教職員の待遇改善を 中村執行委員長あいさつ(関係団体 2024-03-29付)
道教組中村委員長
道教組第37回定期大会における中村哲也執行委員長のあいさつ概要はつぎのとおり。
賃金の上がらない国、日本。この30年間は岸田首相自らが認めた「コストカット経済」。新自由主義的な政策は安定した雇用を崩し、先進国の中で唯一賃金が低下しているという状況をつくり出した。
同時に教育の分野では、「公務員総人件費抑制」「安上がりの教育政策」など、非正規の教職員なしに学校は成り立たない状況になり、2006年、義務教育費国庫負担の引き下げは地方の財政に教育の負担が重くのしかかった。
背景にあるのは、国の財政支出の抑制である。この姿勢が長年にわたって続けられ、長時間過密労働による過労、強度なストレスによる精神疾患で休職、教職志望者の減少などによって、代わりの先生はいない、さらに穴が大きくなる、という負の連鎖である。
教職員の待遇改善、「せんせいふやそう」の施策を求める声を増やしていこう。これまで道教組は学習と議論を深めるとともに、各教育関係者と懇談、勤務実態調査、各地での宣伝行動、全教の七つの提言など問題を可視化し、問題解決策も示してきた。
「教員の長時間勤務に歯止めをかけ、豊かな学校教育を実現するための全国署名」は約18万2千筆に達した。保護者、対象教職員の方々と共に声を集める取組が進んでいる。中教審で審議が進んでいる現在、教職員を抜本的に増員すること、時間外手当支給が可能となる仕組みをつくること、このことをさらに広げること、世論を広げることをあらためて呼びかける。
政府・財界は「教育DX」に乗じて戦後公教育制度の抜本的破壊をねらっている。内閣が閣議決定した「教育・人材育成に関する政策パッケージ」は教育DXと一体に、次期学習指導要領の改訂をも見据え、学校教育の市場化・民営化を一気に推し進め、権利保障としての教育を破壊し、自己責任の教育へ転換しようとしている。
そのテコとされているのが「個別最適学習」の全面導入と「データ駆動型教育」の推進である。
しかし、子ども・教職員の個人情報の集約・管理による統制への不安、セキュリティーの問題、子ども・教職員の健康被害など多くの懸念がある。政府主導で教育DXが強引に進められることで、今度は、教育の市場化が進み、公教育の破壊を招く大きな問題と言わざるを得ない。
2024年は、わが国で「子どもの権利条約」が批准されてから30年になる。子どもの尊厳が大切にされ、子どもたちが最善の利益を保障される学校づくりとは何だろうか。不登校、登校拒否、いじめ、暴力行為の件数は増加している。
コロナ禍のもとでの発達への影響、ICT教育への影響など多様な角度から、今、保護者や地域と共に語り合うことが求められる。
子どもの意見表明権を保障して、保護者が参加する学校づくり、教育課程づくり、道教組が大切にしてきた柱の一つである。これこそが、国や財界のための人づくり政策に対する対抗軸となるのではないか。
学校づくり、教育課程づくりといえば、ことし1月、奈良教育大学附属小学校の教育課程への乱暴な介入問題だ。
学校の教育課程は、子どもや地域の実態を踏まえ、各学校で自主的に編成するものだ。学校指導要領の前文で「各学校がその特色を生かして創意工夫を重ね、長年にわたり積み重ねられてきた教育実践や学術研究の蓄積を生かしながら、児童や地域の現状や課題を捉え、家庭や地域と協力」することが重要と定めている。
道教組は、人格の完成をめざすゆきとどいた教育を実現するために、学校現場の教育課程編成権への不当な攻撃を許さない取組に賛同する。
今、子どもたちは二つの戦争をどう見ているだろうか。私は、戦争による残虐行為を二度と繰り返さないという、憲法9条を持つことの意義、国連で圧倒的多数で採決された即時停戦決議の意義、過去によるあらゆる脅威を明確に非難した核兵器禁止条約の意義をあらためて子どもたちと一緒に学びたい。
戦争を繰り返しながらも、人間の歴史は平和を願う人々が声を上げて運動、前進してきたと語りたい。憲法・子どもの権利条約に基づいて、保護者市民と語り合う教育大運動1741をあらゆる場で起こそう。
われわれは、これまで子どもの成長発達の保障と教職員の権利擁護など、一致した要求を掲げて声を上げ、運動を広げてきた。
その取組の要は職場・地域である。職員室で子どもの話ができない、ハラスメント相談が増えている、目の前の仕事を消化するのにいっぱいで、教職員の連帯ができにくいのが現実となっている。
組織拡大・強化は、要求実現の最大のパワーである。同時に組合加入は教職員にとっての権利である。私たちは、権利を有する全ての教職員に組合加入を当事者として訴えて、この春から取組を広げていこう。
誇りを持って働き続けられる職場にするために「あなたの苦悩や要求はあなたの責任ではない。あなたも一緒に組合に入ってほしい」と正面から伝えよう。
今、教職員と子どもの権利擁護の立場に立った教職員組合が全道各地に存在する意義、その結集する道教組の存在と役割は大きいものである。コロナ禍で、学校は子どもたちの居場所であり、ふれあい、学び、成長する場であるということが確認された。学校には、未来と希望があるということを訴えたい。
今後の道教組運動の発展を展望し、豊かな大会討論を通して、運動方針を確立することを願う。
(関係団体 2024-03-29付)
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