ペーパーティーチャーを掘り起こし　１１月１９、２９日に説明会　臨時教員確保へ札幌市教委

（札幌市 2023-10-30付）

　全国的に教員不足が深刻な課題となっており、札幌市も例外ではない。そうした中、札幌市教委は、教員免許を持ちながら教職に就いていない“ペーパーティーチャー”の掘り起こしに乗り出す。１１月１９、２９日の２日間、ペーパーティーチャー向け説明会を初開催し、教員の仕事や教員免許制度の概要などについて説明。教職に対する関心を高め、臨時教員の確保につなげていく考えだ。

　市内小・中学校における教員の欠員状況（１０月１日現在）をみると、定数欠が小学校で１０人、中学校で１人発生。病休・産育休等は小学校で４５人、中学校で９人に上る。

　市教委によると、少人数学級の実施に伴う学級数の増、男性の育休取得、精神面での不調を抱える教員の増加などを背景に、欠員は年々増えてきているという。

　１０月１日現在における臨時教員の任用状況は小学校で５４１人、中学校で３０６人。４年度から臨時教員の年齢要件を緩和し、６０歳以上も任用できるようにするなどの対策を講じているものの、確保が追いつかない状況だ。担当者は「学校現場は疲弊している」と危機感を募らせる。

　昨年７月の教員免許更新制廃止に伴い、休眠状態となっていた免許状が有効になるとともに、失効していた場合でも必要な手続きを行えば再取得することが可能となった。これによって、教員養成大学を卒業後民間企業等に就業した人、教職をしばらく離れていた人といったペーパーティーチャーの増加が見込まれている。

　こうした状況を受け市教委は、教員確保に向けた初の試みとしてペーパーティーチャーを対象とした説明会の開催を決めた。

　日程は１１月１９日午前１１時、同日午後１時３０分、２９日午後７時の全３回。

　市教委担当者が札幌市が求める教員像、教員の１日の流れや授業準備、教員免許制度の概要、臨時教員の待遇・登録方法などについて説明するほか、希望者には別途、任用に向けた個別相談を受け付ける。

　申し込みは専用フォームまたは電話０１１（２１１）３８５４で受け付けている。臨時教員としての勤務を検討している人だけではなく、少しでも興味がある人や教員免許の取得状況が分からない人など「気軽に参加してほしい」と呼びかけている。

　今後も定期的に同様の機会を設定し人材の掘り起こしに努めていく考え。「学校現場の教育の充実につながれば」と期待している。

(札幌市 2023-10-30付)