北見市 6年度教育行政方針 13中学校区で学校力向上 ICT活用し「学びとる」授業(市町村 2024-03-13付)
北見市教委・武田雅弘教育長
【網走発】北見市教委の武田雅弘教育長は、2月29日に開会した第1回市議会定例会で6年度教育行政方針を説明した。ウェルビーイングの実現を柱とし、小中連携において三輪小学校、西小学校、光西中学校での学校力向上の取組成果を市内の13中学校区のエリアに広げ、目指す子ども像の共有や学びの連続性を意識した学校づくりを強化していく考えを述べた。また、多様な他者と協働しながら、自分の考えを深める「学びとる」授業スタイルを構築し、1人1台端末やデジタル教科書などを積極的に活用し、子どもたちの可能性を引き出す「個別最適な学びと協働的な学び」を一体的に推進していくとの方針を示した。
教育行政方針の概要はつぎのとおり。
【学校教育の充実】
▼信頼に応える学校づくりの推進
学校教育の目標を達成するためには、その目指す姿を社会と共有・連携しながら実現することが重要であり、コミュニティ・スクールの機能を最大限に発揮した「地域とともにある学校づくり」を推進する。
小中連携について、3年度から進めている三輪小、西小、光西中での学校力向上の取組成果を市内の13中学校区のエリアに広げ、目指す子ども像の共有や学びの連続性を意識した学校づくりを強化していく。
併せて、今日的課題を解決に導く研修の充実、教育公務員としてのコンプライアンスの徹底、働き方改革に取り組んでいく。
▼確かな学力を育成する教育の推進
学力向上の取組では、子どもたち一人ひとりが見通しを持って自律的に学習を進め、多様な他者と協働しながら、自分の考えを深める「学びとる」授業スタイルを構築し、1人1台端末やデジタル教科書などを積極的に活用し、子どもたちの可能性を引き出す「個別最適な学びと協働的な学び」を一体的に推進する。
また、自ら学ぶ子どもが育つ授業を創造するための指導力向上研修会や学びを支える基盤として端末の利活用を促進するICT研修会などを一層充実させる。
国際理解教育では「帰国・外国人児童生徒教育の手引」に基づき、異文化や多様性の理解を深め、互いの人権を敬う精神を醸成する。
特別支援教育では「北見市特別支援教育の指針」に基づき、ICT活用を促進し、一人ひとりの教育的ニーズに応じたきめ細かな指導を充実させるとともに、教育支援員、医療的ケアを行う看護師、特別支援教育コーディネーター、教育活動支援講師を引き続き配置する。併せて、オホーツク教育局、児童相談所、医療機関等からの専門的な指導助言を生かしながら、発達の段階に応じた指導・支援を強化していく。
学校と幼稚園、認定こども園、保育園、子ども総合支援センター「きらり」との連携では、新入学児童の学校生活への円滑な適応に向けて、教育支援委員会、幼保小三者協議会、特別支援教育連携協議会の取組を充実するため、研修会等を通して情報交流を積極的に行う。
▼豊かな心や健やかな体を育成する教育の推進
道徳教育では「考え、議論する道徳授業」に加え、教育活動全体を通して道徳性を養っていく。
いじめ対策では、1人1台端末を活用した「きもちの天気」による日常の観察や教育相談、定期的なアンケートなど「市いじめ防止基本方針」に基づく各学校の対応を強化し「いじめ見逃しゼロ」の取組を進めていく。また「いじめのないまちづくり子ども会議」を開催し、各学校の児童会・生徒会における主体的な取組を促す。
さらにLGBTQなど性的マイノリティーの児童生徒や外国籍児童生徒への組織的な支援を行い、多様性を尊重する教育に努める。
不登校対策では、教職員の児童生徒理解を充実させ、教育相談の実施、家庭とスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーとの連携によって、未然防止に努める。不登校児童生徒や「あおぞらくらぶ」へ通級している児童生徒に対しては、ICTを活用し、学習機会の確保に努める。
問題行動への対応では、児童生徒への理解と家庭と連携した指導を徹底する。生徒指導担当教員連絡協議会により、学校間の連携を強化し、迅速かつ適切な対応ができるよう、学校を支援する。
読書活動の推進では、学校司書を1人増員し、学校図書館の環境整備による読書機会確保と地域図書館との連携を進める。
体力向上の取組では、各学校における「体力向上プラン」に基づく取組充実を図るとともに、市体力向上推進委員会を核とした指導改善研修を実施する。
健康教育では「生命(いのち)の安全教育の手引」を用いて、学校と家庭が連携し基本的生活習慣を改善するとともに、薬物乱用や性の問題、心の健康に関する指導の充実に努める。
また、子どもたちの歯・口腔の健康づくりを推進するため、フッ化物洗口事業を実施する。
防災教育および安全教育では、各学校の「危機管理マニュアル」を活用した安全確保に加え、関係機関と連携した防災教室や通学時の自転車用ヘルメット着用などの交通安全教室を通し、安全に行動できる力を育む。
食育では「市食育推進計画」に基づいた取組を進めていく。
給食については、5年度に食材の高騰による給食費の改定を行ったが、6年度は、改定分の半額を市が補助する。また、従来どおり食材の地産地消を推進するとともに、衛生管理や児童生徒の食物アレルギーに対する取組を徹底し、安全で安心な提供に努める。
▼教育環境の整備
学校施設の環境整備では、光西中と相内小学校の長寿命化改修工事に係る基本実施設計を行う。昨年の記録的な猛暑を受け、熱中症対策として小学校・義務教育学校の普通教室等へエアコンを整備する。
また、劣化で利用できない小学校プールについて、他施設を活用しながら、全ての小学校・義務教育学校で水泳実技を継続する。
登下校時の児童生徒の安全確保では、犯罪被害や交通事故から守るためのスクールガード・リーダーを継続して配置するとともに「北見市立学校の通学路設定に関する基準」や「市通学路交通安全プログラム」に基づき、関係機関と連携しながら通学路の安全点検を引き続き実施する。
私学の振興および修学支援では、引き続き私立高校の教育振興のための支援を行うとともに、高校生への奨学金支給枠の拡充や大学等進学時の入学準備金貸付制度によって、修学機会の確保を支援していく。
部活動の地域移行では、子どもたちの活動機会の充実や学校職員の働き方改革推進のため、可能な種目からの移行と拠点校部活動の取組をスタートさせ、本市の実情に即した地域連携・地域移行を進める。
【社会教育の充実】
▼学校・家庭・地域が連携し子どもを育てる環境づくりの推進
地域の子育てサークルを対象とした「こそだて学級」による保護者間での相互学習や家庭教育に関するセミナー・講演会など、保護者への学習支援を行う。
また、子どもの自主的な読書活動を推進するため「第4次北見市子どもの読書活動推進計画」に基づき「乳幼児絵本スタート事業」「学校図書館運営相談事業」「学校支援セット貸出し」などを展開する。
さらに、土曜日の学校を利用し、様々な体験活動機会を提供する「土曜学校」では、地域の教育環境および学習の充実に努める。
▼健康づくりと競技力向上や地域に根差したスポーツ活動の推進
「市スポーツ推進計画」に基づき、幼少期からの運動習慣を定着させる「キッズスポーツ教室」、様々な競技を体験する「Jr.アスリートチャレンジアカデミー」、パラアスリートによる体験型授業の「あすチャレ!スクール」など、各種スポーツ教室の機会の提供と市民ニーズに対応できる指導者の養成・派遣を継続していく。
スポーツ合宿では、コロナ禍で減少した受け入れの回復を目指し、地域の関係者との連携を強化しながら、合宿の多種目・通年化を進め、市民との交流の中からさらなるスポーツ振興、地域活性化につなげていく。
スポーツイベントでは、全国からトップランナーが集う「ホクレン・ディスタンスチャレンジ北見大会」や「北海道カーリングツアー大会」であるアドヴィックスカップ、アルゴグラフィックスカップの開催を支援する。
冬季スポーツの振興では、地域資源であるカーリングの普及を目指し、市内二つのカーリングホールを活用しながら、市立学校のカーリング授業導入支援と市民利用のさらなる促進を図るほか、スキー、スケートなど北国ならではのスポーツを推進していく。
(市町村 2024-03-13付)
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