札道研　小中合同冬の学習会　終末に学び振り返りを　子が自ら考え学ぶ授業へ

（札幌市 2024-02-13付）

　札幌市道徳教育研究会（札道研、三上寛晃会長）は１月上旬、市内西区民センターで小中合同冬の道徳学習会を開いた。香川大学教育学部の植田和也教授と大阪大谷大学教育学部の岩井晃子特任教授が「子どもが自ら考え学ぶ道徳科の授業づくり」をテーマに講演。道徳の授業において自己へ問い、自己と対話する大切さを示し、授業の終末に板書を眺めて学びを振り返る時間をつくる必要性を説いた。

　学習会は、道徳科の授業を支える理論について学ぶことをねらいに毎年実施しているもの。市内・近郊の小・中学校の教諭ら約４０人が参加し、道徳科の授業における質の向上を図った

　開会に当たり、三上会長があいさつ。３年間にわたる新型コロナウイルス感染症対策による制限が解かれた教育現場において、１人１台端末が児童生徒一人ひとりの手元に渡り、チャットＧＰＴで代表される人工ＡＩが身近になるなど、今まで以上に簡単に知識を得ることができるようになった現代の教育情勢について言及。

　一方で「家族を含めた他者とのコミュニケーションの欠如、自己有用感・自己肯定感の低下を招いている」と指摘した。

　その上で「このような時代だからこそ、道徳教育に携わる私たちに対して、今まで以上に、児童生徒の道徳性をどのように育むのかが問われる」とし、同学習会が各学校における授業づくりの一助となるよう期待した。

　続いて、植田教授と岩井特任教授が「子どもが自ら考え学ぶ道徳科の授業づくり～自己への問いと対話を大切に」をテーマに講演した。

　２人は、自己を見つめて自己への問いを持つ「自己内対話」について説明。自己内対話のポイントとして①自分の授業を常にモニタリングすること②教材だけではなく、学習指導要領の解説を読み込むこと③授業の山場を子どもの姿でイメージすること―の３点を挙げ、授業の終末に、板書を静かに眺めて１時間の学びを振り返る時間をつくる必要性を説いた。

　参加者からは「道徳の学習を子どもとつくり上げる際に、どのような視点で考えるべきかを学ぶことができた」「集団や他者との対話について考える機会は多くあるが、そのあとの個にどう返すべきというところまで話が聞けて勉強になった」などの感想が寄せられた。

(札幌市 2024-02-13付)