札幌市教委　教育課程研・全体会　子の自ら「学ぶ力」育成　幼小中高の管理職が研鑚

（札幌市 2023-12-01付）

　札幌市教委は１１月２８日、市内のカナモトホールで５年度幼小中高合同教育課程研究協議会全体会を開催した。「全ての子どもの可能性を引き出す、個別最適な学びと協働的な学び～学びのコントローラーをもっているのは子ども自身」を柱に据え、説明や協議などを展開。全ての校種の管理職らが参加し、子どもが自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら課題を解決する「学ぶ力」の育成に向けて何が必要かなどについて考えた。

　協議会は、市全体の課題や学習指導要領等を踏まえた教育課程の編成・実施について理解を深めるとともに、教育課程の編成・実施に伴う諸課題について研究協議等を行い、市の学校教育の充実、改善を図るもの。

　本年度から高校、特別支援学校高等部を参加対象に加え、幼児教育段階から高校段階までを見通した教育課程の編成や指導の在り方について理解を深め、目標や課題を共有することで一層の充実・改善を目指した。

　開会に当たり長谷川正人学校教育部長は、６年度から始まる第２期市教育振興基本計画の方向性などを踏まえ、協議会では「さっぽろっ子に育みたい資質・能力として“学ぶ力”をあらためて価値付けるとともに、学びのコントローラーをもっているのは子ども自身をコンセプトとした課題探究的な学習について提案する」と説明。「皆さんにとって“参加して良かった”、私たち運営側にとって“実施して良かった”と思える協議会になれば」と期待した。

　続いて、市教委の担当指導主事らが行政説明した。

　６年度から始まる第２期市教育振興基本計画や、経済協力開発機構（ＯＥＣＤ）が発表した「ラーニングコンパス２０３０」の方向性などを踏まえ、予測困難な将来を生き抜く子どもたちに「学ぶ力」を育成していく重要性を強調。

　自分の良さや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値ある存在として尊重する「相互承認の感度」を基盤に位置付け「課題探究的な学習」と「自治的な活動」の２本柱によって“本物の経験”を積み重ねていくことを通して育成を目指すとした。

　５年度全国学力・学習状況調査結果から、他者と対話する価値を実感しつつあるものの、自らの学びを整理して表現したり、関連付けたりすることに課題があるといった市内児童生徒の傾向がみられた。

　これを踏まえ、ラーニングコンパス２０３０で示された「ＡＡＲサイクル」を紹介。Ａｎｔｉｃｉｐａｔｉｏｎ（見通し）、Ａｃｔｉｏｎ（行動）、Ｒｅｆｌｅｃｔｉｏｎ（振り返り）の３段階を繰り返す学習プロセスで「教師の指導上の工夫によって見通しを持たせるというより、学習者が自ら意識していくことが重要」と説明した。

　市教委は、ＡＡＲサイクルの視点から課題探究的な学習を再構築。子どもが課題を自分事として捉える「イントロダクション」、子どもがそれぞれ自らの学びを進める「個別探究」、子どもが対話によって思考を再構築する「協働探究」、子どもが自らの学びや成長を振り返る「リフレクション」の４つの段階を重視した、より子どもが主体となる授業改善を提案した。

　協議に移り、参加者は個人やパートナー校同士で「学ぶ力」の育成に向けた取組などについて活発に意見を交わした。

　今後は、１２月７日にカリキュラム・マネジメント部会、８日に課題探究的な学習部会を実施。いずれも会場は市内のちえりあで、午後２時から行う。

(札幌市 2023-12-01付)