことなく、安心して学べる環境づくりに向け、広域自治体である道が地域を支えていく役割を担っていくためには、道内の市町村といじめの未然防止や早期発見につながる効果的な対応策を共有し、不断に連携協力に努めていく必要がある。
私としては、本道の未来を担う子どもたちの大切な命を守るという断固たる決意のもと、いじめ防止対策に積極的に取り組む。
A倉本教育長 いじめ問題への対応について。学校、家庭、地域、行政等が連携協力し、社会全体でいじめ問題を克服していくためには、社会情勢の変化を的確に捉えて、いじめ防止基本方針を改定し、必要な対策を効果的に進めることが重要である。
道教委としては、道議会や総合教育会議、いじめ問題審議会での議論をはじめ、道民からの幅広い意見などを踏まえ、法に基づく、いじめの早期発見、積極的な認知によるいじめ見逃しゼロの徹底、被害児童生徒に寄り添った学校での組織的対応の徹底、総合教育会議による地方公共団体の長と教育委員会の連携強化、犯罪行為として取り扱われるべきいじめの基準を明確にし、直ちに通報することの徹底など、警察との連携強化などの観点から改定をすることとし、市町村教委や関係機関・団体と改定の考え方や内容について共通理解を図りながら、全ての地域でいじめ防止、いじめ対応の徹底を図るほか、専門家等で編成する緊急支援チームによる積極的な対応やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの派遣の拡充に努めるなど、新たな基本方針に基づく取組を加速させ、一層の危機感を持ち、いじめを決して許さないという確固たる姿勢で、本道の子どもたちの命と心を守る取組を進めていく。
◆部活動地域移行
Q冨原議員 昨年12月に国が策定した学校部活動および新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドラインでは、中学校の休日の部活動の地域移行について、5年度から7年度までの3ヵ年を改革推進期間とし、地域の実情に応じ可能な限り早期の実現を目指すとした。
本道においても、市町村における部活動の地域移行を推進するため、北海道部活動の地域移行に関する推進計画案が示された。
人口減少や少子・高齢化の進行に加え、広域な本道の特殊性などを踏まえ、子どもたちが持続可能なスポーツや文化芸術を体験できる環境を可能な限り早期に整備することが望まれることから、地域間で格差が生じないよう、道教委と市町村がしっかり連携しながら計画的に整備を図っていくことが大切である。
議会議論では、活動の運営団体、実施主体の整備や指導者の確保、保護者負担といった課題を指摘してきまた。道教委は今後、推進計画に基づき、地域の実情に応じて部活動の地域移行が円滑に実現できるよう、どのように市町村を支援していくのか伺う。
◆A倉本教育長 部活動の地域移行について。中学校における部活動の地域移行は、生徒一人ひとりの望ましい成長のために、持続可能で多様なスポーツ・文化芸術環境の最適化を図り、体験格差を解消することを目指して行うものであり、教育局が行う教育長会議等においてこのような取組の趣旨と各市町村における部活動の現状や取組の進捗状況などについて情報共有を図ってきた。
地域移行に当たっては、実施主体や指導者の確保などの課題がある中、半数近くの市町村が国の事業を活用した取組の検討、準備を進めており、一部の市町村では、5年度に一部の部活動で休日の地域移行を実施することとしている。
道教委としては、地域の実情に応じた提案や助言を行うアドバイザーの派遣、市町村間の取組等の調整を行う教育局サポートチームの設置、指導者の人材バンクの整備を進めるとともに、全国都道府県教育委員会連合会と連携した財政措置の国への要望を行うなど、知事部局をはじめ、市町村教委や関係団体と連携をしながら、全ての市町村で持続可能な子どもたちのスポーツ・文化環境が整備されるよう取り組んでいく。
(道議会 2023-09-26付)
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