附属札幌中 冬季研究大会で6授業 自他を往還し課題克服 道徳 多面的に正しさ考える(札幌市 2024-02-08付)
附属札幌中冬季教育研究大会
道教育大学附属札幌中学校(萬谷隆一校長)は1日、同校で5年度冬季教育研究大会を開催した。研究の目的「“自他”を往還し、批判的・創造的に学ぶ生徒の育成」のもと、6授業を公開。1年生道徳では、立場によって「正しさ」が異なる問題について話し合い、多様な立場からの「正しさ」の在り方に目を向け、自己の生き方について考えを深めさせる活動を展開した。
同校は、4年1月から研究の目的に「“自他”を往還し、批判的・創造的に学ぶ生徒の育成」を掲げ、生徒の「課題」克服と、教員が抱く生徒への「願い」の実現を目指した研究に取り組んでいる。
昨年8月から始まった3年次目の研究目標には①各教科・領域をつなぐカリキュラム・デザインを活用した学習の展開②生徒が自ら再考に向かうような授業の在り方を考え実践する③研究目標①と②による変容の質的・量的な分析と検証―の3点を設定している。
公開授業のうち1年C組道徳「先生にも“正解”が分からない問いを、みんなで一緒に考えよう~モラル・エージェンシーの育み」(生徒数36人)は鈴木真之介教諭が指導した。
内容項目は「公正、公平、社会正義」。立場によって「正しさ」が異なる問題について話し合う活動を通して、多様な視点から「正しさ」を捉え、自己の生き方について考えを深めることをねらった。
学習指導要領で、道徳が家庭との連携を図る重要な機会として位置付けられていることを踏まえ、保護者も授業に参加し、生徒と意見を交わした。
鈴木教諭は導入で、新年早々に発生した羽田空港滑走路事故に関わって、ペットの飛行機内持ち込みについて賛否両論が巻き起こっている話題を紹介。
「ペットは家族」という価値観が広まりつつある一方、多くの航空会社では「貨物」扱いされている現状を確認し、この場合の「正しい判断」についてグループごとに感想を交流させた。
「自分だったらペットと一緒に逃げたい」「悲しいけどルールだから仕方がない」など多様な意見を通して「これは誰にとっての“正しさ”だろう」「ルールが絶対に正しいとは限らないのでは」と課題意識を醸成した。
その上で「“正しさ”を判断するためにはどのようなことが大切だろうか」と課題を提示し、直感的に感じたことをミニホワイトボードに記述させた。自分自身の見方の広がりや考えの変容を実感できるよう、ホワイトボードに書いた内容は最後まで消さないよう指示した。
ホワイトボードの記述を踏まえ、再度ペットの機内持ち込みについて議論。ペットを連れて搭乗したい人のほかにも、動物アレルギーや苦手意識を持つ同乗者、社会のルールなど、それぞれの立場でどう感じるかを問い返すことで、様々な視点の「正しさ」があることに気付かせた。
つぎに、体の性は男性だが心の性は女性の“Bさん”の事例に話題を変え、Bさんが大浴場に入ることについて議論。一つ目の事例を踏まえ、どのような視点から「大切にしたいこと」を考えられるか問いかけ、多角的な議論となるよう促した。
「Bさんの心の性を考えると、女湯に入りたいと思う」「女湯に入っている他の人からすればあまりいい気分はしない」などそれぞれの視点に立った意見のほか、「Bさんのような人のために、男湯、女湯以外のところを造ったら良い」などそれぞれの意見を踏まえた改善策などが上がった。
鈴木教諭は、発言の内容ごとに板書を整理したり、適宜問い返したりして、考えの広がりが生まれるよう工夫した。
最後に、導入で提示した課題に立ち返り、あらためて感じたことをホワイトボードに追記させ交流した。
(札幌市 2024-02-08付)
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