稚内市 6年度教育行政執行方針 学習アプリやAIドリル 校務支援システムの導入も
(市町村 2024-03-07付)

稚内市教委教育長佐伯達也
稚内市教委・佐伯達也教育長

【稚内発】稚内市教委の佐伯達也教育長は、2月26日に開会した定例市議会で6年度教育行政執行方針を説明した。児童生徒の学力向上については「学習支援アプリやAIドリルを導入し、児童生徒の習熟の程度に応じた学習の充実を図る」と述べた。また、教職員の働き方改革については、校務支援システムの導入校を拡大し、負担軽減を図っていくとしている。部活動については「段階的な地域移行に向けた協議を進めており、子どもたちが将来にわたって、希望するスポーツや文化的な活動に継続して親しむことができる機会を確保していく」と宣言した。

 執行方針の概要はつぎのとおり。

▼地域の協働による家庭教育の推進

 6年度は、子ども・子育て支援法に基づく法定計画である「第2期子ども・子育て支援事業計画」の計画期間が満了となることから、5年度に実施したニーズ調査をもとに、本市の子ども・子育て支援サービスの需要量の見込みや確保方策、事業の方向性を定める次期計画の策定に取り組んでいく。

 5年度は、学校給食費の半額助成を実施し、小中学生を持つ世帯を対象に負担軽減を図ってきた。

 6年度は、対象となる世帯を幼稚園・保育所等に通う3~5歳児を持つ世帯に拡大し、子どもたちの健やかな成長を支えるとともに、子育て世帯のさらなる負担軽減を図る。

▼次代を担う人材の育成と地域とともにある学校づくりの推進

 6年度はICTツールを最大限に活用し、子どもたちを誰一人取り残さない「個別最適な学び」と多様な個性を最大限に生かす「協働的な学び」の一体的な充実を図るため、新たにICTの特性・強みを生かした学習支援アプリやAIドリルを導入し、児童生徒の習熟の程度に応じた学習の充実を図る。

 国は「学校部活動および新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン」(4年)を策定し、休日の部活動の段階的な地域移行を図る等、地域の実情に応じた部活動改革を進めている。

 本市においても国が示すガイドラインに基づき、部活動の段階的な地域移行に向けた協議を進めており、子どもたちが将来にわたって、希望するスポーツや文化的な活動に継続して親しむことができる機会を確保するため、学校や地域、関係団体と一体となって取り組んでいく。

 全国的に学校現場での教員の長時間勤務や教員不足が深刻な課題となっており、働き方改革の推進が急務となっている。

 働き方改革で教職員が子どもたちと向き合う時間や、自らの学びを深める時間を確保することは「質の高い学び」や「持続可能な学校」の実現につながることから、これまで以上に取組を進めていく必要がある。

 本市では現行の「学校における働き方改革アクション・プラン」の改定作業を行っているところであり、今後は新たなアクション・プランに基づき、より実効性の高い働き方改革を推進するとともに、校務支援システムの導入を9校に拡大し、業務の効率化を推進することで、教職員の負担軽減を図っていく。

 全国的に不登校の児童生徒数、いじめの認知件数が増加しており、本市でも同様の状況が見られている。

 新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、通常の学校生活に戻りつつある中、不安や悩みを相談できない児童生徒がいる可能性を考慮し、周囲の大人が子どもたちのSOSを受け止め、外部の関係機関等と積極的に連携するなど組織的な対応が求められている。

 本市としては、学級担任を中心に教職員全体が、子どものささいな変化の把握に努め、予兆が見られる際には、家庭はもとよりスクールカウンセラーや教育相談所など、関係機関と連携しながら児童生徒一人ひとりの状況に応じたきめ細かな支援に努めていく。

 通常学級に在籍しながら通級指導を受ける児童生徒および特別支援学級に在籍する児童数は年々増加傾向にある。特別支援教育の充実のため、一人ひとりの教育的ニーズに的確に応える指導が提供できるよう、必要な環境整備を行う。

 稚内中学校の改築工事は計画どおり進められているところであり、現在、稚内中央小学校と稚内中において小中一貫教育の強化を図ることを目的とした「北地区学校間交流」を推進するなど、稚内初となる義務教育学校への移行を見据えた交流を行っている。

 今後は、両校の教員や関係者で構成する検討会を立ち上げ、新たな学校名や校歌のほか、年間の小中一貫した教育課程の編成などを検討していくとともに、保護者や地域の方々に対し、義務教育学校への理解を深めていただくための説明会等を行っていく。

 学校給食については、望ましい食習慣の形成や地産地消、地域の食文化や自然の恵み等に対する理解が深まるよう、施設の保守整備や衛生管理に留意しながら安全で安心な学校給食の提供に努める。

 また、学校給食費の助成を継続し、子育て世帯の負担を軽減するとともに、昨今の食材費高騰に留意し、献立に工夫を凝らしながら栄養バランスが整った給食を提供できるよう努める。

 本市では、5年度、各中学校区に、コミュニティ・スクールの基盤となる学校運営協議会が立ち上がり、学校運営に地域の声を積極的に生かし、地域と一体となった子育て運動とともに、特色ある学校づくりが進められている。

 今後はコミュニティ・スクールの本格的運用に向けて、未来を担う子どもたちの成長を地域全体で支える仕組みを強化し、地域とともにある学校づくり、学校を核とした地域づくりの実現を目指す。

(市町村 2024-03-07付)

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