津別町6年度教育行政執行方針 小中一貫教育を研究 台湾二水郷相互交流再開へ(市町村 2024-03-18付)
近野幸彦教育長
【網走発】津別町教委の近野幸彦教育長は、4日に開会した第2回町議会定例会で6年度教育行政方針を説明した。学力向上、中1ギャップの解消などのために学校段階間の連携・接続の推進として、小・中学校において深い連携を目指した小中一貫の取組について調査・研究を進め、義務教育9年間を見通した指導を体系的・継続的に行う考えを示した。また、コロナ禍で中止となっていた津別中学校の台湾二水郷相互交流事業を再開し、国際理解を深める教育機会の充実を図る方針を示した。
教育行政方針の概要はつぎのとおり。
▼学校教育
確かな学力を身に付ける教育の推進については、GIGAスクール構想のもと、1人1台端末などのICT環境が整備され、学習支援ソフトの充実やデジタル教科書の活用、タブレット端末の持ち帰りやオンライン授業の実施など、これまでの教育実践と最先端のICTの双方の良さを融合させながら「個別最適な学び」と「協動的な学び」の実現や、家庭・地域と連携した望ましい学習・生活習慣の確立を目指し、生涯にわたって能動的に学び続ける力を育む。
体力・運動能力の向上については、新体力テストの活用や分析をもとに体育授業を改善し、子どもたちの体力・運動能力・運動意欲の向上を図る。
特別支援教育の充実については、児童生徒の自立や社会参加に向けての多様な教育的ニーズに応えるため、引き続き、特別支援コーディネーターを核としながら、町採用教職員、教育相談員および学習補助員を配置する。また、新規に通級指導教室を設置するなど、校内支援体制の充実を図り、学校、家庭、地域、関係機関などが長期的な視点で連携して取り組む体制づくりや教職員のスキルアップのための研修を計画的に実施する。
グローバル人材の育成については、ALTを小・中学校、こども園および津別高校に派遣し、教職員とALTが協力して指導するチーム・ティーチングを充実させる。
また、津別高生のニュージーランド派遣研修事業を継続するとともに、コロナ過で中止となっていた中学生の台湾二水郷相互交流事業を再開し、国際理解を深める教育機会の充実を図る。
ふるさと教育の充実については、総合的な学習の時間などにおいて、津別ならではの地域学習を体系化し、児童生徒が豊かな自然や産業に触れ、生の体験を得ることによって、ふるさとへの理解を深め、愛着と誇りに思う気持ちを育む。また、5年度の新規事業として予定しながらも、インフルエンザの流行によって中止となった「ふるさと教育チャーター事業」を実施し、自分たちの住むまちを上空から観望することにより、町の魅力を再発見する機会とする。
木育授業については、木工の専門家を講師に小・中学校で実施しており、町の基幹産業の一つである林業や木の文化への理解を深める津別ならではの教育活動であるため、林業関係者の協力を得ながら継続する。
道徳教育の充実については、道徳性を養う「考え、議論する道徳」の実現に向けて、学校の教育活動全体を通して自己を見つめ、物事を広い視野から多角的・多面的に考えることができるよう、指導の充実を図る。また、道徳性を養う体験活動として、小学5・6年生を対象に植松努氏のロケット教室を開催し、講話とミニロケット製作・発射体験により、どうしたらできるかを考え挑戦する心を育む。
給食費については、食材費の高騰は続いているが、子育て支援策の一環として、小・中において一律1食200円、第3子以降の無償化を継続する。また、学校給食センター建設工事については、6年7月着工、7年7月完成、8月供用開始を目指し着実に進めていく。
働き方改革の推進については、学校における働き方改革「津別町アクション・プラン(第2期)」に基づき、時間外在校等時間の削減はもとより、学校教育の質を高める環境を構築する。また、部活動の地域移行については、段階的な移行に向け、検討を進めていく。
学校段階間の連携・接続の推進については、幼小中高の接続を意識しながら、さらなる連携を促進し、発達段階において能力・個性を伸ばす教育活動の推進を図る。また、小・中においては、義務教育9年間を見通した指導を体系的・継続的に行うことにより、学力向上をはじめとして、中1ギャップの解消など、様々な教育的効果が期待できることから、より深い連携を目指した小中一貫の取組について、調査・研究を進めていく。
いじめの防止については「町いじめ防止基本方針」に基づき、問題行動の未然防止と早期発見、組織的かつ速やかな対応や関係機関との連携によって「いじめゼロ」に向けた取組を進めていく。また、不登校児童生徒への対応については、学校、家庭、教育委員会、その他関係機関が連携しながら、児童生徒や家庭の状況に応じた対応を行う。
津別高への支援については、振興対策協議会と連携し、地域の自然と産業、人材等の地域資源を生かした「つべつ学」をはじめ、特色ある地域連携校づくりを目指す各種振興対策を支援する。また、公設民営塾Plusは、進学や就職などの目標に応じた個別指導や映像学習で着実な成果を上げており、本町の魅力的な取組として継続する。
▼社会教育
少年教育については、放課後子ども教室「アソビバ!つべつ」をベースにしながら、身近な自然、産業などの教育資源を活用し、学校や家庭では得難い体験活動の場を提供しており、今後も多くの団体等に協力いただき、内容の充実に努めていく。
本年度訪問年となる船橋市、南アルプス市との青少年交流事業については、コロナ禍のため6年ぶりの訪問となるが、参加する小中学生や高校生リーダーの自主性や自立心を培い、子どもたちの成長に大きく寄与している事業であり、内容等を協議しながら実施していく。
児童館・放課後児童クラブについては、子どもたちの安全・安心な居場所として、今後も在り方や運営について各関係機関と連携しながら、体験、学び、交流、遊びおよび生活の場としての機能充実に努めていく。
図書館については、開館から1周年を迎えるが、図書や資料の充実、レファレンスサービスの充実はもちろんのこと、町図書館の基本理念である「出会い・集い・人がつながる自分たちの図書館」を目指し、図書館に足を運んでいただけるきっかけとなるような事業の充実やボランティア活動の支援を行うなど、情報・学習の拠点として誰もが気軽に利用できる図書館づくりに努めていく。
(市町村 2024-03-18付)
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