札幌新川高　産婦人科医の講演会　尊い“いのち”大切に　予期せぬ妊娠等リスク解説

（札幌市 2023-11-30付）

　市立札幌新川高校（矢田春義校長）は１５日、同校で産婦人科医師を招いた講演会を開いた。ＮＴＴ東日本札幌病院の常松梨紗医師が「Ｄｏｎ’ｔ　ｗｏｒｒｙ，Ｉ’ｍ　ｐｒｅｐａｒｉｎｇ～産婦人科医と考える、今までの自分と明日からの自分」と題して講話。予期せぬ妊娠や中絶などのリスクを、男女共に経済的、身体的、精神的な観点から説き、尊い命を大切にする意識を持つよう訴えた。

　思春期を巡る健康問題について、専門家による講演を通して心と体を大切にする態度や、性に関する正しい知識を持って適切に行動する力を育むことを目的に開催。１年生約３２０人が受講した。

　常松医師は冒頭、恋愛に対するイメージを問いかけ「人を好きとは何だろう。あなたはたった一つの命。今度は守る“命”に出会う可能性がある」と呼びかけた。

　その上で、子育てに要するコストを示し「今の生活を諦めて“命”を育てることはできるか」と投げかけた。予期せぬ妊娠が判明したとき「全てを背負い、どのような困難でも立ち向かうと言えるか」と述べ、即答することが難しい問題であることを強調した。

　帝王切開や輸血など、出産時における母体や胎児に係るリスクを産婦人科医の立場から説明し「妊娠と引き換えに、自分の命を差し出すほどの負担をどう考えるか」と述べ、性自認を表明する著名人を取り上げ「望まない妊娠を防ぐためにも、男女共に避妊を求める声を上げる勇気が必要だ」と訴えた。

　中絶に関する問題も提起。妊娠・手術に関する身体的、パートナーとのすれ違いなどによる精神的な負担を挙げ「この世に生まれるはずの命を摘み取る資格や権利があるか」と指摘。自分自身を守ること、相手を尊重した関係性を築くことの大切さを説いた。

　妊娠・出産を取り巻くわが国と諸外国の状況を示し「戦争や貧困によって、自分らしく生きることができない世界もある」と説明。「皆さんはこの世にたった一つの尊い“いのち”。すぐに“自分は駄目なんだ”と決めつけず、元気に生きてほしい」などと呼びかけた。

(札幌市 2023-11-30付)